不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


「新価格」の表示ルールは業界寄り

「不動産広告の実務と規制(10訂版)」をアマゾンで購入。
第7訂版から数えて、4冊もそろった。
※相変わらず索引が付いていなので、使いづらい。次回改訂判には索引を!


10訂版の表紙には「相談事例を追加!」と謳われている。
相談事例は、9訂版が97件、10訂版が114件だから、17件の追加だ。
新規に追加された相談事例を眺めていて気になったのが次の質問。

■質問■「新価格○○万円」と表示したい
残戸数30戸のマンションを販売していますが、早く処分したいので、平均400万円値下げすることになりました。販売を開始してから約6か月を経過していますので、二重価格表示をすることができることは知っていますが、このマンションの既購入者との関係もあることなどから二重価格表示をしないで、値下げすることになった価格をもって「新価格 ○○万円〜△△万円」と表示してもよいでしょうか

旧価格を開示しないで、新価格だけを掲載する折り込みチラシを最近よく見かける。

■回答■
販売を開始してから3か月以上経過している新築分譲住宅や新築分譲マンションについては、二重価格表示をすることは可能ですが、これを行わずに、値下げして実際に販売する価格の前に「新価格」という表示をすることも問題ありません。

二重価格表示とは旧価格を比較対照価格として新価格(値下げ価格)を表示するものですが、ご質問の広告案は、旧価格を表示しないで値下げした価格を表示するものですから、二重価格表示に該当しません。
広告案の「新価格」という表示に代えて、「改訂価格」、「値下げ価格」、「プライスダウン」等と表示しても差し支えありません

(後略)

比較対象価格としての旧価格(値下げ前の価格)を併記しないのであれば、「二重価格表示」ルールは適用されない。したがって「新価格」を謳ってもいいというのが回答だ。
これでは、いったいいくら値下げされたのか分からないではないか!


この回答によって、売り主は、消費者に具体的な値下げ額を知らせずに「プライスダウン」を喧伝できるだけでなく、既購入者の反発を免れるという、一石二鳥の販促ワザを展開できることになる。


旧価格を併記しないので「二重価格表示」ルールは適用されないという、現状追認の論理展開ではなく――。
現状の「二重価格表示」ルールを維持したうえで、消費者視点から「新価格」「改訂価格」「値下げ価格」「プライスダウン」といった“販促ワード”の改善を図るべし!

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.