東京都選管HPに過去3年分の「政治資金収支報告書」が公開されているので、都民ファーストの政治資金を可視化してみた。
※敬称略。
都民ファーストの会
東京都の地域政党「都民ファーストの会」は、自民党や公明党のような国政政党の後ろ盾がないので、政党交付金を受けられない。
「都民ファーストの会」と各議員が代表を務める政治団体の政治資金の収入は、2億円に届かない(次図)。
※国政進出を目指して21年に結成された「ファーストの会」の政治資金については後述。

まず、「その他の政治団体」として2016年9月16日に設立された「都民ファーストの会」の政治資金をひも解く。
※代表者は、21年伊藤悠(4期⇒24年目黒区長選落選)、22・23年森村隆行(青梅、2期)。
【収入(21~23年)】政治資金パーティーが主な収入
都民ファーストの政治資金の収入分につき、過去3年間(21~23年)の変化を次図に示す。
21年7月に都議選があったのだが、同年に収入が急増しているわけではない。ひょっとすると都議選の前年に増えたのかもしれないが、20年のデータは既に公開されていないので確認することができない。25年7月の都議選に向けて24年の収入が増えた否か、同年データの公開が待たれる。

全収入金額のうち、最大の収入源は「その他事業収入」(概関紙誌の発行その他の事業による収入)。次いで「個人(党費又は会費)」(個人の負担する党費又は会費)。
以下、順にひも解いていく。
【その他事業収入】政治資金パーティー
「その他事業収入」(正式名称は「機関紙誌の発行その他の事業による収入」)の中身を整理してみた(次表)。
3年連続で「都民ファーストの会ともに進める東京大改革」が京王プラザホテルのコンコードボールルーム(立食キャパ1,120名)で開催されていることが確認できる。

個人(党費又は会費)
「個人の負担する党費又は会費」の総額・1人当たり金額の推移を次図に示す。
1人当たりの平均金額は、約41万円から約30万円に減少している。
減少していとはいえ、30万円の党費(又は会費)は安くないので、これらを負担しているのは一般市民党員ではなく、都議や区議の党員ではないだろうか。残念ながら、収支報告書では、内訳は分からない。

【支出(21~23年)】宣伝事業費と寄附・交付金が目立つ
都民ファーストの会の政治資金の年間支出はけっこうバラついている(次図)。
特に、政治活動費の変動幅は大きい。

政治資金の過去3年間(21~23年)の支出の内訳を次図に示す。
政治活動費のなかでは、宣伝事業費と寄附・交付金が目立つ。

議員(27名)の政治資金の収入格差が大きい
次に、各議員が代表を務めている政治団体の政治資金(21~23年)をひも解く。
「都民ファーストの会」の東京都議団は27名(24年11月18日現在)。
ほとんどの議員は、自分の後援会(資金管理団体)のほかに、「都民ファーストの会〇〇第△支部」(その他の政治団体)の代表を務めている。
例外的なのは、次の6議員。
※設立時期が古い順
- 本橋弘隆(豊島選挙区、2期)【6団体】
- 本橋ひろたか後援会(設立:1998年12月28日)※3か年資金の出入りなし
- 弘翔会(設立:2002年11月19日)※3か年資金の出入りなし
- 立隆会(設立:2002年11月19日)
- 都民ファーストの会豊島総支部(設立:2017年3月6日)
- 都民ファーストの会豊島区第一支部(設立:2017年4月20日)
- 都民ファーストの会本橋ひろたか後援会(設立:2017年4月20日)
- 小山有彦(府中選挙区、4期)【3団体】
- 小山くにひこ後援会(設立:2002年9月20日)
- 都民ファーストの会府中市第二支部(設立:2017年7月27日)
- 府中党(設立:2023年8月10日)
- 【1団体】のみの議員(4名)
- 遠藤千尋、荒木千陽、内山真吾、尾崎大介
政治資金(収入)ランキング
議員の政治資金(該当年の収入)が多い順に整理してみた(次表)。
議員による収入格差が大きい。

※伊藤大輔は、都議補選(23年10月15日)で初当選。
【参考】ファーストの会
「ファーストの会」は、東京都の地域政党「都民ファーストの会」を母体に、国政進出を目指し結成された政党。
都民ファーストの会代表・荒木千陽が21年の衆院選(投開票10月31日)の出馬に向けて、同年9月27日付で設立(最終的には出馬を断念)。22年の参院選(7月10日)では落選。
「ファーストの会」の政治資金(収入)は、500万円程度と少ない(次図)。

個人(寄付)の内訳を次表に示す。
22・23年は、H社の役員・社員からの寄付がメイン。

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