新宿区は10月26日午後、区役所本庁舎で第1回「新宿区民泊問題対応検討会議」を開催した。
気になる点を整理しておいた。
検討会議の狙いは民泊推進にあらず
同会議運営要綱(別紙3)に記載された設置目的(第1条)から、会議の狙いが「区民の安全・安心の確保を目的」にあることが分かる。
民泊推進ではないのである。
第 1 条 民泊(住宅の全部又は一部を活用し、宿泊料を受けて人を宿泊させるサービスを いう。以下同じ。)に関する課題を抽出しその内容を社会に発信するとともに、区民の安全・安心の確保を目的とした適正なルールづくりを検討するため、新宿区民泊問題対応 検討会議(以下「検討会議」という。)を設置する。
同会議の所掌事項(第2条)は次の3つ。
第 2 条 検討会議は、民泊に関する次の事項を所掌する。
- ⑴ 問題の所在を確認し、その内容を明らかにすること。
- ⑵ 民泊に関する法令の制定動向を見据え、新宿区(以下「区」という。)における適正 なルールづくりを検討すること。
- ⑶ 国に対する区としての要望等を整理すること。
委員にマンション管理組合の理事長が含まれている!
委員名簿(別紙2)を見ると、国の検討会(「民泊サービス」のあり方に関する検討会 )と違って、マンション住民の利益代表者(富久クロス全体管理組合の理事長)が検討委員に加わっていることが分かる(次図)。
また、国の検討会と違って、委員のなかに不動産業界の代表者はいるが、旅館・ホテル業界の代表者はいない。
あと、新宿区を管轄している4つの警察署(牛込・新宿・戸塚・四谷)の生活安全課長らが委員になっているのも国の検討会とは違うところだ。
民泊条例案の作成期限は11月末予定
検討スケジュール(資料7)を見ると、11月末までに条例案を作成する予定となっている。
年内に開催される区議会定例会に間に合わせようということなのか。
雑感
新宿区は、Airbnb登録件数が3千件を超えていて、23区のなかでもダントツに多い(次図)。
大阪市中央区に次いで闇民泊が集中している新宿区に、ようやくメスが入ろうとしている(23区内でAirbnb物件が最も密集している新宿区が無法地帯になっている?)。
会議体の名前に「民泊問題対応」と冠されていることや、委員のなかに警察関係者が含まれていることから、闇民泊の撲滅に向けた新宿区長の強い意志を感じる。
吉住健一区長は「家主不在型の民泊は規制が必要。民泊ルールをモデルとして発信したい」と述べたという(毎日新聞地方版 10月27日)。
第1回目の会議(2時間)は、趣旨説明と各委員からの意見集約。
第2回目(条例骨子検討)は11月18日。第3回は「未定」となっている(次図)。
配布資料こそ多いものの、あと2回の会議で、実効性のある条例案が作成できるのか?
富久クロス全体管理組合の理事長さんの発信力に期待したい。
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