今週発行されたSUUMO(スーモ)首都圏版1月24日号の特集は「新築vs中古」
10年以上SUUMOを読んでいる筆者にとっては手垢のついたお馴染みのテーマなのだが、マンション選びを始めたばかりの人にとっては新鮮なお役立ちのテーマなのかもしれない。
どれどれ、今回はどんなことが書かれているのか――。
「価格マップ」として5頁にわたって、首都圏98市区ごとに新築と中古の平均価格・m2単価・専有面積が掲載されている。
新築マンションと中古マンションの相場をザックリと把握するにはもってこいだ。
でも、6頁目に掲載された「新築vs中古かかるお金 なんでも比較」はいただけない。
新築(1857万円1200円)<中古(2147万4200円)?
「STEP1|買うときのお金はどれくらい?」として、「ローン手数料」から「司法書士費用」まで、購入初期にかかる具体的な金額が表形式で掲載されている。
また、「STEP2|購入後30年の間にかかるお金」として、「固定資産税」から「修繕積立金」まで、月額と30年の合計額も表形式で掲載されている。
そして最後に「STEP3|購入時&購入後にかかるお金合計」として、新築が1857万円1200円、中古が2147万4200円とされている。
新築(1857万円1200円)<中古(2147万4200円)が結論なのか?
具体的な金額を整理すると次表のようになっている。
上表を可視化したのが次のグラフ。
新築(1857万円1200円)<中古(2147万4200円)
???
なんだか違和感がある。
SUUMOのどっちつかずの評価
「STEP2|購入後30年の間にかかるお金はどれくらい?」との見出しで、「固定資産税」や「修繕積立金」を取り出して、どっちつかずの評価となっている。
【新築】固定資産税の軽減措置で購入後5年間は負担減
一定の条件を満たした新築マンションの場合、購入してから5年間は建物部分にかかる固定資産税額が半分に軽減される。ただし6年目からは税額が上がるため、30年間の累計では中古のほうが割安。
【中古】毎月の修繕積立金は築年数が古いほど高額に
共用部分の修繕工事に備えて毎月支払う修繕積立金。新築当初は安めに設定されているが、年月の経過とともに増額するのが一般的だ。このため、中古は新築に比べて割高になるケースが多い。
で、新築vs中古の結論は、どっちやねん?
最後に書かれているのは、「トータルの負担額で比較検討しよう」と結論はあくまでも曖昧なままなのである。これを”大人の事情”という。
物件価格だけで支払う金額を判断するのは早計。将来のコストも踏まえ、トータルの負担額で比較検討しよう。
「物件価格だけで支払う金額を判断するのは早計」だって?
新築、中古の販売額が考慮されていない!
比較の対象のかなりの部分を占める物件価格を含めずに、総コストからみると微々たる割合にしかならない初期費用を詳述したり、管理費や修繕積立金だけを論ずるのは、ヘンだ。
では、物件価格を比較の対象に含めると、どうなるのか?
実は、SUUMOの新築vs中古の前提は「5000万円の家」とされている。
新築vs中古の比較検討をする人にとって、新築と中古の販売価格を同じにした想定では意味をなさないだろう。
同じような場所で同じ広さであれば、明らかに中古の販売価格のほうが安い。
築0~5年の中古でも、新築の10~20%安い(詳しくは「マンション購入!新築か中古かどちらがいいのか?」ご参照)。
新築はSUUMOと同じ5,000万円として、中古のほうは控え目な想定として新築よりも10%安い4,500万円としよう。
そうすると、販売額を考慮した比較では、新築68,571,200円、中古66,474,200円となり、中古のほうが安くなる(次図)。
※厳密には、中古のほうは販売額以外の項目も安くなるので、新築との差はさらに開く。
新築vs中古の結論を知りたい方は、「マンション購入!新築か中古かどちらがいいのか?」をご参照!