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羽田衝突事故|大田区議会「24年第2回定例会」質疑応答

大田区議会「24年第2回定例会」本会議の代表質問(6月19日)で、杉山こういち議員(共産)から羽田衝突事故に関しての質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約1千400文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

杉山こういち 議員(共産)【代表質問】

杉山:相次ぐ事故、増便前の発着枠に戻すよう国に求めるべきです

杉山こういち 議員(共産)
杉山公一 議員(共産党、区議1期、元全日空の整備士、静岡県私立自動車工業高校卒、69歳)

最後に、羽田空港で相次ぐ事故、インシデントから、区民の生命と財産を守る対策の強化について質問します。

空港で直接運行に関わる職場の労働者、約1300人から寄せられた「24春闘アンケート」では、人員については「87.2%が不足していると感じている」と答えており、「足りている」は12.8%でした。コロナ禍での減便から運行再開、増便の中で人員不足はより深刻になっており、人員増は待ったなしと分析しています。


また、安全面の回答では、「安全は向上している」は昨年の18.8%から10.6%に減り、「低下した」は昨年の28.2%から33.9%に増加し、「どちらとも言えない」は52.9%から55.5%に増えています。安全が低下傾向であることを示しています。


また、ヒヤリハット経験では26.2%と4人に1人が「ヒヤリハットを経験している」と答えています。ハインリッヒの法則では1つの重大事故の背景には29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットが存在し、重大事故の裏に潜むヒヤリハットを把握する重大性を説いています。問題が小さいうちから対策を立てることが重要とされています。ヒヤリハットの事例に対する対策を行い、重大事故を防ぐための手法です。


羽田空港では5月23日、日本航空機同士の翼が接触する事故が発生しました。空の便を巡っては国内でトラブルが相次いでおり、専門家は便数増や人員不足が原因だと指摘しています。

航空機の誘導を担当するグランドハンドリングの職場などでは採用数の65%の離職が続いており、採用しても採用してもすぐ離職し、入れ替わりが激しくスキルの伝承が困難な状況が続いています。


そこで伺います。相次ぐ事故、インシデントから、乗客や区民の命と財産を守るために、人員不足と過密化している羽田空港の現状を直視することです。以前から管制官、パイロット、整備士、客室乗務員、グランドハンドリング要員などは不足していたのに、2020年3月29日から運用された羽田空港の機能強化、増便、新飛行ルートによってさらに深刻な状態となっております。せめて、増便前の発着枠に戻すよう国に求めるべきです。お答えください。

区長:航空機の発着回数、安全に取り扱える範囲内で設定していると承知

鈴木晶雅 大田区長
鈴木晶雅 大田区長(1期、元自民都議6期、日大卒、65歳)

羽田空港の運用についてのご質問ですが、本年1月2日に羽田空港で旅客機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上し、死傷者が発生する非常に重大な事故を受けまして、区では1月5日に国土交通大臣に向けて事故の徹底した原因究明と再発防止に向けて取り組むよう申し入れを行っております。

国は直ちに航空の安全・安心確保に向けた緊急対策として、5つの柱からなる対策を講じており、事故の詳細については運輸安全委員会による調査が行われています。


また、滑走路上における航空機等の衝突防止のためのさらなる安全・安心対策をハード・ソフト両面から検討するため、本年1月19日に設置された「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」において現在までに6度会議が開催されており、この夏の中間取りまとめに向け論点整理を進めていると聞いています。


羽田空港における航空機の発着回数につきましては、安全に取り扱える範囲内で設定していると承知しております。


なお、先日、安全上のトラブルが相次ぎ、国土交通省より厳重注意を受けた航空会社からも区に対して直接再発防止策の報告を受けており、その際には安全への取り組みについて改めて要望いたしました。

引き続き、現在実施している緊急対策や事故対策検討委員会での取り組みを注視し、状況を確認してまいります

雑感(人員不足…)

今回の定例会本会議で質問に立ったのは、全部で22名(代表質問7名、一般質問15名)。そのうち羽田衝突事故を取り上げたのは、42年間の全日空でのエンジン整備のキャリアを持つ共産党議員(1名)だけだった。

ただ、残念なことに、大田区議会本会議の代表・一般質問は再質問がないので、全く議論が深まらない。まさに”原稿棒読み大会”

 

杉山議員が引用した「24春闘アンケート」を可視化してみた(次図)。

人員が「不足している」の割合は2年続けて8割を超えている。

24 春闘統一アンケート結果(航空連)

多くの業界で人員不足が叫ばれているが、命に直結する航空業界での人員不足が看過できないことは素人にでも分かる。人員不足が航空需要回復の足かせに……

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