住みたい街といえば吉祥寺がランキングの上位の常連だ。
リクルート住まいカンパニーが3月7日に発表した「2017年版 SUUMO住みたい街ランキング 関東版」によれば、昨年1位の「恵比寿」を抑え、「吉祥寺」が1位に返り咲いている。
そんな吉祥寺人気にあやかろうと、吉祥寺から遠く離れたエリアの住人でも「吉祥寺に住んでいる」ようなことを口にする。
「どこまで行くんですか?もうここ吉祥寺ちゃいますよ」
吉祥寺の居酒屋でしこまた飲んだ徳永と先輩芸人の神谷。
神谷「近所やし、うち来たら?」
どこまでも歩く2人。
焼けつくような喉の痛みに耐えながら、神谷さんの後をついて行った。しかし、歩けども歩けども神谷さんの家には着かない。いつもの悪ふざけかと思ったが、神谷さんは、「徳永大丈夫か!」と時々僕の方を振り返り、本気の表情だったので、ふざけている訳ではなさそうだった。吉祥寺通りを永遠と思えるほど歩いた。右手の練馬立野郵便局を越えた辺りから東の空が白んできた。車が走っていないのをいいことに車道のセンターラインを悠々と歩く神谷さんを見ていると、嘔吐感と相まって俄かに腹が立ってきた。
「どこまで行くんですか?もうここ吉祥寺ちゃいますよ」
(中略)
もう、すっかり朝だった。そこからも、まだ歩かされた。「富士見通り」は、いつの間にか「中央通り」になっていた。ようやくロータリーらしき広場と駅の建物が見え、「西武鉄道上石神井駅」という文字が目に入った。全く以て吉祥寺ではなかった。神谷さんが、「ここや」と言った建物は、随分古かったが、想像していたよりも、品のあるアパートだった。
上の文章は、お笑いタレント又吉直樹が書いたベストセラーにして芥川賞受賞作『火花』からの抜粋。
どこまでが”吉祥寺”なのか?
Wikipedia「吉祥寺」によれば、狭義では吉祥寺本町・吉祥寺北町・吉祥寺東町・吉祥寺南町。これにかつての大字の「吉祥寺」であった御殿山と中町が加わる。
範囲
前述の通り、吉祥寺本町・吉祥寺北町・吉祥寺東町・吉祥寺南町を合わせた範囲が現在最も狭義での「吉祥寺」であり、さらに御殿山・中町を合わせた範囲がかつての大字「吉祥寺」である。後者の場合は三鷹駅に面した場所も含まれる。
(中略)
人気のある地名であることから、不動産会社では三鷹市井の頭や下連雀、練馬区立野町にあるアパート・マンションを「吉祥寺の物件」として紹介していることが多い。(以下略)
練馬区の”吉祥寺”マンション14件
不動産情報サイト「住まいサーフィン」の「物件検索」ページで「吉祥寺」と入力すると、竣工済み物件を含め86件ヒットする(5月6日現在)。
狭義の吉祥寺は38件。かつて「吉祥寺」だった御殿山7件、中町3件。
あと、三鷹市の”吉祥寺”物件が24件、練馬区の”吉祥寺”物件が14件。
全物件86件を地図に落としてみた(次図)。
マンション名に「吉祥寺」が含まれる物件の分布図
(↑ クリックするとグーグルマップが開く)
練馬区の関町南や立野町って、「もうここ吉祥寺ちゃいますよ」
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