都議会の「19年第4回定例会」本会議の代表質問(12月10日)で、羽田新ルートについて、原田あきら議員(共産党)の質疑応答があった。
録画映像をもとに、全文テキスト化(約1千400文字)しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
原田議員:白紙撤回に向け全力を挙げる
原田あきら 議員(共産、都議1期、東京学芸大学卒、元杉並区議4期、44歳)
次に、羽田新飛行ルートの問題です。
実施されれば、住宅をはじめ学校、保育施設、病院などが集積する都心のど真ん中を2分に1回以上の頻度で巨大旅客機が超低空で飛行することになります。
騒音は健康被害を及ぼすレベルとなり、航空機からの落下物・墜落事故への懸念など、都民の生命・財産に関わる大問題です。知事はどう認識していますか。
撤回や見直しを求める決議・意見書が品川、渋谷、港区議会などから上がり、都民の運動も広がっています。にもかかわらず小池都知事は、来年3月から運用開始するという国の方針に賛成し、感謝の表明さえしています。
知事は、撤回や見直しを求める都民の声を、どう考えているのですか。
多くの都民の反対があり、地元の理解が得られていないことを承知の上で、小池知事は国の方針に賛成し、そのことをもって国は「地元の理解が得られた」として、羽田新飛行ルートの運用開始を決定しました。
国交省がお決めになったことだ、と国にだけ責任を押し付けるのはやめて、国の新飛行ルート方針に賛成した小池知事自身の責任を政治家として明確にすべきです。知事の答弁を求めます。
日本共産党都議団は、広範な都民と力を合わせて羽田新飛行ルートの白紙撤回に向け全力を挙げるものです。
知事:羽田空港の機能強化実現、積極的に取り組んでまいります
小池百合子 都知事(1期、カイロ大卒、67歳)
羽田新飛行経路の決定についてのご質問でございます。
わが国の国際競争力の向上や東京2020大会の円滑な実施のため、羽田空港の機能強化は極めて重要でございます。羽田空港におきまして、飛行経路の導入につきまして、国は自らの判断・責任で決定をしたものでございます。
都といたしましては、引き続き丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めながら、国と協力をして羽田空港の機能強化実現に向けまして積極的に取り組んでまいります。
技監:対策の着実な実施を(国に)求めてまいります
佐藤伸朗 東京都技監(東大工学部都市工学科卒、60歳 )
次に、羽田新飛行経路についてでございます。
都はこれまで国に対して、騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてまいりました。
国は騒音影響の軽減策として、飛行高度の引き上げや低騒音機の導入促進、学校・病院等の防音工事に対する助成制度の拡充などの取り組みを実施することとしております。
落下物対策については、航空機のチェック体制の強化などに加え、世界的に類を見ない落下物防止対策の基準を定め、国内外の航空会社に対して順次対策の義務付けを行うなど、総合的に対策を充実してきております。
都は引き続き対策の着実な実施を(国に)求めてまいります。次に、新飛行経路に関する都民の意見についてでございます。
国が決定した新飛行経路については、区議会の意見書等を含め様々な意見があることは承知しております。
国は先月から6期目の住民説明会を開催するなど、引き続き丁寧な情報提供に努めるとともに、航空会社へ落下物防止対策を義務付けるなど、総合的な対策に取り組んできております。
都としては、引き続き都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施に取り組むよう国に求めてまいります。
雑感
羽田新ルート撤回を掲げる原田あきら議員(共産)に対し、「国と協力をして羽田空港の機能強化実現に向けまして積極的に取り組んでまいります」との強い意思を示す都知事。議論は全くかみ合っていない。でも、羽田新ルート問題が取り上げられただけ、まだましだ。
今回の質問に立った都議18名(代表質問5名、一般質問13名)のうち、羽田新ルートに係る質問をしたのは原田あきら議員(共産)だけなのである。
「第4回定例会 質問項目」を見る限り、都民ファーストは8名(質問時間145時間)も登壇しながら(次図)、誰も羽田新ルートを取り上げていない。
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