不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


【データで見る】川口市で進む!?「ホワイト・フライト」

ホワイト・フライト(White Flight)とは、治安の悪化などにより、主に白人が人種や文化的な多様性が増加する地域から、より人種的に均質な郊外や農村部へ移転する現象を指す。

川口市で「ホワイト・フライト」は発生しているのか。川口市が公表している「町丁字別人口」(住民基本台帳ベース)を元に、可視化分析してみた。

※本分析においては、難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の「仮放免者」は含まれていない。


もくじ

刑法犯認知件数、埼玉県内では川口市がダントツ(再掲)

埼玉県警察が公表している刑法犯認知件数(市町村別)のうち、令和5年確定値によれば、全刑法犯の認知件数は川口市がダントツに多い(次図)。

※詳しくは、「【データで見る】川口市の治安は悪いのか」参照。

刑法犯認知件数、埼玉県内では川口市がダントツ

外国人が多く住んでいる3つの地区(川口市の南西部)

まずは、外国人が多く住んでいる地区を確認する。

川口市が公表している「町丁字別人口」(住民基本台帳ベース)を元に、2015年以降の地区単位の外国人人口の月次変化を可視化してみた(次図)。

24年9月時点で、10地区のうち外国人が5千人を超えているのは3地区(横曽根・青木・芝)。3地区とも新型コロナ感染拡大時期を除くと、増加傾向がみられる。

地区単位の外国人人口の月次変化(川口市)

川口市に不案内な人向けに、10地区の位置を次図に示す。

川口市10地区マップ
広報かわぐち(2011年10月号)に楕円(3地区)を加筆

 

次に、外国人人口割合の分布図(2024年1月現在)を次図に示す。
特に川口市の南西部、蕨市と隣接した地域の外国人人口の割合が高いことが分かる。

外国人人口割合の分布図【川口市】

さらに、3つの地区それぞれについて、丁目単位の外国人の人口・人口割合の推移を確認する。

※各丁目の位置については、後述(まとめ)のマップ参照。

横曽根地区

24年9月時点で、外国人が500人を超えている丁目は、下記に示す9か所。

特に、並木3丁目・2丁目(いずれも西川口駅の東側)の増加が目立つ(次図)。

丁目単位の外国人人口の月次変化(横曽根地区)

  • 並木3丁目(1,653人)
  • 西川口1丁目(1,592人)
  • 並木2丁目(1,451人)
  • 西川口3丁目(1,033人)
  • 並木1丁目(701人)
  • 西川口4丁目(680人)
  • 西川口6丁目(615人)
  • 並木4丁目(550人)
  • 西川口2丁目(505人)

24年9月時点で外国人が500人を超えている9つの丁目につき、外国人人口の占める割合の月次変化を次図に示す。

新型コロナ感染拡大時期を除き、いずれの丁目とも増加傾向がみられる。特に、西川口1丁目は4割に迫っている。また、並木3丁目は3割を超えている。両丁目とも西川口駅に隣接している。

外国人人口割合の月次変化(横曽根地区)

青木地区

24年9月時点で、外国人が500人を超えている丁目は、下記に示す2か所。

特に、西青木2丁目(主に住宅地からなる)の増加が目立つ(次図)。

丁目単位の外国人人口の月次変化(青木地区)

  • 西青木2丁目(672人)
  • 西青木1丁目(436人)

24年9月時点で外国人が500人を超えている2つの丁目につき、外国人人口の占める割合の月次変化を次図に示す。

新型コロナ感染拡大時期を除き、両丁目とも増加傾向がみられる。特に、23年以降の増加が著しい。両丁目とも西川口駅に近く、主に住宅地からなる。

外国人人口割合の月次変化(青木地区)

芝地区

24年9月時点で、外国人が500人を超えている丁目は、下記に示す3か所。

特に、芝園町の増加が目立つ(次図)。

丁目単位の外国人人口の月次変化(芝地区)

  • 芝園町(2,734人)
  • 芝新町(646人)
  • 大字芝(623人)

24年9月時点で外国人が500人を超えている3つの丁目につき、外国人人口の占める割合の月次変化を次図に示す。

芝園町における外国人人口の占める割合は漸増していて、6割に迫っている。川口市内で最も「ホワイト・フライト」が発生している場所といえるのではないか。

※芝園町は、UR都市機構が運営している芝園団地で占められていて、キャパシティ約5千人の住戸から日本人が退去し、代わりに外国人(主に中国人)がドンドン増えている。詳細は、「UR芝園団地は移民受け入れの社会実験か」参照。

外国人人口割合の月次変化(芝地区)

まとめ

外国人が多く住んでいる3つの地区(横曽根・青木・芝)では、3地区とも新型コロナ感染拡大時期を除くと、外国人人口の占める割合に増加傾向がみられる。

西川口駅周辺の一部の丁目と芝園町(UR賃貸のある芝園団地)では、「ホワイト・フライト」が発生しているといえるのではないか。

  • 横曽根地区
    外国人人口の占める割合が高く、新型コロナ感染拡大時期を除き増加しているのは西川口1丁目(4割に迫る)と並木3丁目(3割超)で、両丁目とも西川口駅に隣接している。
  • 青木地区
    外国人人口の占める割合が高く、新型コロナ感染拡大時期を除き増加しているのは西青木2丁目(23%)と西青木1丁目(17.5%)。特に、23年以降の増加が著しい。両丁目とも西川口駅に近く、主に住宅地からなる。
  • 芝地区
    芝園町における外国人人口の占める割合は漸増していて、6割に迫っている。川口市内で最も「ホワイト・フライト」が発生している場所といえるのではないか
    ※芝園町は、UR都市機構が運営している芝園団地で占められていて、キャパシティ約5千人の住戸から日本人が退去し、代わりに外国人(主に中国人)がドンドン増えている。

川口市3地区のうち外国人が500人超の丁目

あわせて読みたい

 
2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.