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羽田新ルート|「都及び関係区市連絡会」(令和5年度 第4回分科会)コッソリ開催

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の「令和5年度 第4回分科会」が24年2月19日に開催されていたことをご存じだろうか。

※投稿24年3月13日(追記24年4月5日)


もくじ

都及び関係区市連絡会、今回もコッソリ開催されていた

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」のページの「最終更新日」が3月12日17時00分、「令和6年3月12日」に変っていた。

どこが変わったのかと、目を皿のようにしてチェックしていくと、都市整備局の読みづらい「トピックス」に「都及び関係区市連絡会 第4回分科会」が追記されたことに気づく(次図)。

毎度のことであるが、トピックスに掲載された日付がないので、ぼーっと見ているだけでは、新着情報であることに気が付かない。また、都HPの新着情報にも都市整備局HPの新着情報にも掲載されていないので、一般の都民が知ることは不可能である(それが狙いか…)。

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」

リンク先を開くと、「議事の要旨」のほかに、「各区市の意見等」(PDF形式)が掲載されている。

会議の概要
  • 会議名 令和5年度羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 分科会(第4回)
  • 開催日 令和6年2月19日(月曜日)
  • 出席状況
    • 東京都、港区、新宿区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、中野区、豊島区、北区、板橋区、練馬区、江戸川区、国土交通省
  • 議事の要旨
    * 国土交通省より、羽田衝突事故と騒音測定結果、部品欠落報告等について説明

【各区市の意見等】(PDF形式)

  • 1月2日の事故について、様々な対策を講じていただいているところである。本日の報告内容については事前に区長にも報告を行っており、区長から、事故の原因究明、並びに再発防止に向けた安全対策の徹底を要請したい、といった言葉を預かっている。この場を借りて要請させていただきたい。

    • ⇒要請について重く受け止めている。再発防止に向けて、引き続き最善の策を講じていく

  • 例年と比べて南風の運用割合が増えているが、Lden にも影響はあるのか

    • ⇒測定局毎にそれぞれ北風時、南風時、どちらの騒音を主な測定対象としているか傾向がある。南風が増えることによって、南風時の騒音を主対象としている測定局においては測定回数が増えるため、Lden の数値も上昇するものと考えられる

  • 1月2日の衝突事故について、緊密に情報提供いただき感謝を申し上げる。1月9日の緊急対策、また有識者による検討会の立ち上げ等、対応を進めていただいているところであるが、原因究明、再発防止の取組について、今後も推進していただきたい。事故については国のホームページでも情報発信を行っていたが、中には専門的な用語もあり分かりにくいといった声がある。分かりやすい言葉に置き換える等、丁寧な情報提供をお願いしたい。また、結果的に運用はされなかったものの、A 滑走路からの北向き離陸の緊急措置について、当運用が先例として今後も活用されることが起こらないよう、ご対応いただきたい。

    また、固定化回避に関して、まずは安全を第一に検討を進めていただき、検討結果については早急に取り纏めいただきたい
    • ⇒事故の原因究明については運輸安全委員会の調査に協力しつつ、再発防止策についてはその結論を待つことなく取り組んでいく。ホームページでの情報発信についてもわかりやすく、丁寧な発信を行うよう取り組む。具体的な提案等があれば相談させていただきたい。A 滑走路北向き離陸について、実際には運用されなかったが、ご要望は重く受け止める。緊急の対応については、引き続き皆様ともご相談させていただきながら定めていく。

      また固定化回避検討会について、残された技術的な検証作業について速やかに進めていく。これまでも安全性の確保を大前提に取り組んできたが、今回の事故を受けてより一層意識を高めつつ、残された作業を速やかに進めていく

【会議資料】

公開された「会議資料」(次図)は、「(資料6-2)都に寄せられた意見について」と「(追加資料)羽田事故概要」以外は、国交省が「新飛行経路の定期運用報告(第23回」として3月12日に公表した資料に含まれている。

国交省は2月19日に都及び関係区市連絡会で関係自治体に、羽田衝突事故と羽田新ルートの運用状況を報告し、約3週間後の3月12日に、都と同じ日に関連資料を公表するという手順を踏んでいたことが分かる

会議資料

※これまでは会議開催後約1か月で都HPに公開されていたが、今回は3週間と公開時期が早まった。ひょっとして筆者が同会議の開催を3月1日に認知し、同日開示請求したことが影響したのか……。

都民の怒りの矛先は都ではなく、国に向かっている!?

