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「都への提言、要望、相談等の状況2017」をひも解く

東京都は9月13日、「都への提言、要望、相談等の状況2017」(平成28年度年次報告)を公表。
2016年度に都民の声総合窓口に寄せられた件数は約10万6千件だったという。


もくじ

都民から寄せられたのは「知事への声」が圧倒的に多い

10万6千件につき、行政分類別件数の上位10位を見ると、「知事への声」が46,006件と圧倒的に多い。全体の4割を占めている(次図)。

16年度 「都への提言、要望等」(TOP10)

「知事への声」が46,006件の内容はと言えば、次のように前舛添知事が7割を占めている。

現小池知事については、豊洲新市場への移転や市場の環境問題などの意見が寄せられたとされているが、具体的な件数までは掲載されていない。

知事への声

  • 知事への声は、4月分~7月分の合計が 32,309 件(前年同期の15.6 倍)、8月分~3月分の合計が 13,697 件(前年同期の 5.8 倍)であり、全体の7割強は前知事の在職中に寄せられました。
  • 7月までは、前知事の政治資金に関する意見が最も多く、次いで、海外出張や公用車利用等に関する意見が多く寄せられました。
  • 8月以降は、豊洲新市場への移転や市場の環境問題等への取組に関する意見、新知事に対する応援や期待、東京 2020 大会に関する意見のほか、都政改革の実現、給付型奨学金、無電柱化の推進、LED の導入促進など多くの意見が寄せられました。

(「平成28 年度年次報告」P5より)

知事は自分に不都合なデータであっても公開すべし

今回公表された年次報告には、「知事への声」の内訳件数が掲載されてない。

そこで、都が毎月公表してきたデータをひも解き、可視化しておいた(次図)。

小池都知事が誕生して半年ほどは「知事への応援・期待に関する意見」の割合が3割~4割を占めていたのだが、3月以降数%に激減していることが分かる。

知事は自分に不都合なデータであっても公開すべし。

「知事への声」内訳・件数の推移
小池応都知事のコアなファン!? GYK48」を最新データに更新

「都民の声」に対する都の反応

今回公表された年次報告は全77頁。9割近く(67頁)が「都民の声総合窓口に寄せられた提言、要望等の主な事例」で埋め尽くされている。

ただ、都民の声がコピペされているだけかと思ったら、次のように5区分で、都の反応も記されていた。

  • 【対応】【回答】:当該案件の申出者への対応状況など
  • 【取組】:事業所管部署の取組状況など
  • 【説明】:当該案件についての事情や解説など
  • 【伝達】:都民の声総合窓口から関係部署への伝達など

気になった案件を4つ、以下に抜粋しておいた。

豊洲・築地関連

「豊洲市場調査」については、都の「説明」は当たり障りのないものとなっている。

豊洲市場調査について(平成28年9月)

(略)当方、渦中の豊洲に住んでいる者です。連日の「豊洲は汚染地域である」かのような報道に大変心を痛めております。他地区に通学されている豊洲在住のお子さんに、心無い言葉が浴びせられるという話も伺っており、一日も早く安全宣言が出ることを祈ってやみません。(以下略)

【説明】

豊洲市場用地の土壌汚染対策につきましては、市場関係者や都民の皆様方に正確な情報を提供してこなかったことにより、食の安全・安心への不安を抱かせ、ひいては都政全体に対する信頼を著しく損ねたことを心よりおわび申し上げます。

今後につきましては、当局の事業全般にわたり、正確な情報提供を徹底することはもとより、職員の意識改革を進め、組織間の連携を再度見直すなど、局一丸となって信頼の回復に向けて取り組んで参ります。 (中央卸売市場)

豊洲・築地関連については、このほかに次の4件が掲載されている。

  • 築地は移転しないで(P20)
  • 豊洲移転に関する測定結果について(P20) 
  • 豊洲へ早急に移転すべき(P21) 
  • 豊洲市場の施設は使用すべきではない (P22)
東京マラソンの抽選

東京マラソンの抽選に9年間も外れ続けている人がいる!

庶民は、スポンサーやテレビ局からの推薦枠で出場する芸能人を羨むしかない。 

東京マラソンの運営について(平成29年1月)

(略)「東京マラソン」は第3回から9年間申込んでおります。また、ここ6年は抽選回数が増えるので、プレミアム会員にもなっております。しかし、当たりませんでした。(以下略)

【説明】

(略)主催者である東京マラソン財団では、一般申込及びプレミアムメンバーのランナー決定に際して、御応募いただいた皆さまをコンピュータによって無作為に抽選し、公平を期しております。メンバーの方は、一般申込と合わせて計3回の抽選機会が得られますが、(略)倍率はいずれも高い状況となっております。 (以下略)

マンション販売業者からの迷惑勧誘電話

マンション販売業者からの迷惑勧誘電話は、「事実が確認できた場合」しか、都は対応しないらしい。

マンション販売業者からの迷惑勧誘電話について(平成28年11月)

マンション売買の執拗な勧誘電話が多くて迷惑だ。不動産の電話営業を禁止してほしい。

【対応】

当課では、宅地建物取引業者の不動産取引に係る勧誘に対して、明確にお断りになっているにもかかわらず、当該業者が執拗に勧誘を行っている事実が確認できた場合に、対象業者に対して連絡しております。
現行法上、電話勧誘を一律に禁止することはできませんが、執拗な迷惑勧誘行為については行政指導・行政処分の対象になります。(以下略)

オリパラ整備費

木で鼻をくくったような、監査事務局の説明である。

オリンピック・パラリンピック3施設の整備費について(平成28年11月)

オリンピック・パラリンピック3施設の整備費について、都は400億円もの圧縮が可能としているが、短時間の検討で可能なのか疑問である。監査事務局において使命感を持ってチェックして欲しい。

【説明】

頂戴した意見を局内に周知し、今後の監査に活かして参ります。

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