法務省人権擁護局は2017年3月31日、「外国人の人権に関する『外国人住民調査』」の結果を公表。
国内に住む外国人を対象にした差別に関する、法務省の初の実態調査の結果である。
※日本の37市区に在留する18歳以上の外国人を対象に、住民基本台帳から無作為抽出により18,500人の在留外国人に調査票を郵送し、4,252人から回答(回収率23.0%)を得た。調査期間は2016年11月14日~12月5日 。
※投稿17年4月1日(更新24年11月3日)
- 入居断られた経験のある外国人は約4割(ロイター記事)
- 若いほど入居を断られる傾向
- 入居を断られる国籍:1位タイ、2位中国、3位朝鮮
- 在留期間が長いほど、入居を断られる割合が減少
- パートナーが日本人だと、入居を断られる割合が小さい
- 日本語ができないほうが入居しやすい!?
入居断られた経験のある外国人は約4割(ロイター記事)
国内に住む外国人を対象にした差別に関する、法務省の初の実態調査。入居を断られた経験のある外国人は約4割という。
入居断られた経験のある外国人は約4割、法務省調査
法務省は31日、日本に住む外国人を対象とした、人権や差別の状況に関する調査結果を公表した。
過去5年間に住む家を探した経験のある人のうち、外国人であることを理由に入居を断られたと答えた人は39.3%だった。
政府が、外国人の人権に関する調査を行ったのは初めて。法務省では、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、外国人に対する人権擁護施策の基礎資料とすることが調査の目的だとしている。(以下略)(ロイター 2017年 3月31日)
法務省のプレスリリースをみても、同調査結果は掲載されていない。
いろいろ探っていくと、法務省人権擁護局のページに、「外国人の人権に関する『外国人住民調査』」として、「外国人住民調査報告書【PDF】」と「外国人住民調査集計票【Excel】」がアップされていることが分かる(次図)。
※(追記204年11月3日)同報告書・Excelは現在公開されていないが、人権教育啓発推進センター「外国人住民調査報告書-訂正版」2017年6月(PDF 1.8MB)として、一部データが公表されている。
同報告書は表紙を含めて全部で86枚。「過去5年の間に、日本で住む家を探した経験」についての記述は6枚(P22~P27)。
せっかくの貴重なデータなのだが、なんとも分かりにくい図表だ(次図)。
法務省が委託した公益財団法人「人権教育啓発推進センター」のセンスの問題なのか、あるいは再委託先の力量不足なのか・・・・・・。
公開されているExcelデータ(外国人住民調査集計票)を利用して、可視化分析してみた。
具体的には、「日本で住む家を探した(過去5年間)ことがある」外国人において、次の3分類に対して、年齢別、国籍・地域別、在留期間別、パートナーの国籍別、日本語の会話程度別にグラフ化した。
- 外国人であることを理由に入居を断られたことがある
- 日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られたことがある
- 外国人お断りの物件を見たのであきらめた
若いほど入居を断られる傾向
「20歳未満」を別とすれば、保証人の有無に関わらず、年齢が若いほど入居を断られる傾向が見られる(次図)。
「70歳以上」の外国人が入居を断られる割合が低いというのは、日本人とは逆だ。
入居を断られる国籍:1位タイ、2位中国、3位朝鮮
外国人であることを理由に入居を断られる国籍TOP3は、1位タイ(53.1%)、2位中国(51.0%)、3位朝鮮(50.0%)。2人に1人が断られた経験をしている(次図)。
入居を断られたことのある経験の割合が最も低いのはイギリス(24.2%)。日本人は白人に弱いのかと言えば、必ずしもそうではなさそうだ。ロシア(37.5%)も結構断られている。
入居を断られる以前に、「外国人お断りの物件を見たのであきらめた」のはダントツでミャンマー(50%)。2人に1人の割合。
ミャンマーの国民性なのか・・・・・・。
在留期間が長いほど、入居を断られる割合が減少
入居を断られた経験ある外国人の割合が最も高いのは在留期間が「10年未満」(次図)。
これは、「過去5年間」の経験を質問しているので、「1年未満」や「3年未満」の外国人が断られた割合が少ないのは当然だろう。
「10年未満」を超えると、在留期間が長いほど、入居を断られる割合が減少していくのは、日本人と良好なコミュニケーションを取れるようになっていくからなのではないか。
パートナーが日本人だと、入居を断られる割合が小さい
同居しているパートナーが日本人だと、入居を断られる割合が小さい(次図)。
逆に、同居している相手が自分と違う国の人だと、入居を断られる割合が大きくなる。
日本語ができないほうが入居しやすい!?
「仕事、学業に差し支えない程度」の会話力の人が、入居を断られる割合が最も高い(次図)。
ただ、不思議なことに、入居を断られる割合は「日本人と同程度」の会話力の人と、「ほとんどできない」人であまり変わらない。
日本語ができないほうが、入居しやすいということなのか・・・・・・。
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