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遂に500万部割れ!朝日新聞による自己分析

朝日新聞が遂に500万部割れで。実売は「350万部以下」ではないかというFACTAのスクープ記事。

朝日新聞の収益構造を可視化してみると……。


もくじ

朝日新聞が遂に500万部割れ 実売は「350万部以下」か(FACTA記事)

日本の財界・経済界を題材にしたスキャンダル記事が得意なFACTAは9月18日、朝日新聞が8月に500万部を割り、「押し紙」の分を差し引いた実売部数は300万~350万部であると報じている。

スクープ! 朝日新聞が遂に500万部割れ 実売は「350万部以下」か

新聞離れに歯止めが掛からない中、朝日新聞の販売部数(朝刊)が8月についに500万部を割ったことが分かった。400万部台に落ち込んだのはおよそ55年ぶりのことだ。新聞販売関係者の間では、読者に配達されないまま廃棄される「押し紙」の分を差し引いた実売部数は300万~350万部程度との見方が強い
(中略)
他の全国紙も苦しい状況に変わりはない。今年8月の販売部数は読売新聞742万3千部(前年同月比52万1千部減)、毎日新聞209万7千部(同23万3千部減)、日経新聞206万5千部(同22万7千部減)、産経新聞124万3千部(同11万8千分減)で、毎日、日経両紙は200万部割れ目前だ。ただ、日経新聞だけは日経電子版の有料読者が7月1日現在で76万8千人に迫り、「紙」の減少分のかなりの部分を補っている。(以下略)

(FACTA ONLINE 9月18日)


朝日の落ち込みのスゴイが、ほかの大手紙の落ち込みもスゴイ。FACTAに記されている大手紙の8月部数を可視化してみた(次図)。

大手5紙の販売部数(20年8月)

朝日新聞はともかく、毎日新聞や産経新聞はこの先大丈夫なのだろうか……。

朝日新聞は不動産事業に支えられている

大手5紙のなかで唯一有価証券報告書を公開している朝日新聞の経営状況を確認してみよう。

EDINETで入手可能な有価証券報告書をひも解き、朝日新聞社の収益構造を調べてみると、同社は新聞出版事業者というよりも不動産屋であることがよく分かる。

セグメント別の売上高の推移をみると、メディア・コンテンツ事業(旧 新聞出版事業)が約3千億円で圧倒的に多いが、年々減少している。一方、賃貸事業は、年々増加し、20年3月期は385億円まで増加している(次図)。

セグメント別の売上高(朝日新聞)


セグメント別の利益額・利益率の推移をみると、全く様相が違ってくる(次図)。

利益額でみると、メディア・コンテンツ事業は、17年3月期以降50億円を超えることはなく、20年3月期にはなんとマイナス50億円の損失を計上しているのだ(正確には▲4,999百万円。50億円を超えないことに会計上の意味があるのか?)。また、利益率でみると、メディア・コンテンツ事業は、2%を超えることはなく、20年3月期には▲1.6%に沈んでいる。

一方、賃貸事業のほうは、利益額は19年3月期に68億円、20年3月期に74億円。利益率はここ数年、20%前後で推移。メディア・コンテンツ事業の10倍の利益率をたたき出している

セグメント別の利益額・利益率(朝日新聞)

朝日新聞による自己分析

このようなメディア・コンテンツ事業(旧 新聞出版事業)収益構造に支えられていることに対して、朝日新聞社はどのようにとらえているのか。

有価証券報告書(第167期、19年4月1日~20年3月31日)に「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(P13~14)が記されているので、一部抜粋しておこう。

メディア・コンテンツ事業においては、消費税増税と新型コロナウイルスの感染拡大を理由に泣きが入っている。

メディア・コンテンツ事業

(前略)新聞などの広告収入は、当連結会計年度上期は改元、参院選、ラグビーW杯など大型トピックもあり、売上高が前年度を超える時期もあったものの、下期は消費税増税による消費低迷などにより、主に通販業種などが低調で、長期的な低迷要因の一つとなった。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により旅行業種への影響やイベントの中止、各企業の宣伝計画の見直し、業績悪化などの影響を大きく受け、結果として通期の低下につながった。

朝日新聞の年間平均部数は朝刊537万3千部、夕刊164万5千部(前期比で朝刊39万部減、夕刊14万2千部減)と販売面でも苦戦を強いられた。(以下略)

 

不動産事業においては、新体制での業務遂行は順調に進んでいるとしているものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている。

不動産事業

19年4月に不動産系グループ企業の再編と当社への資産集約を行い、それぞれの役割分担を明確にした。新体制での業務遂行は順調に進んでいる

賃貸事業は中之島、福岡などの主要物件で満床状態を維持し、18年度に竣工した「さっぽろ創世スクエア」は全フロアでテナントが決定した。「コンラッド大阪」「ハイアット セントリック 銀座 東京」は開業以来、高稼働で推移したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、当年度末になって急激に収入を落とした。(以下略)

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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