24年3月18日に開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」主催による国交省への再ヒアリングにつき「ヒアリング内容が不調に終わったため」、4月11日、再度ヒアリングが実施された。
国交省への再ヒアリングで何があったのか、YouTube動画をもとに整理しておいた。
※敬称略
国交省への再ヒアリングで何があったのか
24年3月18日に開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」主催による国交省への再ヒアリングにつき「ヒアリング内容が不調に終わったため」、衆議院第一議員会館で4月11日09:30~11:00、再度ヒアリングが実施された。
同日の会議に参加した杉江弘氏(元JAL機長)は、怒りのポストを連投。
#都心ルート固定化回避は物理的に不可能
昨日2024年4月11日の国会でのヒアリングで私が少ない時間割り当てにより十分な質問と追及が出来なかったが、固定化回避など技術的に不可能なのに4年間都民、国民を国土交通省が騙してきた事が立証出来たので私の役割は終了、今後は要請されても出席はしない
※怒りの連投は、「固定化回避検討会、国交省【再】ヒアリング(24年4月11日) - min.t」参照。
温厚な杉江氏をここまで激怒させた会議ではいったい、何が起きていたのか?
同会議の2日後(4月13日)、市民メディア放送局「UPLANpart3」に公開されたYouTube動画をひも解いてみた。
会議概要・出席者など
会議概要(実績)
・開催日時:24年4月11日09:30~11:00
・開催場所:衆議院第一議員会館
・会議の概要:
※進行:松原仁 衆議院議員(羽田見直し議連の事務局長)
- 国交省入場前【約23分】
- 住民からの意見、議員らからのコメント
- 国交省入場後【約70分】
- 国交省説明(衝突事故+固定化回避検討)【約4分+15分】
- 議員質問⇒国交省回答【約18分】
- 非議員質問⇒国交省回答【約10分】
- 杉江氏質問⇒国交省回答【約12分】
- 出席議員等(9名)
- 海江田万里 衆議院副議長
(立憲、比例東京ブロック、8回)羽田見直し議連の会長 - 松原仁 衆議院議員
(立憲⇒無所属、東京3区、8回)羽田見直し議連の事務局長 - 笠井亮 衆議院議員
(共産、比例東京ブロック、6回)羽田見直し議連の副会長 - 鈴木庸介 衆議院議員
(立憲、比例東京ブロック(東京10区)、1回) - 山添拓 参議院議員
(共産、東京都選挙区、2回)羽田見直し議連の事務局次長 - 塩村文夏 参議院議員(立憲、東京都選挙区、1回)羽田見直し議連の事務局次長
- あべ祐美子 都議
(立憲、 品川区選挙区、1回)※衆議院東京3区総支部長 - 高松さとし 都議
(立憲、練馬区選挙区、2回)※次期衆院選公認候補予定者 - 松尾あきひろ 元衆議院議員
(立憲、比例東京ブロック(東京2区)、1回)※東京都第7区総支部長
- 海江田万里 衆議院副議長
- 国交省からの出席者
- 航空ネットワーク部
首都圏空港課 東京国際空港環境企画調整室長、課長補佐、係長 - 交通管制部
交通管制企画課調査官、管制課調査官 - 安全部
官房参事官(航空安全推進)、課長補佐、係長
- 航空ネットワーク部
杉江弘氏(元JAL機長)と国交省の質疑応答
杉江弘氏(元JAL機長)が限られ時間で質問したのは、次の2点。
- 固定化回避検討会のなかで、ファイナルアプローチとしての直線距離は何マイルを前提としているのか?
- RNP-AR進入ができない航空機が約3割だから、そのぶん増便できないのではないか?
国交省からの回答は次の通り。※回答になっていない。
- 率直な意見交換の阻害であったり、不当に国民の皆さんに、混乱を生じさせる恐れがあることから、回答をするのは差し控えさせていただく
- CO2削減などの施策の中でRNP-ARの促進というものもございますので、そちらを踏まえながら、この対応率というものは着実に上がっていくものと考えている
詳細については、以下、YouTube動画から文字起こし。
ファイナルアプローチとしての直線距離?
