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羽田新ルート|渋谷区議会「23年第4回定例会」質疑応答

渋谷区議会の「23年第4回定例会」本会議の代表質問(11月27~29日)で、羽田新ルートに関して3名からの質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約5千文字)しておいた。

※以下、長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

桑水流弓紀子 議員(国民)

桑水流弓紀子 議員(立憲・国民)
桑水流弓紀子 議員(国民民主、区議1期、立教大卒、36歳)

桑水流:区長の行動により飛行ルートが変更された事例、ご存知?

渋谷の空の安全について伺います。まずは、羽田低空飛行ルートについてです。
渋谷区議会では、国会および政府に対し、都心低空飛行を伴う羽田新ルートは早急に運用の停止を検討するよう求めました。しかし、この問題に関する議論が滞り、区民からは失望と怒りの声が広がっています。

港区では、国交省へ7回も港区長が出向き、羽田空港ルートに関しての働きかけを行ったとのことですが、同様の行動は渋谷区も区長の方でされたのでしょうか。

国交省、役人に向けて、これまでに何度長谷部区長が働きかけを行ったのか、その回数や時期について教えてください。区長に伺います。


次に、2022年4月から9月までの期間に飛行機からの部品欠落事例が477件あり、その22%以上が10g以上の重さで、500g以上が7件、60キロ以上も4件あります。落下物は車などに実害があるケースを含めて18件報告されています。この状況は極めて懸念すべきことです。

飛行機から金属やパネルが渋谷区で落ちてきた場合、取り返しのつかない大惨事になる可能性を指摘します。


かつて他の区では、騒音を主たる理由とし、その時の区長の行動により飛行ルートが変更された事例が存在します。区長はこの事例についてご存知でしょうか。伺います。


さらに、近隣区の上空を飛んだ危険事案について伺います。
9月22日の夜、羽田発イスタンプール行きのターキッシュエアラインズが新ルート空域内で、本来の飛行ルート大きく外れ、東京タワーなどの上空を飛んでいたことが分かりました。専門家から「『障害物、急上昇せよ』との管制指示がされたことは、『異常事態』である」との指摘もあります。

本事案について、渋谷区はどのように捉えてるのか。そして、具体的に何か国や国交省に対して行動をとったか、時系列とともに区長に伺います


区長は落下物や部品欠落、危険事案、これらの状況から区民を守るために、低空飛行ルートの廃止のために行動できないのか、伺います。

例えば、港区、新宿区、品川区、渋谷区、この4つに共通するのは国に低空飛行ルートに関する意見書を出してるという点です。この4区の区長でまずは話し合いを定期的に持ち、国や国交省に4区長で働きかけや行動することはできないのでしょうか。区長に伺います。


次にヘリコプター騒音に関して、令和3年11月、我が会派の議員が区長に質問しました。その区長答弁では、「ヘリコプターの苦情を関係機関に伝えてほしいと区民から要望された場合には、区から苦情内容を関係機関に連絡しています」とのことでしたが、過去5年間でヘリコプターの騒音の相談は何件あったのか。

ヘリコプターに関して、令和3年から今日までに、渋谷区としてどこか関係機関になんらなかの連絡をいつどのように行ったのか。区長に伺います。

区長:国交省にも確認、「そのような事例は聞いたことがない」

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、3期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、51歳)

次に、渋谷の空の安全について、5点のお尋ねです。
まず、羽田新飛行経路についてですが、国交省航空局の責任者が私を訪ねてきた時などに騒音対策や安全対策の徹底を申し入れております。なお、国交省への働きかけの回数や時期については記録を取っておりません


次に、飛行ルートの変更についてのお尋ねです。
騒音を主たる理由で飛行ルートが変更された事例があるとのことですが、そのことについては把握をしておりません。念のため、国交省にも確認いたしましたが、「そのような事例は聞いたことがない」とのことでした


次に、近隣上空を飛んだ事案についてのお尋ねです。
飛行中、飛行機に何かしらのトラブルが生じれば、安全対策として飛行ルートを急遽変更することはあり得ることであり、やむやないものと考えます。

