国土交通省は6月1日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」<平成30年第1四半期>を公表。
平成30年第1四半期(平成30年1月1日~平成30年4月1日)の佃、月島、豊洲、有明といった、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、不動産鑑定士のコメントをピックアップしておこう。
ざっくり言うと、前々回(平成29年第3四半期)・前回(平成29年第4四半期)からあまり変わっていない。
【佃・月島】マンション分譲価格は高水準を維持
新築マンション・中古マンション共に需要者の購入意欲は旺盛であり、分譲価格は高水準を維持している。
地価動向
- 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い地区である。
- マンション購入資金の融資環境が良好であること等が下支えとなり、新築マンション・中古マンション共に需要者の購入意欲は旺盛であり、分譲価格は高水準を維持している。
- デベロッパーによるマンション素地需要はあるものの、建築費の高止まりや、中央区において地区計画で従来認められていた共同住宅についての割増容積率を廃止する方向になっていることを背景に、採算性の検証が厳格化し選別化が一層進んでおり、当期の取引価格は横ばいとなり、地価動向も横ばいとなっている。
将来地価動向
- 地区内外で再開発事業や東京五輪関連施設の建築計画があり、また都市基盤整備として環状2号線の建設工事が進みつつあり、こうした再開発事業等の効果は既にある程度先行して地価やマンション分譲価格に織り込まれていると見込まれる。
- こうした背景から取引価格は引き続き横ばいとなり、デベロッパーによる厳格な選別化が進むものと見込まれ将来の地価動向も横ばいと予想される。
【豊洲】マンション分譲価格は安定的に推移
マンション分譲価格の上昇が続いたが、現在では価格上昇の動きが一段落し、成約価格水準は安定的に推移。
豊洲市場の移転問題につき、取引価格下落等の影響は認められない。
地価動向
当地区は強いマンション需要を反映してマンション分譲価格の上昇が続いたが、現在では価格上昇の動きが一段落し、成約価格水準は安定的に推移している。
中古マンション市場では価格を調整して成約に至った取引が見られるものの、成約件数自体は減少しておらず、取引価格の下落には至っていない。
なお、豊洲市場の移転問題の影響に関しても、市場周辺のマンションにおいて売却の動きが見られたものの、取引価格下落等の影響は認められない。
このようなマンション市場の状況から、デベロッパーの投資採算性が反映される当地区の地価動向は引き続き横ばいで推移した。
将来地価動向
- 豊洲市場の開場日程が決定し、一部に見られていたマンション売却の動きも落ち着くと予想される。
- 将来的には取引件数の減少が予想されるものの、利便性の高さから居住目的のマンション需要は底堅く、将来の地価動向は横ばいと予想される。
【有明】マンション分譲価格は安定的に推移
マンション価格は現在上昇の動きが一段落しているものの、成約価格・取引件数ともに下落等することなく安定的に推移。
地価動向
- 東京五輪開催決定以降、大幅な上昇傾向にあった当地区のマンション価格は現在は上昇の動きが一段落しているものの、成約価格・取引件数ともに下落等することなく安定的に推移している。
- 当地区を含め湾岸エリアでは、引き続き大型分譲マンションの開発・竣工が控え供給過多が懸念されており、また建築費の高止まりが続くことが見込まれることからデベロッパーの投資採算性検証は厳格化している。
- しかし、五輪関連施設や国家戦略特区の認定を受けた大規模開発事業、地区計画によるまちづくりが進捗中であるほか、環状2号線の開通や銀座と有明を結ぶ地下鉄構想による都心部へのアクセス性向上への期待感など、将来発展・人口増加が大きく見込まれるエリアであるため、当地区に対するデベロッパーの開発素地取得意欲は依然として強く、地価動向はやや上昇傾向で推移している。
将来地価動向
- 将来は、分譲マンションの大量供給により分譲価格の調整局面を迎える可能性があるが、上記の開発等により地域の熟成が徐々に進み、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
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