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なぜ15階建てマンションは”圧縮プラン”が多いのか

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄氏によれば、新築マンションの分譲価格を抑えようとする結果“圧縮プラン”が生じているという。“圧縮プラン”は、面積だけでなく、高さも圧縮。

実際はどうなのかという話。


もくじ

分譲価格を抑えようと“圧縮プラン”

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄氏によれば、新築マンションの分譲価格を抑えようとする結果“圧縮プラン”が生じているという。“圧縮プラン”は、面積だけでなく、高さも圧縮。

地価高騰で価格抑制 マンション“圧縮プラン”に注意

(前略)このような地価上昇が続く時、不動産会社はなんとか新築マンションの分譲価格を抑えようとする。結果として生じるのが“圧縮プラン”である。

 “圧縮プラン”とは、従来よりも専有面積(1住戸の床面積)を狭くし、設備機器を簡略化することを意味する
(中略)
“圧縮プラン”は、これまでもマンション価格の上昇が起きるたびに現れていた。昭和の時代には面積だけでなく、高さも圧縮。妙に天井が低いマンションが生まれたこともあった。
通常、マンションの天井高は2m40cmが基準となっている。これを30㎝圧縮して2m10㎝にする。そうすると、高さの制限で8階建てしか建設できない場所に9階建てのマンションを建設できる。これで、1戸当たりの価格を下げることができる。(以下略)

(毎日新聞「経済プレミア」 3月15日)

櫻井氏が例示した8階建てと9階建てとでは、実際のところ階高はどのくらい違うのか、検証してみよう。

9階建ては8階建てよりも”圧縮”されている!?

検証に使用するデータは、都が公開している「マンション環境性能表示の一覧」に掲載されている新築マンションのうち、23区のすべての8階建て(47件)・9階建て(49件)のマンション。

横軸に工事着手時期、縦軸に平均階高(=建築物の高さ÷階数)として描いたのが次図。

9階建てのほうが、階高が小さいように見えなくもない。8階建てマンション47件の平均値3.11mに対して、9階建て49件のそれは3.07m。その差4cm。「9階建ては8階建てよりも若干”圧縮”されている」と言えなくもないか……。

平均階高の推移 (23区新築マンション)

 

どうせ例示するのであれば、8階建てvs9階建てではなく、14階建てvs15階建てにしてほしかった。

14階建てと15階建てとでは、階高にどのくらいの違いがあるのか?

15階建てに顕著な“圧縮プラン”

23区の14階建て(98件)・15階建て(79件)のマンションの平均階高の推移を次図に示す。

15階建てマンションの多くの平均階高が3.0m付近に張り付いていることが一目瞭然であろう。

平均階高の推移 (23区新築マンション)

なぜ、これほどまでに15階建てのマンションの平均階高は、3.0m付近に張り付いているのか?

縦軸を「平均階高」ではなく、「建築物の平均高さ」に置き換えるとその答えが見えてくる(次図)。15階建てのマンションの多くが「建築物の平均高さ」45m付近に張り付いているのである。

「建築物の平均高さ」の推移 (23区新築マンション)

ただ、09年以降は、「建築物の平均高さ」が45mを超えるマンションが散見される。その理由については後述。

 

では、この45mとは何なのか?

なぜ15階建てマンションは”圧縮プラン”が多いのか

結論を先に言えば、建設費・維持費の掛かる非常用エレベータの設置を免れるための作戦なのである。

建築基準法施行令 第129条の13の2(非常用の昇降機の設置を要しない建築物)
法第34条第2項の規定により政令で定める建築物は、次の各号のいずれかに該当するものとする。

  • (1、2省略)
  • 3 高さ31mを超える部分の階数が4以下の主要構造部を耐火構造とした建築物で、当該部分が床面積の合計100m2以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備でその構造が第12条第14項第1号イ、ロ及び2に掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもの(廊下に面する窓で開口面積が1m2以内のものに設けられる法第2条第9号の2ロに規定する防火設備を含む。)で区画されているもの
  • (4省略)

簡単に解説すると――

高さ31mは10階か11階に相当。それを「超える部分の階数が4以下」、すなわち14階建てか15階建てのマンションであれば非常用エレベータを設置しなくてもよいとなっているのである

高さ45m付近に張り付いているそのほかの理由としては、高さ45mを超えると、コストと時間を要する「構造評定」が義務づけられていたころの名残り(05年11月に発覚した耐震偽造事件を受けて、翌06年6月に法改正が行われ構造評定は任意となったが、その代わり構造計算適合判定が高さ20m超60m以下の鉄筋コンクリート造建築物に義務づけられている)。

06年6月の法改正で45m超を意識した構造計算の制約がなくなった。09年以降着工したマンションのなかで、「建築物の平均高さ」が45mを超えるマンションが増えたことと符合している(次図)。

「建築物の平均高さ」の推移 (23区新築マンション)

 

15階建てで、建物高さが45m未満のマンションは、寸詰まりで天井が低い可能性があるので、避けたいところだ。

ただ、14階建てよりも住戸を詰め込んでいるので、15階建てのマンションの分譲価格は安いという側面もある。

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