不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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どの程度までなら住宅ローンの返済が可能なのか(総返済負担率)

都内では新築、中古ともマンションが高騰して、手が出しにくい状況が続いている。とはいえ、結婚や出産、転勤など、ライフスタイルの変化に伴い購入に迫られている人もいるだろう。

どの程度までなら毎月の住宅ローン返済が可能なのか。

総返済負担率(収入に対する返済額の割合)は、一般的には30~35%程度と言われているが、実際はチョット違う、という話。


もくじ

総返済負担率の経年変化(11~22年度)

借入金が多いと生活に余裕がなくなるし、返済不能になるリスクが高くなる。何らかの目安はないのか。

じつは、住宅金融支援機構が毎年発表している「フラット35利用者調査」に掲載されている「総返済負担率」(中央値)が参考になる。あなたが背負おうとしている借金の多寡が世間並みなのかどうか、判断材料になるだろう。

首都圏|新築 21→25%、中古 18→21%

まず、首都圏で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の経年変化(11~22年度)を可視化してみよう(次図)。

一般的に言われている30~35%程度よりも、ずっと低い値となっている。

  • 新築マンションの総返済負担率(緑色実線)は、新築マンションのm2単価(緑色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の21.3%から上昇し、22年度には24.7%に達している
  • 中古マンションの総返済負担率(橙色実線)は、中古マンションのm2単価(橙色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の18.3%から上昇し、18年度には21.3%まで上昇するも、その後は20.5%前後で頭打ちとなっている。

新築・中古マンションの総返済負担率の経年変化【首都圏】

【解説】

  • 新築マンション購入者は、m2単価の上昇を追うように総返済負担率も上昇させている(背伸びし続けている)。
  • でも、中古マンション購入者のほうは、m2単価が上昇し過ぎると、専有面積を抑えたり、駅徒歩時間を妥協したりして、総返済負担率を抑える(背伸びしない)傾向が見られる。
東京|新築 22→26%、中古 20→23%

次に、東京(※1)で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の経年変化(11~22年度)を可視化してみよう(次図)。

一般的に言われている30~35%程度よりも、ずっと低い値となっている。

※1:総返済負担率は東京都、㎡単価は東京23区のデータを用いた。

  • 新築マンションの総返済負担率(緑色実線)は、新築マンションのm2単価(緑色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の21.8%から上昇し、21年度には25.6%まで上昇したが、22年度には25.5%に下降した
  • 中古マンションの総返済負担率(橙色実線)は、中古マンションのm2単価(橙色破線)の上昇に呼応するように、最も低かった13年度の19.6%から上昇し、18年度22.6%まで上昇したあと一旦下降。再び上昇し22年度は23.1%

新築・中古マンションの総返済負担率の経年変化【東京】

【解説】

  • 新築マンション購入者は、m2単価の上昇を追うように総返済負担率も上昇させているが(背伸びし続けるが)、首都圏と違って東京の場合は背伸びにも限度があるのかもしれない
  • 中古マンション購入者のほうは、m2単価が上昇し過ぎると、専有面積を抑えたり、駅徒歩時間を妥協したりして、総返済負担率を抑える(背伸びしない)。ただ、首都圏と違って東京の場合はm2単価がさらに上昇すると、総返済負担率も上昇するのは新築を諦めて中古に流れてくる人の影響ではないか

総返済負担率の頻度分布(22年度)

さらに、総返済負担率のどのあたりが多いのか、22年度の頻度分布を見てみよう。

首都圏|新築・中古とも「25.0~29.9%」約4分の1を占めている

首都圏で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の頻度分布を次図に示す。

  • 新築マンションの総返済負担率(緑色線)は、「25.0~29.9%」が最も多く全体の4分の1(25.07%)を占めている。
  • 中古マンションの総返済負担率(橙色線)も、「25.0~29.9%」が最も多く全体の4分の1(23.25%)近くを占めている。

新築・中古マンション「総返済負担率」頻度分布【首都圏】22年度

東京|新築「30.0%~」最も多い、中古「25.0~29.9%」約4分の1

東京で新築・中古マンションを購入した人の総返済負担率の頻度分布を次図に示す。

  • 新築マンションの総返済負担率(緑色線)は、「30.0%~」が最も多く全体の26.78%を占めている。
  • 中古マンションの総返済負担率(橙色線)は、「25.0~29.9%」が最も多く全体の4分の1(25.11%)近くを占めている。

新築・中古マンション「総返済負担率」頻度分布【東京】22年度

【参考】総返済負担率について

フラット35には最低年収などの制限はないが、年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が次表の基準以下であることが求められている。

※すべての借入れには、フラット35による借入れのほか、フラット35以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの借入れも含まれている。

総返済負担率の基準_フラット35
年収による借入額などの制限はありますか|フラット35

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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