杉江
航空評論家の杉江です。
ここで今日出された資料、これは先生方にも知って欲しいんですけど、航空会社で教育で使うような資料で、こんなことはもう分かり切っていることなんです。
検討会をやってきて知りたいのは、こういうことなんですよ。つまり、今までのルートよりも違うところをとか考えてると。ところが、東京には東京タワーとか高いビルがいっぱいあるということで、そう簡単にはショートカットするルートは難しいわけですよね。それは皆さん分かってると思う。
それで、つまりそういうこと色々条件があって初めてRNP-ARアプローチができるわけですよね。そこが私が聞くんですよ。絞り込んだその進入方式を実現するためには、色々条件があるんですよ。
例えば、僕は、(時間がないのでこの場では)議論しませんから、ファイナル、最終的な直線ファイナルは何マイルを前提にしてるんですか答えてください。前に、シアトルの例出されたでしょ。シアトルの例は5マイル、6マイルですよ。これ(最終的な直線距離は)何マイル取ってんですか。前提。それがないと、チャートができないんですよ。
国交省
はい。え~と、直線の進入方式の、最後の直線がどのくらいの長さを取っているのかというご質問ですけれど、え~と、現在、安全性評価を鋭意進めているところでえございまして、具体的なえ~と、何ていいうですかね、データの内容でとか、そういったところについては、現時点でお示しをするのが適当であるとは考えておりませんので、その最終、最終の直線の長さについてもこの場で公表すること、公表というか、検証している内容を、どの数値で行っているのかというところを公表することについてはえ~と適当であるとはえ考えておらず、これは適当ではないというふうに考えているのはえ~と検討会における、え~と率直な意見交換の阻害であったり、不当に国民の皆さんに、混乱を生じさせる恐れがあることから、回答をするのは差し控えさせていただくということでございます。
杉江
はい。それでね、いいですか、いま、だから、この間も私言いましたけども、他にも色々条件があるんですよ。プロファイルとか、進入チャートを作るためには。今1つだけ、僕は時間がないんで、1つだけ言いましたよね。
最終進入をどのぐらいの距離を取るかというのは、航空機の安全にとって非常に大事なんですよ。例えば、先生も知ってて欲しいんですけど、例えば松本(空港)でやってるような、最後に3マイル、3マイルしかない時は、滑走路に、もし滑走路分がはみ出してても、それを飛行機をまっすぐに戻すのに何秒かかるか、誰か分かる人いる。いないでしょ。それで200ftからまっすぐに戻すに12秒かかる。僕、(元)パイロットだから分かるんですよね。
いいですか。そういう問題を検証しなきゃいけないですよ。だから最終進入っていうのは何マイル取るかっていうの非常に大事なんですよ、安全上。それをお答えにならない。
それで、前回言いましたけど、デジタルでもなんでもいいですよ。こういうプロファイル、チャートを、これを仮定で、例えば東京湾の今まではこれはお台場の方ですけど、その辺から入ってってそれで最終進入、ファイナルを、何マイルを取ってていう仮定をして、仮定のチャートを作って、それで検討会で乗員(経験のある委員)の人もいるんだから、それでこれできるかどうかを検討して、それで、この間も言われた通り、航空局のシミュレーター、今までJALとかANAを使ってましたけど、そういうシミュレーターを使って、実際それで飛べるのかと。そういういろんなことをまず検証してくってことが、まず大事なんです。
それで今日示された資料は、これはもう国際的に常識な話なんです。1番私たちが知りたいのは、今僕が言ったことに対する、何を検討してるのかということなんですね。それで、今日事務局の方から事前に、要するに前回、今までずっとこういうことを話してても全然議論が進まないので、要するに、ここにパイロット、飛行機操縦する人いないでしょ、今日いないでしょ。操縦知っているの僕だけですよ。それで、だからこのチャートを、こういう仮定のチャートで実際飛んでってうまくできるのか、安全にできるかっていうのは、パイロットか検証しなきゃいけない。だから皆さんは「シミュレーターを使って検証する」と言うけども、そしたらそこに検証する人はパイロットがやるんですよ。それ乗員課と運行課の人ですよ。それを今回出してくださいってって質問したいんだけど、今日出てないじゃないですか、事前に言っても。パイロット出てこないでしょ。
つまりね、やってないんですよ、なんにも。ずっと4年間。
それが1番大事なんですよ。最初、12の進入チャートを出して、12のうちもう最初から、はなからもう6案ぐらいはあり得ない話を出しといて、6案に絞って、2案に絞って、今絞っているのはARアプローチですよ。そのARアプローチも何もやってない。検証もしてない。だからここで答えられない。パイロット出してくれつても出てこない。パイロットがやってないからなんですよ。だから出せないんですここに。
いいですか、この4年間、皆さんのやってることは本当にこういう進入チャートを作って、今のルートから固定化回避をして違う進入ルートと違う進入方式を本当に安全にやろうということを検証してないんですよ。
今日それが分かりましたよ。
RNP-AR進入ができない機材3割、そのぶん増便できないのでは?
