発売戸数とチラシ枚数(首都圏新築マンション)
7年近くもマンション・チラシの“定点観測”を続けていると、週末に入ってくるマンション・チラシの枚数が、毎年減少し続けているのを実感する。都内に住む筆者の家に入ってくるチラシ枚数の激減状況が、必ずしも首都圏全体の傾向を代表していないだろうから――
(株)朝日オリコミのホームページに公開されている首都圏のマンション・チラシの「1世帯平均配布枚数の月次推移」データをひも解いてみた。
不動産経済研究所が毎月発表している首都圏新築マンションの発売戸数のデータと合わせて表示したのが次のグラフ。
季節変動があるので分かりにくいのだが、「発売戸数」と「チラシ枚数」は、下がり続けているように見える。
「発売戸数」が右肩下がりだから、「チラシ枚数」も右肩下がりとも見えるが、そう単純な話ではない。
発売戸数とチラシ枚数の関係(首都圏新築マンション)
季節変動を気にしなくてもいいように、首都圏新築マンションの発売戸数と1世帯当たりの平均チラシ枚数の関係を年単位で見てみよう。右側の縦軸は、年間の一世帯当たりの平均チラシ枚数を発売戸数で割って1,000倍した指数。ここでは、「チラシ/発売戸数指数」と呼ぶことにする。
グラフから、「発売戸数」の増減が、必ずしも「チラシ/発売戸数指数」に比例していないことが分かる。
07年から09年にかけて「発売戸数」が大きく減少するのに対して、「チラシ/発売戸数指数」はむしろ増加している。
なぜか?
07年から09年は、マンション市況が悪化し、膨大に積み上がった在庫の処分がデベロッパーの最優先課題であった時期だ。
売れ行き不振の物件を何とか売りさばくべく、同じ物件で何度も折り込みチラシを出した結果、「チラシ/発売戸数指数」が増加した、と私は考えている。