都内では新築、中古ともマンションが高騰して、庶民には手が出しにくい状況が続いている。とはいえ、結婚や出産、転勤など、ライフスタイルの変化に伴い購入に迫られている人もいるだろう。
どの程度までなら毎月の住宅ローン返済が可能なのか。
総返済負担率(収入に対する返済額の割合)は、一般的には30~35%程度と言われているが、実際はチョット違う、という話。
※投稿23年9月18日(更新24年8月23日)
総返済負担率の経年変化(11~23年度)
借入金が多いと生活に余裕がなくなるし、返済不能になるリスクが高くなる。何らかの目安はないのか。
じつは、住宅金融支援機構が毎年発表している「フラット35利用者調査」に掲載されている「総返済負担率」(中央値)が参考になる。あなたが背負おうとしている借金の多寡が世間並みなのかどうか、判断材料になるだろう。
首都圏|新築 21→25%、中古 18→21%
まず、首都圏で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の経年変化(11~23年度)を可視化してみよう(次図)。
一般的に言われている30~35%程度よりも、ずっと低い値となっている。
- 新築マンションの総返済負担率(緑色実線)は、新築マンションのm2単価(緑色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の21.3%から徐々に上昇。21年度に24.6%に急上昇したあと24.7%で頭打ち。
- 中古マンションの総返済負担率(橙色実線)は、中古マンションのm2単価(橙色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の18.3%から上昇し、18年度には21.3%まで上昇するも、その後は21%で頭打ちとなっている。
東京|新築 22→26%、中古 20→23%
次に、東京で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の経年変化(11~23年度)を可視化してみよう(次図)。
一般的に言われている30~35%程度よりも、ずっと低い値となっている。
- 新築マンションの総返済負担率(緑色実線)は、新築マンションのm2単価(緑色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の21.8%から徐々に上昇。21年度に25.6%に急上昇したあと25.7%で頭打ち。
- 中古マンションの総返済負担率(橙色実線)は、中古マンションのm2単価(橙色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の19.6%から上昇し、18年度22.6%まで上昇したあと一旦下降。再び上昇するが23.1%で頭打ち。
総返済負担率の頻度分布(23年度)
さらに、総返済負担率のどのあたりが多いのか、23年度の頻度分布を見てみよう。
首都圏|新築「30.0%~」最も多い、中古「25.0~29.9%」最も多い
首都圏で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の頻度分布を次図に示す。
- 新築マンションの総返済負担率(緑色線)は、「30.0%~」が最も多く全体の26.1%を占めている。
- 中古マンションの総返済負担率(橙色線)も、「25.0~29.9%」が最も多く全体の21.9%を占めている。
東京|新築「30.0%~」最も多い、中古「25.0~29.9%」最も多い
東京で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の頻度分布を次図に示す。
- 新築マンションの総返済負担率(緑色線)は、「30.0%~」が最も多く全体の30.0%を占めている。
- 中古マンションの総返済負担率(橙色線)は、「25.0~29.9%」が最も多く全体の24.5%を占めている。
【参考】総返済負担率について
フラット35には最低年収などの制限はないが、年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が次表の基準以下であることが求められている。
※すべての借入れには、フラット35による借入れのほか、フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの借入れも含まれている。
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