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羽田新ルート|江戸川区議会「24年第1回定例会」予算特別委員会(質疑応答)

江戸川区議会の「24年第1回定例会」予算特別委員会(環境費)(3月1日)で、羽田新ルートに関して4名の質疑応答があった。

録画放映をもとに、テキスト化(約4千800文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は環境課長


伊藤ひとみ 議員(生活者ネット)

伊藤ひとみ 議員(生活者ネット)
伊藤ひとみ議員(生活者ネットワーク、区議3期、埼玉大学経済短期大学部卒、61歳)

伊藤:第6回の検討会、何か情報は?

おはようございます。よろしくお願いいたします。羽田空港機能強化について伺います。
第5回羽田新航路の固定化回避に係る技術的方策検討会は2022年8月に開かれましたけれども、第6回の検討会はいまだに開かれていません。これについて何か情報はあるのでしょうか

課長:今のところ情報はございません

環境課長

第6回の開催につきましては、今のところ情報はございません。以上です。

伊藤:第6回の検討委員会の早期開催、区で要請は?

分かりました。港区では区長、区議会、揃って安全性に関する技術的検討結果の出される第6回の検討委員会の早期開催と住民への教室型の説明会の開催を求めていますが、江戸川区ではこのような要請はしているのでしょうか

課長:意見としてちゃんと伝えてございます

私ども国交省と頻繁にやり取りをする機会を持ってございます。その中で固定化回避検討会であったりとか、それから、教室型の説明会について、開催をしてもらえるように、あるいは早期の開催をしてもらえるように意見としてちゃんと伝えてございます
それはこれからもやり取りは続きますので、引き続き、要望を伝えていきたいというふうに考えてございます。以上です。

伊藤:区としては部品欠落に関して、どういう見解?

はい、わかりました。続けていただきたいと思います。
騒音だけではなく、部品欠落や落下物の心配する声がありますが、区としては部品欠落に関しては、どういう見解をお持ちでしょうか

課長:国交省、部品欠落をしっかりと情報として集めて・・・

部品欠落は、部品が空港に到着後、飛行機を確認した際に、なくなってることが分かったものでございます。地上への落下物には至らなかったものの、紛失をしてる、そういう類のものというふうに認識をしておりまして。

国交省がそういった部品欠落をしっかりと情報として集めて、その上で、地上への落下物を防止するための取り組みにしっかりと活かしているというふうに認識してございます。以上です。

伊藤:住宅街の上を飛ぶことは避けるべき

昨年4月から9月に報告された欠落部品の総数は692個でした。そのうち、重量が1kg以上あるものが5個ありました。

部品欠落は、到着後の点検で部品がなくなっていることが判明したものです。つまり、至らなかったというとことよりも、どこに落ちたか分からないということだということです。

国交省はほとんどが100g未満と言いますが、どんなに未然に防止すると言っても、落下物や部品欠落、全てをゼロにすることはできません。住宅街の上を飛ぶことは避けるべきだと考えています。


また、固定化会回避が検討されていますが、並行した滑走路の同時併用は世界でも導入例の少ない飛行方式です。いくら進入不可の地域を間に設けたとしても、監視するのは最終的には人間です。現状、フライトシミュレーションによって飛行可能だと言われているだけあり、経路からの逸脱を完全になくすことはできないと考えます。

住民との意見交換ができるよう、教室型の説明会の開催を強く求めます。以上です。

大橋美枝子 議員(共産)

大橋美枝子 議員(共産)
大橋美枝子議員(共産、区議4期、千葉大卒、74歳)

大橋:(区民からの声)34件、どんな内容か?

今、伊藤委員の答弁、聞かせていただきました。私も騒音や落下物の心配が区民から寄せられているというふうに感じていて、いただいた資料では34件寄せられているというふうになっていますけれども、どんな内容か、主な内容をお知らせください。

課長:音が大きいというご意見が主

環境課長(環境課長)

34件、今年度ご意見を寄せていただいているということであります。
内容につきましては、航空機の飛行音がうるさい、あるいは低空飛行をしてるんじゃないかというような、音が大きいというご意見が主でございます。以上でございます。

大橋:航空機衝突事故、事故を繰り返さないための具体策を急ぐという立場で国に意見を述べて欲しい

はい、本当にこの騒音っていうのは気になって、私も何度もここで意見を質問を繰り返してきましたけれども、個人差があるってことはもうそれは想定した上で。


実際に本当に驚いた事故ですね、1月2日の。そのあと、5日間、ルートが停止して、改めて何か静かな空だったっていう声を区民から聞いているんです。

ですからやっぱり、騒音、また、先ほど、伊藤委員が指摘した落下物問題っていうのはずっとこれは続くわけですから引き続き、丁寧な対応を求めて欲しいということ、と合わせて――、もう1つ、航空機衝突事故について調査が行われていることに関してお伺いしたいんですが。


