大学入試センター理事長が11月30日付で、日本航空機操縦士協会の会長宛に「令和3年度前期日程試験の実施に伴う配慮について(依頼)」という依頼文書を発信していることをご存じだろうか。
大学入試センター理事長らの依頼文書
大学入試センター理事長が11月30日付で、日本航空機操縦士協会の会長宛に「令和3年度前期日程試験の実施に伴う配慮について(依頼)」(PDF:2.3MB)という依頼文書を発信していることをご存じだろうか(次図)。
(前略)このリスニング試験の実施に際しては、受験者が各自の能力を最大限発揮できるよう受験環境に細心の注意を払う必要があるため、毎年、貴職をはじめ関係各方面に対しても静穏な環境の保持について御協力をお願いしているところです。
ついては、今回の大学入学共通テストにおいても、リスニング試験の実施時間中、航空機の飛行の影響により受験者の音声の聞き取りに支障が生ずることのないよう、静穏な環境の保持について可能な限り御配慮をいただきますようお願いいたします。
なお、文部科学省から、防衛省、在日米軍(防衛省を通じて依頼)に対して、本件と同様の協力依頼を行っておりますことを申し添えます。(以下略)
大学入学共通テストのリスニング試験の実施時間中は航空機の騒音影響が少なくなるよう配慮してほしいという依頼文書である。
リスニング試験は次の3日間、各30分とされている。
- 1月16日(土)17時40分~18時10分
- 1月30日(土)17時40分~18時10分
- 2月13日(土)17時40分~18時10分
同様の依頼文書が東京大学総長から12月4日付で、「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの実施に伴う配慮について(依頼)」(PDF:66KB)として、日本航空機操縦士協会会長宛に発信されている(次図)。
(前略)さて、東京都内の国公立大学のうち、本学をはじめ東京外国語大学、東京学芸大学、一橋大学の4大学では、令和3年2月25日(木)、2月26日(金)に実施される前期日程試験の期間中、「外国語」においては、別紙のとおり聞き取り試験又はディクテーションを行うこととしております。
つきましては、各大学の「外国語」試験時間中、航空機等の飛行騒音により支障が生ずることのないよう、各大学の静穏な環境保持に可能な限りご配慮いただきますようお願いいたします。
こちらは、都内4大学で実施される外国語聞き取り試験中の飛行騒音を控えてほしいという依頼文書である。
- 2月26日(金)
一橋大学 ( 国立キャンパス ) 10:30~12:30
東京大学 ( 本郷キャンパス ) 14:00~16:00
同上 ( 駒場キャンパス ) 14:00~16:00 - 2月25日(木)
東京学芸大学 ( 小金井キャンパス ) 9:00~11:00
東京外国語大学 ( 府中キャンパス ) 10:00~12:30、15:30~16:30
羽田新ルート周辺の試験会場は10か所
大学入試センター理事長の発信文書には、「試験場一覧」として、全国の試験会場名と所在地が記載されている。
羽田新ルート周辺の試験会場はどのくらいあるのか?
羽田新ルート周辺の試験会場をグーグルマップに落としてみたのが次図。
大学入学共通テストの試験会場(1都3県)-Google マップ
羽田新ルートから水平距離で1km以内に位置する試験会場は、10か所(次表)。うち4か所は新ルート直下。
試験当日の風向は北北西?
気象庁の過去データによれば、過去18年間(1993年~2010年)の羽田の1・2月の平均風速は5.2~5.3m/s、最多風向は北北西となっている(次図)。
試験当日、南風が吹く可能性は低いが、北風が吹く可能性は低くない。羽田新ルートの北風時の運用が実施されると、影響を受けるのは東京電機大学東京千住キャンパスの受験生。
ただ、東京電機大学東京千住キャンパスは、C滑走路出発ルート直下から約800m離れているし、飛行高度も4,500ft(1,350m)以上とされているので問題はなさそうだ。しかも、駅に近接したキャンパスなので防音性能は確保できていそうだ。
ともあれ国交省は、依頼のあった日時に対して、羽田新ルートの運用を見送るに越したことはないだろう。
【追記】大学入試センター理事長らのお願い文書は無視
※21年1月17日追記
1月16日15時から15時30分、羽田新ルートが運用された。12月24日以来、23日ぶりである。
いくら久しぶりに南風が吹いたとはいえ、わざわざ大学入学共通テストの初日にぶつけてくることもなかろう。
大学入試センター理事長らのお願い文書は無視か……。
※詳しくは、「羽田新ルート|大学入学共通テスト初日、13機が都心上空を飛行」参照。
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