不動産経済研究所は4月18日、「首都圏新築分譲マンション市場動向2021年度」を発表。
- 発売3万2,872戸。前期比13.2%増で2018年度以来の3万戸台。
- 平均価格6,360万円、m2単価95.3万円。年度でも過去最高値に。
- 初月契約率は72.9%と6期ぶりの70%台。
- 在庫は5,881戸。年度末に5,000戸台に低下するのは7期ぶり。
これだけではよく分からない。14年度以降の首都圏マンションの「供給戸数」と「平均価格」のデータが表形式で掲載されているので、同研究所が過去に発表したデータも含めて可視化してみた。
バブル期超え、過去最高の6,360万円に
首都圏新築マンションの供給戸数と平均価格の推移を下図に示す。
- 供給戸数
耐震偽造事件(05年11月)以降急減し、リーマンショック(08年11月)の翌年に最低を記録。消費税増税8%(14年4月)の駆け込みで需要を先食いした後、再び減少傾向。21年度は3万戸台に戻す。 - 平均価格
耐震偽造事件の再発防止のための制度改革により約500万円コストアップ。その後、供給戸数を減らすことでリーマンショック(08年11月)後も4,500万円前後をキープ。13年度以降は供給戸数が減少するなかで、アベノミクスによる非実需要増の影響などにより平均価格が大幅に上昇し、バブル期の90年度末に記録した6,214万円を超えて過去最高の6,360万円に。
市場規模縮小傾向のなか、2兆円まで戻す
次に、市場規模(=供給戸数×平均価格)の推移について(次図)。
首都圏新築マンションの市場規模は、2000年代前半まで3.5兆円前後で推移していたが、耐震偽造事件(05年11月)の翌年度から縮小し始めて、リーマンショック(08年11月)の翌年度が1.65兆円のボトム。
その後、消費税増税8%(14年4月)の前年度まで拡大するが再び縮小傾向。21年度は2兆円まで戻す。
価格が高騰しているのに市場が縮小している状況は、富裕層でないと新築マンションを買えなくなってきている事態を示唆している。
新築から中古へ
一方、中古マンションの市場規模は、01年度以降、徐々に拡大し15年度に1兆円を突破(次図)。
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。
ちなみに、供給戸数のほうは16年度以降、中古が新築を上回っている(次図)。庶民は新築マンションの購入を諦め、中古マンションに流れているのであろう。
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。
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