硝子メーカの工場跡地に建つ、5つの街区からなる「計画総戸数約1,500戸(予定)」の1棟。
【五街区 予告広告】東京駅直通24分、駅徒歩14分。総戸数316戸、11階建。販売戸数/未定、3LDK(73.72m2)〜4LDK(100.24m2)。販売価格/未定。平成25年7月上旬竣工(本チラシ掲載日の6カ月後)。
- ※2012年1月14日(土)は「一街区・二街区」、2012年9月16日(日) )は「三街区」の物件。
新聞全紙大の売れ行きを喧伝するキャッチコピー。
- 連続!!首都圏NO.1 943戸即日完売!
- 一街区(334戸)・二街区(239戸)・三街区(370戸)
「943戸即日完売」が本当だとすれば、大した売れ行きだ。
念のため、確認してみよう。
不動産経済研究所が2012年8月16日に発表した「首都圏のマンション市場動向」によれば、即日完売物件の一つとして、「一・二街区(総戸数573戸)」が掲げられている。
その競争倍率は「平均1.63倍、最高6倍」。
また、同研究所が2012年12月13日に発表した「首都圏のマンション市場動向」にも、即日完売物件の一つとして、「三街区1期 300戸」が掲げられている。
その競争倍率は「平均1.59倍、最高5倍」。
「一・二街区(総戸数573戸)」よりも倍率が落ちたとはいえ、平均倍率1.59倍はけっこう高い数字だ。
ただ、よく見ると、三街区は総戸数370戸を一気に完売したのではなく、1期300戸と小分けしたうえでの即日完売だ。
で、残りの70戸(=総戸数370戸−1期300戸)はどうなったのか?
SUUMO首都圏版2012年12月4日号で、「三街区 2期(70戸)」の販売が開始されていることが分かる。
ところが、即日完売したはずの「三街区 2期(70戸)」が、翌週のSUUMO首都圏版12月25日号の「スーパーガイド」の欄に、依然として掲載されているのだ。
12月4日号で即日完売したはずなのに、12月25日号まで、3週にわたって、「三街区 2期(70戸)」の広告が掲載され続けたのはなぜか?
可能性としては、次の二つ。
一つ目は、「三街区 2期(70戸)」実際には完売していなかった。
もしそうだとすると、本日のチラシのキャッチコピー「943戸即日完売」は虚偽になってしまう。
大手2社が売主となっている物件に、それはあるまい。
二つ目は、物件担当者がSUUMOの掲載記事の変更を怠り、かつSUUMOの広告担当者がそのチェックをできていないことが考えられる。
その場合、担当者のチェック漏れをお詫びすれば済む軽微な問題かというとそうではない。
「物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示」は「おとり広告(不動産の公正競争規約第21条)」として禁じられているからだ。
いずれの場合であっても、法令順守の意識が希薄な組織において生じた事案ではないだろうか。
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(本日、マンション広告4枚)