本件については、国交省からはメールにより、9月23、29日、10月4日・6日の4回にわたり情報提供がありました。本区では10月27日、国土交通省の担当者から直接報告を受けた際、このような事態が再び起きないよう強く申し入れをしました


次に、羽田新飛行経路に関しての話し合いについてのお尋ねですが、現時点で私には新飛行ルートの廃止を求める考えがないため、他区の区長への働きかけなどを行うことはいたしません


次に、ヘリコプターでの低空飛行・騒音についてのお尋ねです。本区には、平成31年から先月までの5年間、計12件の相談が寄せられています。区民から頂いた相談は、受付後、直ちに航空行政を所管する国土交通省東京航空局に個人情報を伏せて電話にて情報提供を行っています

牛尾真己 議員(共産)

牛尾真己 議員(共産)
牛尾真己 議員(共産、区議6期、中央大学 II部理工学部卒、65歳)

牛尾:都心上空飛行ルートをやめるよう求めるべき

羽田新飛行ルートについて、9月22日22時35分、羽田発イスタンブール行きのトルコ航空機が離陸後、管制官から指示された出発経路を逸脱し、都心上空を飛行するという異常で危険な事態が発生し、11月10日、「渋谷の空を守る会」など都心区の住民が国土交通省とのレクチャーを行いました。


管制官からパイロットへの指示の音声記録には、「機種を上げろ」だけでなく、「障害物」とも言っていることが明らかにされ、43年間パイロットとして機長経験もある参加者からの「障害物の注意が出されることは『異常運航』である」との指摘に、参加した管制官も「経験がない」と認めました。


住民からは、「低空飛行のすごい音で目が覚めた」「トルコ航空機は昨年10月にも衝突事故を起こしそうになった」「危険な低空飛行をやめてほしい」。

「渋谷の空を守る会」の代表からは、「国土交通省の職員は『海上ルートで増便できる』と答えており、都心低空飛行はやめるべきだ」との意見が出されました。


区は昨日、9月27日など4日間に渡って国交省から報告を受けたと答弁しましたが、情報提供の内容を区民に明らかにすべきです。区長の見解を伺います。


こうしたトラブルは、都心上空を低空飛行している限り、いつでも起こり得ることで、航路下の区民が危険に晒されます。専門家による固定化回避の検討会は1年以上開かれていません。


昨日の答弁で、「区長の要請で飛行ルートが変更されたことはない」と言いましたが、江戸川区は騒音訴訟で上空飛行をやめさせ、品川・大田区長が要請して洋上ルートにさせたなどの歴史があります


区長は国交省に対し、安全をないがしろにする姿勢を改め、住民の命の危険を伴う都心上空飛行ルートをやめるよう求めるべきと考えますが、見解を伺います。

区長:現時点では、新飛行ルートの中止を求める考えはありません

長谷部健 渋谷区長
(長谷部健 渋谷区長)

次に、羽田新飛行ルートについての2点のお尋ねです。
トルコ航空の都心上空の飛行については、国土交通省から情報提供を受けており、航空機器のトラブルが原因とのことでした。


議員のご発言にある住民代表の方と国土交通省とのレクチャーについては存じません。

なお、今回の事案について、国土交通省に対し、広く情報提供するよう求めています。
今般の件に関して、国土交通省に対し、このような事態が再び起こらないよう強く申し入れをしました。

なお、現時点では、新飛行ルートの中止を求める考えはありません

星野愛 議員(維新)

星野愛 議員(維新)
星野愛 議員(維新、区議1期、元キャセイパシフィック航空社員、青学卒、43歳)

星野:(固定化回避)情報提供する機会を国交省へ強く要望すべき

まず、羽田空港への新飛行経路についてです。
航空会社の事故対策マニュアルには、「地上犠牲者」の項目があるのをご存知でしょうか?

航空会社時代、空港運営や運航業務に携わっていた私自身も、事故対策マニュアルの取りまとめを行いましたが、これは字のごとく、落下物、墜落など、何らかの事故に巻き込まれる地上での死傷者を意味しています。

渋谷区は2つの滑走路の進入経路の直下であり、一度事故が起これば被害は直下に限らず、広範囲にわたる可能性があることから、見過ごすことはできない項目ではないかと考えますが、区長はどのようにお考えでしょうか?


