4月3日のR.E.port(不動産流通研究所)に、「不動産各社の入社式」の社長挨拶が掲載されている。
大手不動産会社7社の社長挨拶から、不動産市場の問題意識に触れている部分を(あまり触れていない社長もいるがそこは無理矢理)抜粋し、最後に「まとめ」を記しておいた。
- 三井不動産:街づくりの魅力を世界に発信
- 三菱地所:2020東京オリンピックで世界が注目
- 住友不動産:「こうなるはずだ」が通用しない時代
- 野村不動産HD:(不動産市場への言及は特になし)
- 東急グループ:「日本一訪れたい街渋谷」実現に近づく
- 東京建物:あらゆるライフステージの中で質の高いサービス
- 大京:建物の老朽化や空き家の増加など社会課題が山積
- まとめ
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三井不動産:街づくりの魅力を世界に発信
(三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏)
一昨年の挨拶からほとんど変わっていない。昨年の挨拶とほぼ同じ。「価値創造に果敢にチャレンジし、常に自らのビジネスをイノベーションする」べきは社長からでは?
その価値創造に果敢にチャレンジし、常に自らのビジネスをイノベーションすることが、当社グループのDNAとなっています。(中略)
更に2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催は絶好の機会であり、「街づくりゴールドパートナー」として、当社グループの街づくりの魅力を世界に発信していきたいと考えています。
三菱地所:2020東京オリンピックで世界が注目
(三菱地所(株)執行役社長 吉田淳一氏)
執行役社長吉田淳一氏の挨拶は、昨年の取締役社長杉山博孝氏(現取締役会長)の挨拶と比べると、細かい表現は違っているものの、冒頭の文章(「守るべき」我々の原点)や「仕事に取り組む上で大切な4つの点」は同じ。
良く言えば経営方針が一貫している。悪く言えば「常に新しい発想でチャレンジ」しているとは言えない。
今日、世界中で様々な変化が起きているが、皆さんには、あらゆる日常の仕事の中で常にグローバルを意識して仕事に臨んでもらいたい。
2020年には東京オリンピックが開催され、日本が世界から注目される。食事・歴史・文化・観光など日本の良さを世界にアピールして、日本および東京の国際競争力を強化していきたい。
住友不動産:「こうなるはずだ」が通用しない時代
(住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏)
足元では米国をはじめ世界経済も不透明感が続き、経済評論家の予想がことごとく外れるという、「こうなるはずだ」が一切通用しない時代に突入したと言えるでしょう。
野村不動産HD:(不動産市場への言及は特になし)
(野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 沓掛英二氏)
(※不動産市場への言及は特になし)
東急グループ:「日本一訪れたい街渋谷」実現に近づく
(東急グループ 代表 野本弘文氏)
今、渋谷では、東急グループの長年の夢である渋谷駅周辺の再開発事業が最盛期を迎え、その姿を現しつつあります。
2020年の東京オリンピック開催までには、多くの開発が完成して、「日本一訪れたい街渋谷」の夢の実現に大きく近づいていきます。
東京建物:あらゆるライフステージの中で質の高いサービス
(東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 野村 均氏)
現在は2019年を区切りとした5ヵ年の中期経営計画を推進しており、その中では『次も選ばれる東京建物グループへ』というテーマを掲げております。
これには、あらゆるライフステージの中で常に質の高いサービスを提供し、「お客様から次も選んで頂ける」「社会から必要とされる」企業グループにしていきたいという思いが込められています。
大京:建物の老朽化や空き家の増加など社会課題が山積
((株)大京代表執行役社長 山口 陽氏)
昨年同様、今年も挨拶が最も長い社長である。文字数にして約2,600字、400詰め原稿用紙で約7枚。
新人は顧客の長話に耐えなければならないことを早くも学んだことだろう。
我々を取り巻く事業環境は、建物の老朽化や空き家の増加によって、コミュニティの希薄化や居住環境の悪化、更には住宅密集市街地の防災力の強化、地方都市の活性化など、社会課題が山積しています。
また、人口動態の変化や価値観の多様化、テクノロジーの進化などを背景に、世の中の余るモノ、足りないモノ、増えるモノ、減るモノが大きく変化しています。
まとめ
いずれの社長からも当然ながら、新築マンションの供給過剰問題への言及はなし(衝撃的な近未来!住宅着工数4割減、3軒に1軒が空き家)。
大手不動産会社の社長が挨拶で、不動産市場の問題意識に触れている部分は次のとおり。
- 「街づくりゴールドパートナー」として、当社グループの街づくりの魅力を世界に発信(三井不動産)
- 2020年には東京オリンピックが開催され、日本が世界から注目される(三菱地所)
- 「こうなるはずだ」が一切通用しない時代に突入した(住友不動産)
- 2020年の東京オリンピック開催までには、多くの開発が完成して、「日本一訪れたい街渋谷」の夢の実現に大きく近づいていきます(東急グループ)
- あらゆるライフステージの中で常に質の高いサービスを提供(東京建物)
- 建物の老朽化や空き家の増加によって、コミュニティの希薄化や居住環境の悪化、更には住宅密集市街地の防災力の強化、地方都市の活性化など、社会課題が山積(大京)