新築マンションを購入するときに、希望する融資額を断られた経験のある人はどのくらいいるのか?
また、どのような理由で、希望する融資額を断られたのか?
住宅市場動向調査報告書(国交省)
国土交通省は5月30日、「平成29年度住宅市場動向調査の結果」を公表。
「住み替え・建て替え前後の住宅やその住宅に居住する世帯の状況及び住宅取得に係る資金調達の状況等について把握し、今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的」として平成13年度より毎年実施されている調査。
28ページからなる「平成29年度 調査結果の概要(PDF形式:3.1MB)」はグラフを中心にちょっとした解説が記されている。
4ページからなる「平成29年度 結果の概要(抜粋)(PDF形式:275KB)」もあるが、お役立ち情報とはいえない。
忙しいあなたに代わって、400ページからなる報告書本文「平成29年度 住宅市場動向調査報告書(PDF形式:3.6MB)」に目を通してみたところ、調査結果の概要では全く触れられていない、興味深いデータがいくつか掲載されていることに気づく。
希望額融資を断られた経験のある人はどのくらいいるのか?
「希望額融資を断られた経験の有無(分譲マンション)」のデータがそのひとつ(次図)。
「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」P140
もう少し分かりやすくするために、折れ線グラフに描き直してみた(次図)。
「断られた経験はない」人の割合は漸増し、16年度は最も高い94.8%、翌17年度は91.4%。ここ数年、9割以上の人は「断られた経験はない」という状況。
銀行の審査が甘くなってきているのか……。
※国交省が公開している03年度(平成15年度)以降のデータも加えた
どのような理由で、希望する融資額を断られたのか?
残念ながら希望する融資額を断られた1割未満の人たちは、どのような理由で断られたのか?
「問23-2 希望額融資を断られた理由 (複数回答)」(P298)として、新築マンション(分譲住宅_集合住宅)の場合の数値データが掲載されている。
「年齢」から始まって「その他」まで、次の15項目。
- 「年齢」「家族構成」「年収」「所有資産」「返済負担率」「業種」「勤務形態(自営、契約社員等)」「勤務先の規模(資本金、従業員数等)」「勤続年数」「担保評価額」「金融機関との取引状況」「他の債務の状況や返済履歴」「健康状態」「わからない」「その他」
年度によって多少数字が変わるものの、最近は「年収」や「勤続年数」で断られる場合が多い(次図)。
※国交省が公開している03年度(平成15年度)以降のデータも加えた
年収が少ない人や勤続年数が短い人は、希望する融資額を得られないという現実。
分譲住宅の調査対象者は「新築の建て売り住宅又は分譲を目的として建築された住宅を購入し、入居済みの人」(本文P1)。希望する融資額を得られなかった人たちは当初の希望よりも低いマンションで妥協したということなのだろうか。