不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


羽田新ルート|「都及び関係区市連絡会」(令和5年度 第2回分科会)コッソリ開催

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の「令和5年度 第2回分科会」が23年9月1日に開催されていたことをご存じだろうか。

※投稿23年9月29日(追記23年11月1日)


もくじ

都及び関係区市連絡会、今回もコッソリ開催されていた

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」のページの「最終更新日」が9月29日17時、「令和5年9月29日」に変っていた。

どこが変わったのかと、目を皿のようにしてチェックしていくと、都市整備局の読みづらい「トピックス」に「都及び関係区市連絡会 第2回分科会」が追記されたことに気づく(次図)。

毎度のことであるが、トピックスに掲載された日付がないので、ぼーっと見ているだけでは、新着情報であることに気が付かない。また、都HPの新着情報にも都市整備局HPの新着情報にも掲載されていないので、一般の都民が知ることは不可能である(それが狙いか…)。

令和5年度 第2回分科会

リンク先を開くと、「議事の要旨」のほかに、「各区市の意見等」(PDF形式)が掲載されている。

会議の概要
  • 会議名 令和5年度羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 分科会(第2回)
  • 開催日 令和5年9月1日(金曜日)
  • 出席状況
    • 東京都、港区、新宿区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区、中野区、豊島区、北区、板橋区、練馬区、江戸川区、国土交通省
  • 議事の要旨
    *国土交通省より、騒音測定結果や部品欠落報告等についての説明

【各区市の意見等】(PDF形式)

  • 15 時から 19 時における南風運用について、1時間あたり最大で 90 回程度の離発着があるが、現時点で最大どれくらいの割合で運用されているのか
    • ⇒月によって変動があるものの、概ね 100 パーセントとなっている。5月においては約 98パーセント、6月は約 96 パーセントである。例えば C 滑走路であれば1時間あたり 30 機程度が目安となっているが、28~30 機程度が飛んでいることになる。
  • 羽田小学校の小型機の推計平均値について、説明会段階での推計平均値が 72 デシベルであるが、5月において昨年が 73.3 デシベル、今回は 74.0 デシベルとなっている。今後どのような傾向になると想定されるか。
    • ⇒今後の推移は、機材構成が大きな要因となってくる。コロナ禍からの復便により、低騒音機以外の機体がどれくらい運航するのか、機材構成の変化を注視していく必要がある。今後の傾向について、現時点で予測することは難しい
  • 田道小学校の騒音測定結果について、中型機、小型機が推計平均値を上回っている。復便による機材構成の変化を注視していくとのことだが、具体的にどのようなことを行っていくのか。
    • ⇒田道小学校については、5月において 77 から 79 デシベル相当と、大き目の音が出ているが、これは特異音が影響している可能性がある。原因について断定は難しいが、特に機体構成がポイントになってくると考えているので、引き続き注視していく
  • 資料4の全体総括の中に、以前は「復便の状況を鑑みて注視していく」という趣旨の記載があったが、現在は復便も進んだため、文言を削除していると理解しているが、騒音に関する内容は都民の関心も高いため、復便による機材構成の変化についてもなるべく早い段階で見解を公表いただきたい
  • Lden について、全測定局で環境省の定める環境基準を満たしているとのことだが、Lden は通年の測定結果にて評価をするものと理解している。今回の資料は6月までの測定結果であるが、どのように計算して環境基準を満たしていると判断できるのか
    • ⇒環境省の定める航空機騒音に係る環境基準では、評価は1年間のうち代表する1週間を連続測定し、1日毎の Lden 値を7日間で平均することで評価するとされている。今回は5月と6月の2箇月間の測定結果を基に評価しているが、環境基準で定める測定期間である1週間に比べ長い期間測定しているところ、その場合、当該期間における測定結果を基にLden を算出し、環境基準を満たしているか確認することとなる。資料については、1月単位で区切り、各月ごとの Lden を記載している。
  • 航跡図の一部に欠損があったとのことだが、仮に、ホームページ上で公開しているシステムで航跡図を作成した場合、5月と6月の航跡は想定ルートを大きく逸脱していないと理解して良いのか。
    • ⇒ホームページに公開している管制用のレーダーからデータを取得しているシステムで確認したところ、大きな逸脱や航空安全上問題のある航跡は確認できなかった
  • 部品欠落について、新飛行経路下における落下物ゼロを維持していることについて敬意を表す。また、次回の固定化回避検討会について、夏から秋にかけて開催されるとのことであるが、当区としても開催状況や内容について関心度が高い。開催の日程等、スケジュールが決まり次第、速やかに情報提供いただきたい
  • 国に寄せられた意見について、羽田新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の検討状況についての問い合わせがあるとのことだが、こういった問い合わせに対して、どのような回答を行っているのか
    • ⇒問合せに対しては、これまでに過去5回開催した固定化回避検討会の資料や議事概要等をホームページに公表しており、それら資料に基づき、これまでに検討してきた内容についての説明や、ホームページのご案内等を行っている。今後の開催予定についての問合せについては、これまで各自治体へご案内しているものと同様、夏から秋にかけて開催予定ということをお伝えしている。
  • 教室型の説明会について、議会からも要望が出ており、改めて開催の検討をお願いしたい。また、通常とは異なる運用であるゴーアラウンド等がなされているということについて、区民の方に丁寧な説明を実施頂くよう、ご検討いただきたい。
    • ⇒これまでの会議でも同様の要望を頂いており、重く受け止めている。説明会についてはタイミングや内容を引き続き検討しており、然るべきタイミングで説明ができるよう、検討を続けていく。ゴーアラウンドについても、丁寧な説明の中の一環として、引き続き検討を進めていく。

