22年10月6日0時をもってRNAV(area navigation:広域航法)からRNP(Required Navigation Performance)に表記が変更されたという話。
※本日の記事は羽田新ルートに関連する技術的な備忘録なので、関心のない方は無視してください。
※投稿22年10月11日(追記22年10月18日)
都心低空飛行の時刻、エクセルで自動処理していたのだが
南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートの運用が開始されたのは20年4月3日。
筆者は南風時の都心低空飛行が実施された日時を知るために、国交省が運営している「羽田空港飛行コース」HPで毎日公開されている「過去の運用状況」のデータ(次図)をチェックしている。同データは72時間分しか公開されていないので、都度エクセルデータに変換して保存している。
同エクセルデータを使って、次の表記があった時刻が南風時の都心低空飛行が実施された日時であるということが視覚的にも分かるように(次図)、エクセル関数を駆使して自動処理をしている。
- 好天時:RNAV RWY16L/RNAV RWY16R LDG RWY16L/16R DEP RWY 22/16R
- 悪天時:ILS RWY16L/ILS RWY16R LDG RWY16L/16R DEP RWY 22/16R
※RNAV(area navigation):広域航法
ところが、昨日(10月10日)は、南風時の都心低空飛行が実施されていたにも係わらずエクセルデータからは認識できなかった。
これは一体どうしたことか。
RNAVからRNPに表記変更(22年10月6日以降)
ネットをググって分かったことなのだが(後述)、22年10月6日0時以降、RNAV表記がRNP表記に変更されたのである。
10月10日の「過去の運用状況」データを見ると、たしかに14:30から17:00まで、次のようにRNP表記となっていた。
- RNP RWY16L/RNP RWY16R LDG RWY 16L/16R DEP RWY 22/16R
※RNP(Required Navigation Performance):機上の性能監視機能と警報機能を必要とする特別なRNAV。
なぜ、RNAVからRNP表記に変更されたのか。
航法仕様と方式名称を統一するために、22年10月6時0時以降、RNAVからRNP表記に変更されたのである。
一般財団法人 航空交通管制協会HPに掲載されている技術委員会Vol035「RNAVからRNPへの計器進入方式名称の変更」(22年9月11日)から、変更に至る背景と概要を引用する。
1.背景
GNSSを使用する進入方式の名称は、“RNAV(GNSS)RWY○○”または“RNAV(RNP)RWY○○”と表記されています。
しかし、GNSSを使用した進入方式は、航法仕様がRNPであるにも関わらず、方式名称に「RNAV」が使用されており、航法仕様と方式名称が一致していません。このためICAOは2014年にPANSOPS(Doc8168)を改正し、2022年11月30日までに、GNSSを使用した計器進入方式の名称を「RNP RWY○○」に変更完了することを規定しました。
2.変更の概要
日本では新旧表記による混乱を避けるため、2022年10月6日0000JSTに、すべてのGNSSを使用した計器進入方式の名称等が変更されます。
- 1) 航法精度を指定していないRNAV進入方式は、航法精度を指定したRNP進入方式の航法仕様に変更され、「RNP RWY〇〇」の表記に変更されます。
- 2) RNP進入方式は、「RNP RWY〇〇」の表記に変更されます。
- 3) 進入方式の詳細については、方式名称の後ろに括弧書きでサフィックス(ARなど)が記載されます。
国交省HPの解説ページ、まだ変更されていない
ちなみに、国交省が運営している「羽田空港飛行コース」HPに掲載されている解説ページはいまだRNAV表記のまま。RNP表記に変更されていない(次図)。
※追記22年10月18日
この記事を投稿した2日後(10/13/2022 12:27:59)、RNAVからRNPに修正された。
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