国交省の配布資料(3月12日公表)に無かったのは、「(資料6-2)都に寄せられた意見について」。23年11月1日から12月31日までの問合せ件数(速報値)が掲載されている。2か月でたったの6件!

国や国が委託しているコールセンターに寄せされた件数と比較すると、都に寄せられた件数がいかに少ないかがよく分かる(次図)。

都民の怒りの矛先は東京都ではなく、国に向かっているのか。あるいは都民は東京都に羽田新ルートに係る対応を期待していないのか……。

羽田新ルートに関して寄せられた意見の件数

「都及び関係区市連絡会」開催実績

羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会の開催実績を次図に示す。

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」 開催状況

【追記】開示請求で「出欠表(予定)」「議事概要」

※追記24年4月5日

3月12日に公開された「議事の要旨」「各区市の意見等」では、区の出席者が不明だし、どの区が発言したのかも分からない。

東京都に開示請求していた文書(出欠表(予定)議事概要)を入手したので、以下ひも解く。

13区のうち代理を立てたのは5区(江東・目黒・渋谷・中野・練馬)

東京都からの参加は都市整備局理事。羽田新ルートが通過する13区のうち、代理を立てたのは5つの区(次図)。江東区(課長が代理出席)以外の4つの区(目黒・渋谷・中野・練馬)は全て係長が代理出席。羽田新ルート問題への力の入れようがよく分かる。

※港区と新宿区は部長がオンラインで参加。

出欠表(予定)

公開文書と開示文書、ほぼ一致!

議事概要によって、「関係区の主な発言」とされていたのは、2つの区(豊島区、品川区)と東京都の発言だったことが確認できる。

3月12日に公開された文書(以下、「公開文書」)と今回開示された文書(以下、「開示文書」をつぶさに比較すると、開示文書に対して次のように1か所表現が違っている(緊急対応⇒緊急対策)だけだった。

品川区:(略)1月2日の衝突事故について、緊密に情報提供いただき感謝を申し上げる。1月9日の緊急対応緊急対策、また有識者による検討会の立ち上げ等、対応を進めていただいているところであるが(以下略)

前回の「令和5年度 第2回幹事会」のときもそうだったのだが、筆者が執拗に開示請求するものだから、公開文書と開示文書を一致させるようになったのかもしれない。

国交省「推計平均値を超えている」と明言

「 議事の要旨」では、「国土交通省より、羽田衝突事故と騒音測定結果、部品欠落報告等について説明」としか記されていなかったのだが、今回入手した開示文書では、国交省がどのような説明をしたのが詳細が記されている。

特に気になったのは、「議題 1  騒音対策について」、国交省が資料4(羽田空港新飛行経路に係る航空機騒音の測定結果)に沿って説明している以下のくだり。

(前略)羽田小学校の大型機について、推計平均値を 超えている。(中略)
新宿区の落合第二小学校の 12 月の大型機についても推計平均値を超えている
(中略)
中野区の小淀ホームの中型機も超過 している。(以下略)

羽田小学校や落合第二小学校、中野区の小淀ホームの騒音測定値が、国交省がこれまで「説明会等でお示ししていた推計平均値」を超えていることを認めているのである。

目黒区の田道小学校の騒音測定値も推計平均値を超えているのだが(次図)、国交省はそのことには触れていない。

実測値の平均と推計平均値の比較
(資料4「羽田空港新飛行経路に係る航空機騒音の測定結果」)

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