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マスコミ情報では分からない!過去17年間の「首都圏新築マンション市場動向」を可視化

不動産経済研究所は2月21日、「全国マンション市場動向2017年(年間のまとめ)」を発表。

  • 全国発売は0.5%増の7万7,363戸。4年ぶりの増加も3年連続の7万戸台

  • 首都圏0.4%増、近畿圏4.7%増も東北の大幅減などで微増にとどまる。

  • 平均価格は4,739万円。前年比179万円・3.9%アップで最高値を更新

 
不動産経済研究所が発表した資料には、過去10年間の全国のマンションの発売戸数や価格などのデータが表形式で掲載されている。最近の新築マンションの市場動向を知るための貴重な情報が満載だが、いかんせん数字の羅列なので直観的に理解しづらい。

マスコミ情報では物足りない人のために、過去に発表されたデータも含め、首都圏のデータを中心に可視化(グラフ化)したうえで、考察を加えてみた。


ざっくり言うと

発売戸数の動向

首都圏発売戸数:2年連続3.6万戸を下回る(00年代前半の半分以下)

首都圏の発売戸数は、ワイドスパンで見ると06年(耐震偽装事件発覚の翌年)以降、減少傾向にある(次図)。消費税増税前の需要先食いで13年に増加するが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。

16・17年と2年連続で3.6万戸を下回る。00年代前半(8~9万戸)の半分以下

新築マンション発売戸数の推移(全国)

23区発売戸数:17年(1.6万戸)、消費税増税前の水準(2万戸)に戻らず

23区の発売戸数も、ワイドスパンで見ると06年(耐震偽装事件発覚の翌年)以降、減少傾向にある(次図)。消費税増税前の需要先食いで13年に増加するが、減少傾向に歯止めは掛かっていない。

16年(1.5万戸)から17年(1.6万戸)に増加するも、消費税増税前の水準(2万戸)には戻っていない。

新築マンション発売戸数の推移(首都圏)

価格の動向

首都圏の平均価格:13年以降上昇、17年は6千万円目前

首都圏の平均価格は、13年以降上昇傾向にあり、17年に6千万円目前(次図)。
また、首都圏の平均単価のほうも、13年以降上昇傾向にあり、17年85.9万円に達した。

新築マンション価格の推移(首都圏)

23区の平均価格:13年以降上昇、17年は7千万円突破

23区の平均価格も、13年以降上昇傾向にあり、17年に7千万円を突破(次図)。

新築マンション価格の推移(1都3県)

23区の平均単価:13年以降上昇、17年は108万円  

23区の平均単価も、13年以降上昇傾向にあり、17年は108.3万円に到達(次図)。

新築マンション価格の推移(1都3県)

14年~17年 より狭く、より高く

23区のデータをもとに「平均専有面積(=平均価格÷平均単価)」を逆算し、横軸に「平均専有面積」、縦軸に「平均価格」で描いたのが次のグラフ。

07年~09年は、面積が小さくなり価格が下がっていく。
09年~14年は逆に、面積が大きくなり価格が上昇。
14年~17年は、面積は小さくなるが価格は上昇する(より狭く、より高く)という、マンション購入者にとっては最悪の時期だったことが分かる。

「平均価格」と「平均専有面積」の推移 (23区新築マンション)
ちなみに、06年から07年にかけて、面積はあまり変わらないのに、価格が1千万円近くも上昇しているのは、05年11月17日に発覚した耐震強度偽造事件の影響だと考えている。改正建築基準法に対応するための、マンション事業の工期延長コスト増や、設計・工事監理などのコスト増が、最終的にはマンション価格に反映している――。

 

首都圏全体のデータを見ても、23区と同様の傾向が読み取れる(次図)。

「平均価格」と「平均専有面積」の推移 (首都圏新築マンション)

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