居住者が亡くなるなどして、いわくがついた「事故物件」を海外投資家らが支えているという。
周知広がる「事故物件」 海外投資家も熱視線
(前略)都内の不動産仲介業者は「買い手や借り手の半分は外国人」と明かす。2年ほど前から都市部の物件を買いあさる外国人投資家が増えるようになり、割安で手当てできる事故物件も投資の対象になってきたという。賃貸の場合も先述の河内さんは「外国人が住むことも多い」と話す。(後略)
(NIKKEI STYLE 4月29日)
そもそも事故物件とは、どのような物件なのか?
先月の新刊、菅野 久美子氏の著書「大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました」から拾ってみよう。
事故物件とは
殺人や自殺といった人の死に係る事件・事故が起きた土地・建物は事故物件の範疇であるが、孤独死は事故物件扱いにされていない。
事故物件の厳密な定義はないが、殺人や自殺といった人の死に係る事件・事故が起きた土地・建物という認識は共有されている。(P96)
殺人や自殺があった物件は1人目の入居者には告知されるのが業界の慣例になっている。しかし、公営やURで告知していた孤独死に関しては、残念ながら次の入居者に告知されることは少ないのが現状だ。(P101)
発見が遅れたために現場がどんなに悲惨な状況であっても、孤独死や自然死の場合、入居者には何ら明かされないことがあるという。
孤独死や自然死の場合、仮に業者がその事実を知っていたとしても、何も言わずに次の入居者を募るケースが多いというわけだ。(中略)
死後何か月も経って、死体が物件内でいくら腐敗し、もはや原形をとどめないほどにドロドロになっていようとも、次の入居者には何ら明かされないことも多々あるということだ。(P101~102)
では、事故物件をどのようにして見抜けばいいのか?
事故物件を見分けるための3つのコツ
大島てる氏は事故物件を見分けるための3つのコツがあるという。
1つ目は、他の部屋に比べて、異様にリフォームされているか否か。
不動産屋に案内されたときに、他の部屋に比べて、異様にリフォームされているということ。(中略)
床下に体液が染み込んでいるなど、物件そのものの損傷が激しいことが多い。体液がフローリングの下まで染み込んだせいで、通常は行わないフローリングの総取り替えをしていたら、フローリングはピカピカで新品になっているはずだ。(P123)
2つ目は、物件名が最近変更されたか否か。
アパートやマンション名が最近、急に変更したというケースだ。殺人事件などで、新聞などで繰り返し物件名が報道されて有名になってしまうと、それだけでイメージがついてしまい、入居者が減ることも考えられる。(P123)
3つ目は、前の住人の契約期間が短いか否か。
1人目には告知するが、2人目には言わないという不動産業界の慣例を悪用したケースだ。
定期借家契約などで、更新を2年などに定めて、1人目を追い出し、2人目からは、通常の家賃に戻すというケースだ。(P123)
管理会社の社員を数か月住まわせてその後、何事もなかったかのように貸し出す業者もいるという。
事故物件だと、どのくらい安くなるのか?
売買物件で2割から3割引き、賃貸物件で4割引きほどだという。
売買物件の場合、物件の所在地や用途などによってももちろん違うが、2割から3割引き、最大でも通常の半額が相場のようだ。
民間の賃貸の場合は、4割引きほど。それも数年間のことで時間が経過するにつれて、段階的に通常の家賃に戻っていくケースが多いという。(p97)
以上は本書の「第2章 事故物件の基礎知識」からの抜粋。
もっとドロドロしたリアルな話を知りたい人は「第1章 実録 事故物件めぐり」や「第3章 事故物件関係者リアルインタビュー」をご一読ください。
平易な文章で事故物件のリアルが伝わってくる貴重な一冊。
多数かつ困難な取材記事に対して、619円(税別)は安い。
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