杉江
もう1つ質問します。
先ほどから便数の問題いっぱい出てますけど、ARアプローチができない機材が今の羽田空港の機材の7割しかないんですよ。70%。3割はダメなんですよ。
だから今検討会でやってるARアプローチを今後導入するつったって、今羽田空港飛んでる3割の飛行機はそれ飛べないんですよ。飛べないということは増便できないんですよ。それどうお答えするんですか。最後に、質問答えてください。
国交省
え~と、杉江さんの、え~と、まず前段のえ~とご質問ですけれども、本日お配りをしました飛行方式の検討についての資料の5ページ目ご覧ください。こちらの資料は、現在の同時運用を行うにあたっての安全性評価を行う前段、飛行方式、新しく選定をいただいた飛行方式、単体で飛行が可能であるかどうかというところの確認を行った検証の結果をご報告したものでございます。
この中でお示しをしております通り、通常の航空会社が主に使用しております、A320、A350、ボーイング737、767、777、787のフルフライトシミュレーターですね。こちらは航空会社にご協力をいただきながらフルフライトシミュレーターを用いて検証を行ったものでございます。
合わせまして、本日ご説明をいたしました7ページ目ではなかった、8ページ目ですね。8ページ目の右側の、シミュレーション、左側、右側両方ですけれども、こちらにシミュレーションという言葉ありますが、こちらにつきましても航空会社のフルフライトシミュレーターを使用し・・・
杉江
資料の補足説明いいですから、僕の質問に答えてください。
国交省
パイロットに実際に操縦を行っていただきながら検証を進めたところでございます。それから、具体的なデータについてはお示しすることはできませんけれども、最終の直接の長さなどにつきましては杉江さんご提唱のスタビライズドアプローチが満足されるかどうかというような観点で、観点も交えて、検証を行いながら、最適な長さを検討しているところでございます。
杉江
3割しか、3割の飛行機は飛べないの、増便にならないの、それどうですか。
国交省
「RNP-AR進入の対応機材が現時点で7割ではないか」というご指摘ですけれども、航空会社の経営に関わる個別の航空会社の経営に関わる内容ですので、私からお話しすることはいたしませんが、こちらにつきましては国交省の方針でもあるCO2削減などの施策の中でRNP-ARの促進というものもございますので、そちらを踏まえながら、この対応率というものは着実に上がっていくものと考えているところでございます。
杉江
質問に答えてないじゃないですか、質問に。
今の、今のARアプローチを導入しても増便にならないでしょ、今。CO2の問題はちょっと別にして。いろんなこと言わないで、便数だけ。3割減るでしょ、今の便数よりも。
(会場から)
737にあるの、古い737に。767に、ないんでしょ。
杉江
答えてください、そこのところを。二宮さん、自分の考えなんて言わないで。
国交省
こちらにつきましては、え~と、これまでのえ~と、この場でお話をしていたかとは認識しておりますが、RNP-AR、本日お配りした資料の1ページ目ですね、RNP-ARという進入方式を用いて検証行っているところですけれども、その右にRNP+WPガイダンス付きという方式がございます。こちらについてはRNP-ARが対応できない航空機についてそれを補足するために・・・
杉江
それは前回までの議論で、そのアプローチやビジュアルアプローチが伴うから、有視界が伴うから効率が悪いと言ったじゃないですか。だからそれを組み合わせたって今より増便にならないでしょ。減便になっちゃうでしょ。それを聞いてんですよ。
僕は、3割減るのか、2割減るのか、1割減るのか、そんな細かいこと聞いてませんよ。
だけど今までの議論に行くとそういうことでしょ。今僕はARアプローチ言ったらと、違うアプローチ2つあるんだって別のことも考えてだって言ってる。それは効率は悪いと前認めたじゃないですか。
松原仁
ありがとうございます。今の杉江さんの分の議論はまた文字で・・・
杉江
いや議論じゃなく、答えくださいよ、それ。ちょっと、答えください。
松原仁
今日の11時が規定の時間ですから。
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