原因の解明ってことでは当然だと思うんですけども、日本では、司法機関による個人責任のあり方を見直す、すいません、言い方換えます、司法機関が個人責任を追求するというやり方が言われています。

そうではなくて空の安全を守る視点を踏まえた、事故原因の解明や事故を繰り返さないための具体策を急ぐという立場で国にそういう意見を述べて欲しいんですけどもいかがでしょうか。

課長:何か申し入れを行う考えはございません

ご質問の事故原因の究明であったりとか、それから、再発の防止策については国交省が検討委員会を設けて検討しているほか、あと、各種制度であったり、法令に基づいて国が適切に対応してると考えておりますので、国に対してこの件、何か申し入れを行う考えはございません。以上です。

大橋:元の海上ルートに戻すことを国に求めて欲しい

ちょっと残念に思います。
事故調査をする時に、事故調査を優先するっていうことと、個人責任を追及するっていうのは、これは意味が違う。だからやっぱり、事故原因をきちんと調査するのを優先してほしいということを今、お願いしたわけです。引き続き、それはお願いしてほしいと、意見を述べます。


日本には、97の空港がありますけれども、世界有数の忙しさと言われてるのは、羽田空港。1日の利用者は23万人。航空機の発着回数は1200回。1時間に最高90機までの離発着があります。

事故の原因に関して、空の安全を守る航空管制官の必要な人数が足りず、過密労働になってるとの指摘もあります。事故に関わるメンタルケアの拡充も必要だと思います。空の安全のために、江戸川区からも発信するべきと考えます。


最後にもう一つ、いつも言っているんですけれども、とにかく事故をなくすためにも、国際便は成田空港の利用に戻すという立場を取ること、そして元の海上ルートに戻すことを国に求めて欲しいんですけどもいかがでしょうか。

課長:国にまた申し入れるような考えはございません

羽田空港の機能拡張につきましては、東京、あるいは、今、ひいては、日本の国際競争力の向上に資する取り組みとして行われてる国策でございます。

従来よりお答え申し上げておりますけれども、23区全体、それから、江戸川区として、この取り組みは必要なものと考えてございますので、この変更を国にまた申し入れるような考えはございません。以上です。

大橋:海上ルートに戻すという立場をきちんと取ってほしい

本当に残念に思います。空の安全っていうのを優先すれば、やっぱり海上ルートに戻すという立場をきちんと取ってほしいと、改めて意見を申し上げて終わります。

桝秀行 議員(無所属の会)

桝秀行 議員(無所属の会)
桝秀行 議員(無所属の会、区議4期、関東学院大卒、48歳)

桝:反対する方々に対して、事業の中で何かお持ちでないか?

関連して航空機の騒音ということなので、一つ意見を言わせていただきたいと思います。

この件に関しては何度か意見表明をしてきておりますので、重ねてそこを強調するものではないんですけど、まず騒音に関しては、議会でもこの委員会を通じて騒音の測定もしております。

その際の今でも区として騒音を測定してもらってますけど、基準値をまず超えていないということが一つと。そして、千葉県から発せられてる言葉ですけど、「航空機の問題は首都圏全体で負担をしましょう」と、こういうメッセージを出されている。

そこは東京都としても理解を示すべきだと、私は考えておりますし、また、当該地域、清新町付近になると思いますけど、そこのお住まいの方々からそういう意見が、騒音が問題だとか、落下物が気になるとか、そういう声が上がってるのは間違いないことだとは思うんですけど、やっぱり人数としては絶対的に少ないということが、私はどうかなと思うことなんです。

これは繰り返し申し上げてるので、ここでは、また、それを掘り返すことはしないんです。それに対して、いまの区の答弁を聞いていて、区の姿勢は、私は正しいと思いますし、その姿勢を支持しようと思っています


ただ、一方で、今日ここで言いたいのは、SDGs以来、「誰一人取り残さない」というメッセージを打ち出してるじゃないですか。環境部の事業の中でいくつかあると思うんです。
後で、Park-PFIの話も出ると思うんですけど。

そうじゃないと。区の姿勢を示す事業とは反対の方向だっていう意見が上がっている時に、その方々に対してどういう、なんて言うんでしょう、理解を求める行為というか、施しというか、何かしないとその方は取り残されちゃうわけなんですよね。

行政サービスでいうところの「誰一人取り残さない」っていうのはどういうことかって言うと、多分、網の目が荒かったから取り残されちゃう方がいると思うんですよ。取り残さないためにはどうするかというと、その網の目を細かくしないといけないんですよね。


