大学入学共通テスト期間中は南風が吹く可能性は低いので、羽田新ルートの飛行騒音が受験生に影響を及ぼす可能性は低いと筆者は予想していたのだが(大学入学共通テストのリスニング試験、受験性は静穏な環境を確保できるか)、そうはならなかった。
大学入学共通テスト初日、羽田新ルートを運用
初めての大学入学共通テストが1月16日(土)、全国で一斉に始まった。
大学入試センター理事長が昨年の11月30日付で、日本航空機操縦士協会の会長宛に「令和3年度前期日程試験の実施に伴う配慮について(依頼)」(PDF:2.3MB)というお願い文書を発信していたのにも係わらず、羽田新ルートが運用された。
南風時に都心上空を飛行する羽田新ルートの運用は12月24日以来、23日ぶりである。
いくら久しぶりに南風が吹いたとはいえ、わざわざ大学入学共通テストの初日に羽田新ルートを運用することもなかろう。
たとえ、大学入試センター理事長のお願い先が日本航空機操縦士協会(報道関係や航空写真撮影、社用機や個人の自家用機などといった一般航空のパイロット)だとしても、同協会の法人賛助会員には航空会社も名を連ねているのだから、羽田新ルート関係者であれば同理事長のお願い内容を知らないはずはないのでは。
約1時間(15~16時)、13機が都心上空を飛行
大学入学共通テスト初日(1月16日)、羽田新ルートの南風時の運用に切り得られていた時間は1時間(14時30分~15時30分)。
過去の運用状況|羽田空港飛行コース
たしかに当日は10時10分から16時まで東南東から西南西の風が吹いていた(次図)。
約1時間(15~16時)に都心上空を飛行したのは13機(=A滑走路到着ルート3機+B滑走路到着ルート10機)。そのうち大型機は2機だった(次表)。
(flightradar24のデータを元に筆者作成)
リスニング試験の時間帯は避けられたが…
羽田新ルートから水平距離で1km以内に位置する試験会場は、10か所(次図)。
大学入学共通テストの試験会場(1都3県)-Google マップ
羽田新ルート直下の試験会場は4か所(次表)。
東京海洋大学品川キャンパスや武蔵大学、立正大学品川キャンパスや目白大学で試験を受けた受験生に飛行騒音の影響はなかったのだろうか。
ちなみに、冒頭の日本航空機操縦士協会の会長宛文書で依頼していたのは、リスニング試験を実施している時間中への配慮。
リスニング試験は17時40分から18時10分の間に実施されるので、幸いなことに飛行騒音の影響を免れることができた。でも、外国語のリーディングと筆記中は頭上を飛行機が飛んでいたのである(次図)。新ルート周辺の試験会場の受験生は100%の力を発揮できたのだろうか……。
「令和3年度 大学入学共通テスト実施要項」より
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