不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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サービスルームは実害はないのだが、「脱法ハウス」となると


本日、マンション広告2枚。

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音響通信関係の研究所の跡地に建つ、竣工済みの小規模マンション。

【第3期 本広告】東京駅直通14分、駅徒歩13分。総戸数36戸、9階建。販売戸数2戸、2LDK+S(納戸)(71.92m2・72.82m2)。販売価格3,670万円・3,890万円。平成25年7月10日竣工済み(本チラシ掲載日の当月)。

B4サイズのチラシ裏面に2枚の間取り図が掲載されている。
南東の角住戸(72.82m2)と南西の角住戸(71.92m2)だ。

間取りのタイプはどちらも2LDK+S(サービスルーム)。
それぞれの間取り図には、「サービスルーム(納戸)約5.0帖」「サービスルーム(納戸)約6.0帖」と記載されている。


「サービスルーム」とは、建築基準法上の「有効採光」が確保できない「部屋」をカモフラージュするための呼称。
ややっこしい計算を端折って言えば、本物件のように、隣に建物が迫っていると、窓を設けていても採光上有効な開口部とならない場合がある。
有効採光面積が確保できない部屋は、「居室」とは認められない(建築確認申請が受理されない)ので、トイレや浴室と同様、非「居室」扱いになるよう、「納戸」といったような名称で申請することになる。
「居室」とは、「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」(建築基準法 第2条)。
サービスルームは「居室」ではないので、居住目的のために継続的に使用しないというのが建前。
ところが、この二つの間取り図の「サービスルーム(納戸)」を見ると、暗黙の了解を知ってか知らずか、シッカリとベッドが描かれている。
まあ、サービスルームを子供部屋として使っても実害はないのだが、最近ニュースで見かける「脱法ハウス」となると、状況は大きく異なる。


脱法ハウス(違法貸しルーム)

「住まいの貧困に取り組むネットワーク」、「国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)」が7月11日に発表した調査結果によれば、極端に狭いスペースに違法に人を住まわせている「脱法ハウス(違法貸しルーム)」の疑いのある物件が、都内だけで少なくとも96棟(マンション等が38棟、戸建住宅が37棟、事務所ビルが21棟)、室数にして計1,100室、入居者数は満室時で約2千人だという。


「脱法ハウス(違法貸しルーム)」は、居室が極端に狭く火災時に危険なこともあり、国土交通省は7月19日、建築士や不動産業者、建設業者が設計や仲介、工事に関与することを禁じる通知を関係団体に出している。
宅地建物取引業関係団体の長への通知文書を以下に抜粋しておこう。

(前略)
宅地建物取引業者にあっては、その社会的責任に鑑み、オフィスや倉庫、マンションの住戸又は戸建て住宅を改修し多人数の居住の用に供している物件であって、窓その他の開口部の面積や防火上必要な間仕切り壁の構造等に係る防火関係規定等の建築基準法違反とされたもの(以下「違法貸しルーム」という。)については、居住者の安全性確保等の観点から、その賃借の媒介等を行わないことが適当であります。
また、違法貸しルームの疑いがある物件について、その事実を告げずに宅地建物取引業を行った場合は、宅地建物取引業法第47条に違反する可能性があり、仮に事実を告げた場合であっても、取引の相手方等に対し不測の損害を生じさせる懸念もあることに留意するとともに、違法貸しルームの疑いがある建築物に関する情報を入手した場合には、特定行政庁へ情報提供されるよう、併せて会員への周知をお願いいたします。
(後略)



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