【会議資料】

公開された「会議資料」(次図)は、「(資料6-2)都に寄せられた意見について」以外は、国交省が「新飛行経路の定期運用報告(第20回」として9月29日に公表した資料に含まれている。

国交省は9月1日に都及び関係区市連絡会で関係自治体に羽田新ルートの運用状況を報告し、約1か月後の9月29日に、都と同じ日に関連資料を公表するという手順を踏んでいたことが分かる

会議資料

都民の怒りの矛先は都ではなく、国に向かっている!?

国交省の配布資料(9月29日公表)に無かったのは、「(資料6-2)都に寄せられた意見について」。23年5月1日から6月30日までの問合せ件数(速報値)が掲載されている。2か月でたったの31件!

国や国が委託しているコールセンターに寄せされた件数と比較すると、都に寄せられた件数がいかに少ないかがよく分かる(次図)。

都民の怒りの矛先は東京都ではなく、国に向かっているのか。あるいは都民は東京都に羽田新ルートに係る対応を期待していないのか……。

羽田新ルートに関して寄せられた意見の件数

「都及び関係区市連絡会」開催実績

羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会の開催実績を次図に示す。

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」 開催状況

【追記】開示請求で「出欠表(予定)」「議事概要」

※追記23年11月1日

9月29日に公開された「議事の要旨」「各区市の意見等」では、区の出席者が不明だし、どの区が発言したのかも分からない。

東京都に開示請求していた文書(出欠表(予定)議事概要)を入手したので、以下ひも解く。

部長が全員出席したのは初めて

東京都からの参加は都市整備局理事。羽田新ルートが通過する13区の部長が全員出席したのは初めて(次表)。

出欠表(予定)

システム不具合による航跡図データ欠損のお詫び

国交省は、システム不具合による航跡図データ欠損についてお詫びしている。

※下記に示す開示文書は、原文では改行はほとんどないが、WEB上で読みやすくするために筆者にて改行した。

議題 1  騒音対策について

(国交省航空局)

  • (前略)航跡図についてお詫びがある。5月10日から6月27日にかけて、データの欠損が発生している。これは、航跡を編集するシステムの不具合であり、情報が蓄積されないトラブルが発生したためである。特に、2ページ目のC滑走路離陸、4ページ目のA・C滑走路着陸について、殆どのデータが欠損している。システムトラブルについて、お詫びを申し上げる

    しかし、重ね合わせ航跡図とは別に、国土交通省のホームページにも航跡図を公開している。これは毎日更新されており、時々欠損が発生するものの、ほぼ100パーセントの航跡が掲載されている。これまで2つの方法で情報の公開を行っており、当資料に掲載していない航跡においても、ホームページ上では公開を行っている。

