森沢品川区長は12月28日、フリーランスを入れた記者会見を実施。
大手の新聞記者からの質問は区長が喜びそうな内容であるのに対して、フリーランスからの質問は区長にとって厳しい内容が多い……。
森沢区長、区政の発信を強化したい(東京新聞)
森沢品川区長は12月28日、今後は月1回程度記者会見を開く方針を示した。
自分の給与と退職金を2割カット 初当選の品川区・森沢区長が発表 「物価高騰の中、姿勢を示したい」
東京都品川区の森沢恭子区長は28日、記者会見し開会中の区議会定例会に区長給与を2割削減する改正条例案を追加提出すると発表した。退職金も2割減となる。3〜6歳の子どもがいる家庭に1人あたり2万円の区内共通商品券を配るなど物価高騰対策も示した。
(中略)
森沢区長はかねて区政の発信を強化したいと述べており、今後は月1回程度会見を開く方針も示した。近年、同区では新年度前に当初予算案を発表する際以外に区長の定例会見はなかった。(東京新聞 12月29日)
区長説明では羽田の「は」の字も出てこない
12月28日に実施された区長記者会見は、どんな様子だったのか。
品川区のトップページから「品川区長」>「区長記者会見について 」と辿っていくと、「12月28日 記者会見について」として、会見の様子を伝えるYouTubeへのリンクが掲載されている。
4分56秒の動画を視聴したのだが、公約に掲げていた羽田新ルート区民アンケートにはほとんど触れてない。
「区民アンケート」と言っただけで、羽田の「は」の字も出てこない。しかも、「そういったことについても同様の方向で進めております」って、手抜きし過ぎではないか。
そして、子育て3つの無償化、小・中・義務教育学校の給食費完全無償化、保育料第二子以降の無償化、高校生までの医療費無償化、これは都との連携になりますが、いずれも所得制限なしで来年度予算で実現をできるよう、区長査定において財源の捻出などを含め調整を進めております。
また、子育て家庭の見守り・つながりの強化を目的とする0歳児のおむつ宅配、区民アンケート、そういったことについても同様の方向で進めております。
この34分のYouTube動画は「品川区公式チャンネル しながわネットTV」に掲載されているのだが、冷静になって考えてみるとおかしな点に気づく。「区長記者会見」となっているのに、記者との質疑応答が記録されていないのだ。
「品川区公式チャンネル しながわネットTV」のなかをひも解いていくと「品川区長記者会見」として記者との質疑応答も含んだ42分32秒のフルバージョンのYouTube動画を発見。
「区政の発信を強化したい」というのならば、区長PRに特化した34分のYouTube動画だけでなく、記者との質疑応答も含んだ42分32秒のフルバージョンのリンクも貼っておくべきだろう。
記者会見での質疑応答(フリー4人、大手新聞記者3人)
記者会見では実際にどのような質疑応答があったのか、簡単に整理しておこう。
※すったもんだの末にフリーランスの参加が実現した記者会見の舞台裏についは、フリーランス畠山理仁氏のnote「森沢きょうこ品川区長の就任記者会見にフリーランス記者は出席できた。それでも解決されない問題点」参照。
約45分間の質疑応答で質問した記者は、以下に示すフリーランス4人、大手新聞記者3人であった。
※( )内の数字は質問回数。
- フリーランス
- 畠山理仁氏(3回):
フリーランス参加、情報公開請求のオンライン申請、女性が選挙に出ること - 羽田ゆきまさ氏(3回):
情報公開、こども食堂・公用車、所信表明がHPに出ていない件 - 寺澤有氏(3回):
フリーランス参加、女性区長について、フリーランス参加 - 平野(?)氏(2回):校則見直し、羽田新ルート
- 畠山理仁氏(3回):
- 大手新聞記者
- 読売新聞 岡本氏(1回):無償化
- 日経新聞 鈴木氏(1回):子育て支援
- 東京新聞 岩田氏(2回):
区長の給与カット、区議会デジタル化・副区長について
大手の新聞記者からの質問は区長が喜びそうな内容であるのに対して、フリーランスからの質問は区長にとって厳しい内容が多い印象。特に、寺澤有氏からの質問は3回のうち2回、記者会見にフリーランスが参加できるようになった経緯を問うものであった。
フリーランスの厳しい質問にも笑顔で答えようとする森沢区長の姿勢は高く評価したい。
今回のフリーランスからの質問によって、森澤区長は、今後は記者会見の内容について文字起こしした文章も公開することを検討すると回答(公開を確約はしていない)。記者会見のさらなる透明化に期待したい。
羽田新ルートに係る質疑応答(区長×平野)
45分間の質疑応答のなかで、羽田新ルート問題を取り上げたのは平野氏だけ。
平野氏が「具体的にどのような形でアンケートを取るのか」問いただしたところ、区長からは区議会答弁と同様、「今まさに検討を推し進めているところ」という中身のない回答であった。
フリーランスの方々には次回以降、さらに鋭い質問を期待したい。
あと、質問する際には、視聴者にも聞き取れるよう、名前(と所属)を活舌よく、ゆっくりと話してほしい。
平野
- 羽田新ルートの問題について、ちょっと議会でのやり取りを見させていただいたんですが、区長は前回回会見で、全区民アンケートを取るとおっしゃっていましたが、具体的にどのような形でアンケートを取るのか教えていただきたいなと思うんです。
- 例えば、インターネットだとか LINE とかそういったものを使ってアンケートされた場合、高齢者の方は回答しづらいし、一方で区報だけだと新聞を取っていない人はもらいづらいと、いろいろそれぞれの媒体ごとの長所・短所があると思いますけど、どういうアンケートの取り方をするのかということを教えてもらえますか。
区長
- それついては本当に予算との兼ね合いもありますし、どういう方法が一番適切で、そして、回答していただけるのかという、方法はこれから、これからと言うか今まさに検討を推し進めているところにあります。
- できるだけ多くの方に届いて回答して頂けるような仕組みを考えていきたいなと思っています。
平野
- そういう意味では、ちょっと品川区のホームページを見ててと思うんですが、ちょっといろいろ項目が羅列してあるだけで見づらいなと思うんですが、ホームページの改善とか何か考えてんですか。
区長
- そうですね、ホームページの改善も含めデジタル過程と報道(?)をどう進めていくか。ホームページがなかなか見づらいっていうことが議員に指摘されていますので、考えていかなきゃいけないな、というふうに考えています。
あわせて読みたい