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6年ぶりの改訂!『不動産広告の実務と規制 13訂版』

12訂版が発行されたのが17年10月19日。それから6年近く経って発行されたのが13訂版。12訂版からどう変ったのか……。


もくじ

20年で7冊目(13訂版)を購入

住宅新報社から8月7日、『不動産広告の実務と規制 13訂版』が出版された。

価格は11・12訂版と同じ3,630円(税込み)。総ページ数はわずかに増えた(次図)。

「不動産広告の実務と規制」価格・総ページ数の推移

相変わらず高いが、マンション広告の研究資料として欠かせないので、アマゾンで購入。20年前に購入した7訂版から数えて7冊目となった(写真)。

不動産広告の実務と規制

6年ぶりの改訂!12訂版からどう変ったのか

12訂版が発行されたのが17年10月19日。それから6年近く経って発行されたのが13訂版。12訂版からどう変ったのか。

13訂版の冒頭「13訂版の発行に寄せて」には次のように記されている。

表示規約及び同施行規則にあっては、消費者ニーズの多様化等に伴う不動産取引市場の変化に対応するため、平成18年1月4日に全面的に見直し変更を行ったが、その後、スマートフォン等のモバイル機器の急速な普及により、これまで不動産広告の主流であったチラシや雑誌、新聞等の紙媒体からインターネット広告に移ってきた。広告手法の多様化に対応するとともに、消費者利益のより一層の確保や規定の明確化等を目指して、改めて全面的な見直し変更を行い、表示規約は令和4年2月14日に不動産公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受け(同施行規則は同月18日に承認を受けた。)、半年間の普及・周知期間を経て令和4年9月1日付で施行となった。

13訂版に当たっては、この新表示規約の規定に対応するため、12訂版の数多くの箇所に修正を加え、相談事例についても相当数に修正を加えるとともに事例の新設も行った

12訂版と13訂版を並べて、1頁ずつ読み比べてみると、多くのか所に修正が加えられていることが確認できる。

たとえば「事業者の責務」(P31)について、12訂版ではなかった尚書き(下記文章の下線部)が13訂版で加筆され、広告の不当表示における事業者の無過失責任が明確になっている。

事業者の責務

(前略)したがって、本来の趣旨を生かすためには、表示規約の規定に適合する広告表示の実施にとどまらず、よりわかりやすい表示をするよう努めることが必要となり、この観点から、表示規約第2条では、「事業者は、不動産広告の社会陸にかんがみ、深くその責任を自覚し、この規約を遵守することはもとより、社会的・経済的諸事情の変化に即応しつつ、常により適正な広告その他の表示をするよう努めなければならない。」と定めています。

なお、他の事業者から提供された物件情報について、当該事業者からの誤った情報に基づいて当該物件に関する広告を作成したために不当表示となった場合、広告(表示)の内容を決定したのは広告した事業者ですので、過失があるかどうかにかかわらず(無過失責任)、広告した事業者はその表示の責任を負うことになり、表示規約の規制対象になります。

「第3編 相談事例」:ネット絡みの相談が目立つ

表示規約関係の「相談事例」については、12訂版が91件だったのに対して、13訂版が92件。件数自体は1件増えただけだが、中身のほうは結構変わっている。

2020年度以降、マンションの折り込みチラシがほぼ消滅してしまったことが影響しているのであろうか。ネット絡みの相談が目につく(次図)。

  • Q4 外国人向けのインターネット広告に対する規制
  • Q8 オンライン内見(動画等)に対する表示規約上の取扱い
  • Q19 物件概要の一部のみ表示し、詳細は会員登録をした者だけが見ることができるインターネット広告の実施
  • Q23 SNSを利用した広告に対する物件概要の取扱い

表示規約関係の「相談事例」
13訂版「第3編 相談事例(表示規約関係)」P216より

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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