昨日のブログ記事「今から30年後 居住環境はどうなっているか」で、首都圏の新築マンションの平均専有面積が過去25年間でちっとも広くなっていないことを示した。
居住環境の水準が高くなったと実感できるのは、面積が大きくなることも重要な要素だが、もう一つの指標は意外と認識されていない。
天井の高さだ。
天井高さが加わって、はじめて空間的な広さを実感することができる
面積の広がりはあくまでも2次元的なもの。
マンションのチラシもそうだが、営業マンも、専有面積のことには詳しく触れているが(小数点二桁も!)、天井高さにまで言及されるケースは極めてまれだ。
建築基準法によって定められた天井高さは「2.1m以上」。住宅金融支援機構の融資住宅基準では「2.3m以上」。
平成21年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」による長期優良住宅の認定基準では、躯体天井高は「2.65m以上」とされている。
躯体天井高を2.65mとすると、床と天井を二重にした場合に室内の天井高さは概ね2.4mとなる。
最近の新築マンションの平均的な天井高さは2.4mが多い。
「天井高2.6m以上」の物件を調べてみた
SUUMO(スーモ)では、首都圏の新築マンションについて、「天井高2.6m以上」の物件を検索することができるので、念のため調べてみたのが次図。
登録されている全900件(2015年1月26日現在)のうち、天井高さが2.6m以上あるのは15件(たったの1.6%!)。
東京都に限ってみても、全556件のうち、11件(1.9%)に過ぎない。
なぜ、高い天井のマンションが少ないのか
天井高を高くするとなると、相対的に階高も高くなる。
そうするとコンクリートや鉄筋の量が増え、結果的にその重量を支える柱や梁が太くなり、工事費がアップする。
また、天井が高くなるということは、内装の面積も増えるので、内装工事費もアップする。
このように階高を上げることは、工事費を最も上げる要因になる。
だから、マンション業者は、階高を上げることにとても慎重。
他の物件と大きく差別化できないような階高(天井高)であれば、特に宣伝しない(寝た子を起こさない)ということなのだろう。
(本日、マンション広告なし)