「住まいサーフィン」を運営しているスタイルアクト社は9月1日、<首都圏 「高学歴な親が選ぶ」小学校区ランキング>を発表。
都内の四大卒以上割合ランキング1位「番町小学校」が四大卒以上割合64%、推計世帯年収1,151万円というのはホントかという話。
- 都内の四大卒以上割合ランキング1位「番町小学校」
- 世帯年収1150万で番町に住めるか?
- 番町小学校の「四大卒以上割合64%」を検証してみる
- 回答者は年収や学歴を正直に回答しているか……
- あわせて読みたい
都内の四大卒以上割合ランキング1位「番町小学校」
「東京都の四大卒以上割合ランキング」をみると、1位が番町小学校(四大卒以上割合64%、推計世帯年収1,151万円)となっている(次図)。
世帯年収1150万で番町に住めるか?
同ランキング記事をツイートしたところ、某マンションブロガーから次のように、『マンションに住んでる人』の平均ではないのでは、という趣旨のリツイートを頂戴した。
世帯年収1150万で番町に住めるんかなぁ…スタイルアクトのこれいつもなんか不思議。『マンションに住んでる人』の平均では多分ないよね。うちで大卒でない理事を見つけるのはかなり難しい
スタイルアクト社のプレスリリースの注釈には、「平均世帯年収」は「平成22年国勢調査」と「平成25年住宅土地統計調査」を元にスタイルアクトが独自に推計したと記されている。
具体的な推計方法は不明だが、「国勢調査」も「住宅・土地統計調査」もどちらも世帯主ベースのデータだから、実際に住んでいる人のデータである(持家か賃貸かの違いはあるが)。ただ、千代田区内とはいえ、全員がマンションとは限らない、戸建ての人も含まれている。
- これらのデータの割合算出は、総務省統計局「平成22年国勢調査」「平成25年住宅土地統計調査」を元にスタイルアクトが独自に調査、算出、推計を行った。
- この調査における「平均世帯年収」は、全世帯から単身者や夫婦のみと推定される世帯を除外して算出した。
- 学区域は国土交通省国土政策局「国土数値情報(小学校区データ)」平成22年時点のものをもとにスタイルアクト株式会社が独自に調査、加工した。
番町小学校の「四大卒以上割合64%」を検証してみる
「平成22年国勢調査」は年収に関する調査項目がなくなった。かといって「住宅・土地統計調査」の世帯年収データを学区単位に変換するのは簡単ではない。
そこで、「世帯年収」データの検証は諦め、「四大卒以上割合」データのほうを検証することにした。「四大卒以上割合」データであれば、「平成22年国勢調査」に町丁目単位で公開されている最終学歴データを用いて、スタイルアクト社が発表した番町小学校の四大卒以上割合64%を検証することができる。
千代田区ホームページ 「区立小学校の通学区域」により、番町小学校の学区は次の7つの地域にまたがっていることが分かる。
- 麹町五・六丁目、紀尾井町、二番町、四番町、五番町、六番町
地図で表現すると次図のようになる。
「平成22年国勢調査」の東京都「第14表 在学か否かの別・最終卒業学校の種類(6区分)、男女別15歳以上人口 -町丁・字等」データをもとに、番町小学校の学区7地域の最終学歴の人口割合を計算した結果が次図。
番町小学校の学区の卒業者数4,600人に対して大学・大学院卒2,039人の占める割合は44%。スタイルアクト社の64%より少ない。
ここで注意しなければならないのは、最終学歴「不詳」と回答している人が1,357人(30%)もいることだ。
分母から「不詳」を除くと、大学・大学院卒の割合は63%となり、スタイルアクト社の64%とほぼイコールになることが分かる。
実際には「不詳」と回答した人のなかに、大学・大学院卒が何人が含まれている。
したがって、番町小学校の学区の大学・大学院卒の割合は44%~74%(=44+30)の間にあるということになる。
回答者は年収や学歴を正直に回答しているか……
最近は個人情報の保護の観点から国勢調査に対して、最終学歴を答えない人が多いという(だから「不詳」が30%にも達している)。
さらに、年収データとなると、学歴以上に回答者がどこまで正直に回答しているのか分からない。
「四大卒以上割合ランキング」では、「四大卒以上割合」や「推計世帯年収」の数値は目安にとどめ、順位を参考にするくらいにしたほうがいいだろう。
そのうえで、1都3県各自治体の<「高学歴な親が選ぶ」小学校区ランキング>を、あなたのマンション選びにお役立てください。
※「住まいサーフィン」のデータの一部は会員(登録無料)でないと閲覧できない。念のため。