近畿圏でも「おとり広告」問題解決に向けて新たな動きが始まっているという。
おとり広告はなぜ生まれる? 首都圏に続き近畿でも対策強化へ
(略)首都圏では「おとり広告」の排除へ向けて、業界、不動産ポータルサイトを含めた取り組みがすでに始まっている。近畿圏でも、この問題解決に向けて新たな動きが始まった。そこで、この取り組みに対する不動産事業者の理解を深めるため、「不動産ポータルサイト広告に関する勉強会」が開催された。(以下略)
(スーモジャーナル 9月1日)
首都圏と近畿圏とでは、マンション広告の違反状況はどのくらい違うのか可視化してみた。
首都圏の「厳重警告・違約金」件数は近畿圏の5倍
「首都圏不動産公正取引協議会」と「近畿圏不動産公正取引協議会」がそれぞれ公開している「情報公開」(首都圏、近畿圏)のページから、「厳重警告・違約金」データを拾って比較したのが次の図。
首都圏が50件前後で推移しているのに対して、近畿圏は10件前後で推移している。
首都圏の新築マンションの年間供給戸数が近畿圏の2倍ほどであることを勘案すると、近畿圏の「厳重警告・違約金」件数は相対的に少ないと言えるのではないか。
16年度「違約金課徴収益」首都圏2千万円、近畿圏3百万円
さらに、首都圏と近畿圏の「違約金課徴収益」の推移を可視化してみた(次図)。
首都圏のほうが近畿圏よりも「厳重警告・違約金」件数が多いぶん、「違約金課徴収益」も多い。
16年度の首都圏の「違約金課徴収益」約2千万円に対して、近畿圏は約3百万円。
ちなみに、「1件当たりの違約金課徴収益」でみるとここ数年、首都圏と近畿圏とではあまり変わらない。
経常収益に占める「違約金課徴収益」の割合 首都圏は近畿圏の2倍
16年度の経常収益の内訳を可視化したのが次図。
首都圏不動産公正取引協議会の16年度の経常収益約1.7億円に対して、近畿圏不動産公正取引協議会は約5千800万円(首都圏の約3分の1)。
両協議会とも、経常収益の大半を占めているのが会費。
首都圏不動産公正取引協議会の「違約金課徴収益」は経常収益の12%を占めているのに対して、近畿圏不動産公正取引協議会のほうは6%。
首都圏不動産公正取引協議会の「違約金課徴収益」は経常収益の12%を占めているので(近畿圏不動産公正取引協議会の2倍!)、おとり広告絶滅のインセンティブが働かないということはないのか……。