    ホームページ上で公開しているシステムについては、航空管制用のレーダーからデータを取得しており、航空機の安全や、想定される経路を飛行していることを確認できている。安全上、また情報公開という観点からも、大きく逸脱はしていないと考えている。7月以降、システムは通常に戻っており、今後はこのようなことがないよう、しっかりと対応していく。

    2ページ目はC滑走路北風離陸である。データの欠損はあるものの、全体としては想定の経路を飛行している。3ページ目、B滑走路南風離陸について、こちらは比較的データの蓄積はできており、ほぼ全ての航空機の航跡が反映できている。こちらも想定内の飛行経路を飛行しており、大きく逸脱している航空機は見られなかった。

    4ページ目のA・C滑走路、南風着陸について、データの欠損が発生しているものの、残っている航跡と、ホームページで公開している管制用のレーダーを基にした航跡図を確認したところ、想定の経路内を飛行していることを確認している。

(上記に係るマン点解説)

国交省は「7月以降、システムは通常に戻っており」と発言している。でも、筆者の調査によれば、システム不具合によるデータ欠損は、7月以降も発生している(7月18日~20日)。また、「翌平日の午後以降の公開予定」とされているが、たびたび公開が遅れている(8月25日9月1日9月15日)。

そして遂に、9月22日のトルコ航空199便に係るデータ操作疑惑が発覚する。

国交省にとって都合の悪い情報は、公開文書から削除

議事概要によって、「各区市の意見等」とされていたのは、東京都と4つの区(大田2回、目黒2回、品川1回、豊島1回)の発言だったことが確認できる。

9月29日に公開された文書(以下、「公開文書」)と今回開示された文書(以下、「開示文書」をつぶさに比較すると、国交省にとって都合の悪い部分は削除されていることが分かる。

※下記に示す開示文書は、原文では改行はほとんどないが、WEB上で読みやすくするために筆者にて改行した。また、公開文書と比べて、開示文書で修正されている部分については削除追記が分かるように表現しておいた。

(目黒区)

  • 田道小学校の騒音測定結果について、中型機、小型機が推計平均値を上回っている。復便による機材構成の変化を注視していくとのことだが、具体的にどのようなことを行っていくのか。

(国交省航空局)

  • コロナ後の復便における機材構成の変化を注視するのは言葉通りだが、特に、推計平均値を上回っている測定局において、例えば田道小学校については、5月において77から79デシベル相当と、大き目の騒音値が出ているものがあるが、これは特異音が影響している可能性がある。

    原因について断定特定は難しいが、特に機体機材構成がポイントになってくると考えているので、引き続き注視していく。

(上記の加除に係るマン点解説)

「特に、推計平均値を上回っている測定局」という国交省にとって目立ってほしくない表現は削除されている。

(東京都)

  • Ldenについて、全測定局で環境省の定める環境基準を満たしているとのことだが、Ldenは通年の測定結果にて評価をするものと理解している。

    今回の資料は、6月までの測定結果であるが、どのように計算して環境基準を満たしていると判断できるのか。
  • (国交省航空局)
    Ldenは1年間を区切りとして測定結果を公表しているが、今回は5月と6月の2箇月分の測定結果について航空機騒音に係る環境基準を満たしていることを確認している。なお、測定自体は通年で行っているが、環境省の定める航空機騒音に係る環境基準では、評価自体は1年間のうち代表する1週間を連続測定し、1日毎のLden値を7日間で平均することで評価するとされている。

    今回は5月と6月の2箇月間の測定結果を基に評価しているが、環境基準で定める測定期間である1 週間に比べ長い期間測定しているところ、その場合、当該期間における測定結果を基に Lden を算出し、環境基準を満たしているか確認することとなる。資料については、1月単位で区 切り、各月ごとの Lden を記載している。

(上記の加除に係るマン点解説)

環境省の定める航空機騒音に係る環境基準では、1年間のうち代表する1週間を連続測定すればいいことになっているので、「Ldenは1年間を区切りとして測定結果を公表」とか「今回は5月と6月の2箇月分の測定結果について航空機騒音に係る環境基準を満たしている」といった寝た子を起こすような情報は削除されている。

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.