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『災害が来た! どうするマンション』(ロギカ書房)

旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長とNPO法人かながわ311ネットワーク代表の2名の編著による『災害が来た! どうするマンション』ロギカ書房(2023/2/1) を読了。

なぜ2名の編著となっているのかというと、編著者以外にマンションの自治会長や防災委員長など6名が執筆者として名を連ねているからだ。

イラストや写真が多く、フォントの使い分けや効果的な網掛けによって、視覚的に読みやすい工夫がされている。マンションの防災対策だけでなく、被災後の復旧方法についても触れられているので、マンションにお住いの方は目を通しておいて損はないだろう。

朱書きは、私のメモ。


もくじ

大規模災害時の「ゴミ問題」

熊本地震後の、ゴミで溢れかえった某マンションのゴミ置場の写真が掲載されている。

大規模災害時の「ゴミ問題」

発災後は、道路事情のほか、ゴミ配送車の燃料の供給の問題やゴミ処理場が使用不能になることで生活ゴミの収集が滞ります。

加えて、地震や水害の際には大量の被災ゴミが発生します。その結果、処分場、保管場所の手当がつかなくなることにより、ゴミの回収は更に遅れることも考えられ、マンションでもゴミ問題に悩むことになります。

写真は熊本地震後のマンションのゴミ置場です。

なお、ゴミはきちんと分別されていないと回収してもらえませんので、そのようなときには、ゴミの回収はより長期化、深刻化することになります。

写真2-2のような状態にならないように、管理組合は日ごろから被災時のゴミの問題等についても検討をしたうえで、マンション住民に周知しておくことが必要でしょう。

(P30/第2章 災害がおきるとどうなる)

※年末年始にマンションのゴミ置場がゴミで溢れかえる状況は、マンション住民にとってはよく知られた光景かもしれない。
でも、大規模災害時には、年末年始以上にゴミ置場が悲惨な状況になり得ることにまで思いは至らない。本書は重要な気づきを与えてくれている。

住民相互の協力体制がとれることによるメリット

協力体制がとれることによるメリットが具体的に記されている。

住民共助の不足による生活の困難

(前略:協力体制がとれないときに想定される事態)

協力体制がとれることによるメリット

  • マンション全体で物資を持ち寄り、不足に対応、調整できる
  • 家具起こしなどの大変な作業も、チームでやれば簡単にできる
  • マンションで共同の発電機を用意すれば必要最低限の電気を確保できる。また、水の運搬、高層階への輸送も住民が協力すれば対処できることも多い
  • ゴミの排出ルールが決められ、ゴミの集積場所が衛生的に管理される
  • チームで、マンション全体の防犯や安全確保に努めることで、被災生活が安心、安全に行える
  • 管理組合でまとまって申請することで罹災証明の取得や、助成金はじめ様々な復興のためのサービスがスムーズに受けられる
  • 区分所有者が協力をすることで、復興に向けた合意形成がスムーズに進み、補修計画や工事発注が迅速に行える

(P43-44/第2章 災害がおきるとどうなる)

※災害発生後の緊急期には、家族だけでは対応できないことでも、マンション住人が協力し合えば容易に対応できるという話。
当たり前のことではあるが、事前に協力体制が機能する仕組みを作っておかないと、被災時に右往左往させられることになる。あなたがお住いのマンションは大丈夫か。

本書の構成

5章構成。全206頁。

  • 第1章 はじめに
  • 第2章 災害がおきるとどうなる
  • 第3章 マンション防災対策
  • 第4章 被災マンションの復興の手続き
  • 第5章 団地内の建物が被害をうけた場合の復旧

災害が来た! どうするマンション

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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