マンション事業においては、ゼネコンは必ずしもメインプレーヤーではない
土地の手配から配置計画、住戸構成など、マンション事業全体をコントロールしているのはデベロッパーだからだ。ゼネコンに期待できるのは、品質の高い建物を施工することに限られる。
スーパーゼネコンが施工するマンションであれば、品質的には全く問題ないであろう。
でも、スーパーゼネコンには高い施工技術やしっかりした品質管理体制を期待できるぶん、間接費も高くなる。
だから、スーパーゼネコンが手がけるのは、事業規模の大きな大規模マンションや高度な施工技術を要する超高層マンションなど、利益が確保しやすい物件が中心ということになる。
スーパーゼネコンとは、どういう会社か?
日本全国の建設業者数は60万社近いが、その頂点に君臨する次の5社をいう。売上高は1兆円を超え、企業規模も突出していて、その地位は不動だ。- 大成建設(2004年度:売上高1兆7,079億円)
- 子会社である有楽土地(株)は、住宅地等の開発・販売、マンション・戸建住宅の建設・販売、不動産賃貸業を営む。
- 鹿島(2004年度:売上高1兆6,873億円)
- 超高層・耐震・原発など技術に強み。
- 清水建設(2004年度:売上高1兆4,843億円)
- 首都圏・民間建築が主力。
- 大林組(2004年度:売上高1兆4,046億円)
- 関西から首都圏・全国にバランス展開。
- 竹中工務店(2004年度:売上高1兆1,928億円)
- 建築主体。
スーパーゼネコン5社に続くのが準大手ゼネコン(11社)
スーパーゼネコンに匹敵する実力を有するが、売上高、企業規模は及ばない。- 三井住友建設(※)、長谷工コーポレーション(※)、戸田建設、前田建設工業、西松建設、鴻池組、熊谷組(※)、フジタ(※)、東急建設、ハザマ(※)、飛島建設(※)
- (※)は、債務免除など金融支援を受けたゼネコン。
準大手ゼネコン(11社)であれば、組織がしっかりしているので、施工品質的には安心できる。
中小ゼネコンの注意点
そもそもマンションの工事は、事務所ビルなどと異なり、施主(ここでは住戸契約者)がたくさんいるので、検査時の対応が大変。しかも競争が激しいので利益率も高くない。1階から最上階まで同じ施工の繰り返しだから、建築技術者にとっては面白みに欠けると思う。
中小規模のマンションであれば、特に高度な施工技術を要しないから、上記以外の中小ゼネコンでも十分施工できる。
ただし、組織的なバックアップ体制がしっかりしていないと、マンションの仕上がりが現場所長の力量に左右される場合があるから注意が必要だろう。