ブログ読者から「東京の湾岸エリアで起きている相続バブル」を取り上げてほしいというリクエストを頂戴した。
タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい (朝日新書)なんて新書も出ているが、相続バブルなんて、しがないサラリーマンには関係ないことだ。
でも、せっかくの読者の方からの要望なので、「湾岸エリアで起きている相続バブル」なるものを取り上げてみよう。
- 「55歳以上」の1割以上が、現住居以外の住宅を所有している(23区)
- 現住居以外の住宅を所有している65歳以上の世帯数が増えている(23区)
- 現住居以外の住宅を所有している住宅の主な用途(65歳以上、23区)
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読者から送られてきたメールを読む限り、「湾岸エリアで起きている相続バブル」は、その方の実体験に基づいたもののようだ。
統計的データに基づいたものではない。
そもそも「湾岸エリアで起きている相続バブル」を把握できるような統計データはあるのか?
・・・・・・ズバリのデータは見当たらないが、参考になるデータはある。
総務省統計局が5年ごとに調査している「住宅・土地統計調査データ」のなかに、東京都(都と特別区)の「家計を主に支える者の年齢」ごとに「現住居以外に所有する住宅」が公開されているのだ。
年齢は6区分(25歳未満、25~34、35~44、45~54、55~64、65歳以上)、住宅の用途は4区分(親族居住用、二次的住宅・別荘用、貸家用、その他)。
「55歳以上」の1割以上が、現住居以外の住宅を所有している(23区)
東京23区の各年齢層ごとに「現住居以外の住宅を所有している割合」の変化をグラフ化してみた。
(H10年は他の調査年とは25歳以上の齢階層が異なるので非表示)
55歳以上の年齢層は、1割以上が現住居以外の住宅を所有している。
たしかに、他の年齢層と比較して飛び抜けてはいるが、その割合は毎年減少している。
これでは「相続バブル」が発生しているとはいえない。
そこで、グラフの縦軸を割合ではなく、絶対値(家計を主に支える者の世帯数)に変えてみた。
現住居以外の住宅を所有している65歳以上の世帯数が増えている(23区)
65歳以上の「現住居以外の住宅を所有している世帯数」が増えていることが分かる。
少子高齢化により、65歳以上の絶対数が増加しているので、「現住居以外の住宅を所有している割合」は減少しても、世帯数は増加しているのだ。
「現住居以外の住宅を所有している」高齢者数の増加が、「湾岸エリアで起きている相続バブル」と関連しているのかもしれない。
現住居以外の住宅を所有している住宅の主な用途(65歳以上、23区)
で、現住居以外の住宅を所有している住宅の主な用途は、何なのか?
同調査データには、4区分(親族居住用、二次的住宅・別荘用、貸家用、その他)が掲載されているので、 65歳以上の年齢層についてグラフ化してみた。
65歳以上が所有している住宅で最も多いのが、「賃貸用」で45%程度。
ちなみに平成25年の23区の65歳以上が現居住以外で所有している戸数は平均2.2戸。
大富豪も含んだ平均値だから、実感とは少し違うかもしれない。
次に多いのが「親族居住用」で30%程度。
親が購入したマンションに子を住まわせているということなのだろう。
以上は東京23区のデータであって、湾岸エリアのデータではない。
湾岸エリアはともかく、23区内では相続バブルが起きていそうだ。
(本日、マンション広告なし)