絹ごし豆腐と木綿豆腐との違いと同じことなんですけど、行政サービスで網の目を細かくするということは、コストと時間がまたかかってくるということなんですよ。

こういう反対をする方々、まだ理解をしていただけない方々に対して、環境部としてそこに人を割いて、さらに時間を割いて理解を求めていくということが、誰一人取り残さないという行政サービスなのかなと、私は思うんですね。


だから、誰一人取り残さないっていう言葉は、すごくカッコイイんだけど、これからは、財源とか、職員の負担とかを考えると、結構ハードルは高いと思うんですよ。だから、ちょっと難しいテーマにはなってくるとは思うんですけど、そういう方々も今まで通り、今、課長が仰ったように「国に何か変更を求めるとかそういう考えはございません」と言って終わるわけじゃないですか。


でも、もしそういう方々に対して理解を求めていくんであるとすれば、「考えはございません」と。「ございませんけど、こういうふうにします」と言わないと、反対する方々の数は減っていかないし、ずっと、ああいうことを言われ続けるんですよ


だから、時間をかけて、人をかけて、そういう方々の負担を軽減してあげる。例えば、騒音が大変だって言うなら、騒音を辛いということを理解してあげて、じゃあ、例えば、サッシを二重にしてあげて防音効果をしてあげるとか、そういう方々に何かしてあげないと、ずっとこれ、減らないと思うんですよ。


この数年間、「誰一人取り残さない」と言ってるわけですから、この事業においてそういうことを新たに、一方、反対する方々に対して私は、踏み込んでいくべきだと思うんですけど、その新たな一歩っていう、そういう考え方っていうのは、事業の中で何かお持ちでないでしょうか

課長:検討していきたいなというふうには考えます

環境課長(環境課長)

「新たな一歩」ということでありますけれども、今のところ、その考えはございません。ただ、仰ることはよく分かりますので、検討していきたいなというふうには考えます


理解を求めるにあたっては、やはり、情報提供が重要だというふうには思っておりまして、ここは、国交省にもよく言ってるんですけれども、住民説明会の開催はちゃんとやってくださいというのはもちろん、その表れですし、あるいは、国交省自身も、インフォメーションのペーパーであったりとか、ホームページでの告知等をしておりますので、そういったことに、もっと力を入れてくださいとか、まず、できることからしっかりと国交省と連携してやっていきたいというふうに考えます。以上、です。

桝:反対する方々に対し、事業の展開をしていっていただきたい

区の姿勢は私は支持しますし、考え方は合ってると思います。だけど、反対する方々に対しては少し、さらに気を使ってあげて、そういう人たちを少しでも少なくしていくっていう思いを持って、そういう事業の展開をしていっていただきたいなと要望します。以上です。

岩田将和 議員(無所属)

岩田将和 議員(無所属)
岩田将和 議員(無所属、区議3期、獨協大卒、50歳)

岩田:落下物回避、海上ならOKなんですか

落下物についてなんですけども、先ほどの落下物回避のために、住宅街の上空は避けるべきとこういったご意見があったんですけれども。

じゃあ、海上ならOKなんですか。漁業への被害とか、船舶への被害とか。海洋業、魚への被害は無視していいんでしょうかね。私はこれも無視してはいけないと思いますよ。これは意見のみです。

雑感

伊藤 議員(生活者ネット)・大橋 議員(共産)

これまでも積極的に羽田新ルート問題を取り上げている点は高く評価したい。

ただ、伊藤議員は部品欠落を、大橋議員は羽田衝突事故を取り上げているのは筋が悪い。特に江戸川区においては、悪化の一途をたどっている航空機騒音に重点を置いて質疑を行うべき、というのが筆者の考え

桝秀行 議員(無所属の会)

「基準値をまず超えていない」「(騒音・落下物の声を上げている住民は)人数としては絶対的に少ない」から、羽田新ルートに反対している人に対して、「例えば、サッシを二重にしてあげて防音効果をしてあげるとか、そういう方々に何かしてあげないと、ずっとこれ、減らないと思うんですよ」という発言。

ようは、羽田新ルートに反対している人は少ないので、カネで解決しようと提案しているに等しい。

岩田将和 議員(無所属)

「落下物回避のために、住宅街の上空は避けるべき」という伊藤ひとみ 議員(生活者ネット)の言葉尻を捉えて、「じゃあ、海上ならOKなんですか。漁業への被害とか、船舶への被害とか(略)」と「意見」を述べている。

難癖をつけているようにしか見えない。航空機騒音問題をどのよう解決するのか言及すべきだろう。

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