政府・行政刷新会議が3月7日、規制仕分けで、「マンション投資への悪質な勧誘」について取り上げた。
仕分け結果として、「改革の方向性」と「留意点」が次のように整理されている。
- 改革の方向性:
- 契約締結前の行為規制、契約締結後の消費者保護規定の充実を含め、法的措置について検討する。
- 留意点:
- 省令、通達で可能な措置は早急に行う。法的措置については、実態把握の上、取引の安定性にも考慮して検討する。
これだけでは、なんのことなのかサッパリ分からないので、特に議論を呼んだ「クーリングオフの拡大」について「評価者のコメント」の一部を抜粋すると――
- 駅頭でのキャッチセールスの事例等に対応する為、宅建業法のクーリングオフの対象を拡大する。
- 契約締結前の行為規制やクーリングオフの拡大は、必ずしも取引の安定性を損なうものとは考えられないのではないか。
消費者保護の観点からクーリングオフを拡大してもいいのではないかという意見がある一方で、次のように、クーリングオフの拡大が不動産取引の安定性を損ねるという懸念が提起されている。
- クーリングオフについては、制度変更の前提となる事実関係をしっかり調査することが必要。不動産取引の安定性という重要な反対利益を考えると、拙速に規制の変更を行うことは危険である。クーリングオフについて、不動産取引の安定がクーリングオフ拡大によりどのように害されるのかは、国土交通省において具体的に検討してほしい。
- 新たな規制を加えるためには十分な裏付けが必要なので、国民生活センター等を含めてクーリングオフの具体的な必要性を事実をもって示すことが重要。
「契約締結後の消費者保護規定の充実を含め、法的措置について検討する」という冒頭に記した「改革の方向性」。
消費者保護の観点から、「クーリングオフを拡大する方向で検討する」というような踏み込んだ結論がほしかった。