不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


免震マンションは心して選ぼう

東京駅直通24分、駅徒歩5分。総戸数1211戸、22階建。販売戸数未定、3LDK(70.52m2)〜4LDK(122.72m2)。販売価格2,800万円台〜3,700万円台。平成19年1月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年11カ月後)。

  • 大切な家族と財産を守るために、すべての住棟に免震工法を採用

兵庫県南部地震以降、注目を集めるようになった免震マンションについて、考察してみよう。
リクルートの『住宅情報ナビ』( http://www.jj-navi.com/ )に登録されていた首都圏の新築マンション全1,284件を調べてみると、免震工法を採用しているのは、1.7%(22件)と少ない。
でも、20階以上のいわゆる超高層マンション88件のうち、15%(=13件÷88件)も免震工法が採用されているのは注目に値する。
なぜこれほどまでに、超高層マンションに免震工法が採用されているのか?
免震マンションは、基礎と1階床から上の建物部分を「積層ゴム」を挟んだ構造となっている。地震の激しい揺れを「積層ゴム」で柔らかく受け止めて、建物上部に激しい揺れを伝えない。
通常の耐震設計が施されたマンションは、大地震時の倒壊防止・人命確保の観点から設計されており、家具の転倒や非構造部材の破損はやむなしとしている。だから、震災後の機能回復、損傷復旧などのことを考えると安全ではあっても安心はできない。
それに対して免震マンションは、建物の倒壊防止・人命確保はもちろん、家具の転倒防止・非構造部材の破損を免れることから、大震災に対しても安心だ。
マンションの免震化がより安心できる居住環境の実現に向かっていることに間違いない。
ビデオや携帯電話などのように、商品を差別化するために、高機能化、高付加価値化していくのは世の常だ。
でも、マンションの免震化をデベロッパーの差別化戦略のひとつととらえた場合、いくつか注意事項がある。
免震マンションの設計・施工には、高度な技術が必要だ。ノウハウの少ない設計事務所やゼンネコンが手掛けたマンションは危うい。性能の低い免震マンションは、いざ大地震のときにこんなはずではなかったということになる。
また、エレベーター業者がエレベーターの維持管理で飯を食っているように、免震を導入したマンションでは、免震装置の維持管理が飯の種になる。免震装置の施工責任と維持管理責任を明確に区別することが難しいから、維持管理業務は、免震装置の施工会社系列が受注するのかもしれない。競争原理が働かないぶん、住民は高い維持管理費用を負担することになる。

免震マンションは、現在普及途上にあり、それらの免震性能は玉石混交だ。
建築技術に明るくない一般の人が免震性能の高い免震マンションを見極めるのは、ほとんど不可能だ。
携帯電話であれば、使い勝手が悪ければ他社に乗り換える費用は大したことはないが、マンションを買い換えるとなると、一大事だ。
厄介なことに、大地震が起きてからでないと免震性能が確認できない。
免震マンションを買う人は、心して選ぶ必要がありそうだ。

(本日、マンション広告1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.