国交省は、外国航空機の安全性の担保としてランプ・インスペクションの実施状況の概要を公開していますが、本邦航空会社であっても、出発地が国外であれば、航空機の整備補助を行うのは、現地職員ということもあります。

使用機材の大小にかかわらず、到着から出発まで、国際線では60分以内、国内線では45分という短時間で機材を折り返すこともしばしばで、アフターコロナの人員不足により、1機当たりの整備補助の人数が減っている航空会社がある中で、国交省が求める落下物防止のための点検強化がどれほどのレベルで行われているか、疑問が生じます。


また、航空会社、あるいは機材によっては、大きな異常がなければ、パイロット・トランジットと呼ばれる有資格航空整備士の承認を受けずに出発することもあるのが現状です。

これは近年の航空機の安全性向上により、効率的に運航させる措置であり、問題はないものの、外国と本邦航空機を分けて述べる国交省の姿勢には疑問しかありません。


令和2年6月より、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」が開かれています。「本検討会について」と題された第1回の資料には、令和2年6月17日付けの渋谷区からの意見書の抜粋も記載されています。

専門性が高く、技術的知見に基づいた検討会であることは理解いたしますが、だからこそ、検証の途中経過など、一体どんなことが話し合われているのか、影響のある区民向けに情報提供する機会を国交省へ強く要望すべきと考えますが、区長の見解をお聞かせください。


都心へのアクセスがいい路線、プレミアム路線として、航空会社からの需要が高い路線として、羽田空港の発着枠の増加はやはり必要なことであると考えます。とはいえ、運用から3年が経ち、その間には、当初予想などしていなかった新型コロナウイルスの流行、それに伴い、1つの増便の目標としていた東京オリンピック・パラリンピックの延期と無観客開催もありました。


その間、なぜ従来の進入経路へ戻すことができなかったのか。航空需要の推移、また新経路での着陸やり直しなど、これまでの運用実績についても、地域の住民に報告、説明の機会を国交省には設けてもらうべきと考えます。区長の見解をお願いいたします。

区長:当面、区から説明会の開催を要望する考えはありません

長谷部健 渋谷区長
(長谷部健 渋谷区長)

日本維新の会渋谷区議団、星野愛議員の一般質問に順次お答えします。はじめに、羽田空港への新飛行経路について、3点のお尋ねです。

まず、航空会社の事故対策マニュアルには、「地上犠牲者」の項目があるとのことについてです。私はマニュアルを見たことがなく、議員ご発言の項目があることや、その内容は承知しておりませんが、都市部の上空だけでなく、それ以外のどこであっても、飛行機事故や落下物が生じた場合など、様々な状況を想定して、事故対策マニュアルを整備していくことは、航空会社の運営上必要なことだと思います。


次に、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会について、区民向けに情報提供する機会を国土交通省へ要望すべきとのお尋ねです。
羽田新経路の固定化回避については、国からは「現在検討中」との情報を得ています。住民に対する説明の時期については、検討状況と密接に関わることであるため、国において判断すべきであり、当面、区から説明会の開催を要望する考えはありません。


次に、羽田新飛行経路にかかるこれまでの運用実績について、報告説明の機会を、国土交通省に設けるよう要請すべきとのお尋ねです。
新型コロナウイルス流行の際、減便はされていましたが、将来の便数の回復に備え、新経路を元に戻すことをしなかったと聞いています。


航空需要の推移や着陸やり直し等の新飛行経路の運用実績は、国土交通省のホームページ、ニュースレターなどで情報提供されていますので、報告説明の機会を設けるような考えはありません。

雑感(共産だけでなく、国民と維新も取り上げたのだが…)

いつもの共産党議員だけでなく、国民民主の桑水流 議員(会派は立憲・国民)と維新の星野 議員も羽田新ルート問題を取り上げた。

立憲や国民は、羽田新ルートに対して曖昧戦略を取っているのに、国民民主の桑水流 議員は「区民を守るために、低空飛行ルートの廃止のために行動できないのか」と踏む込んだ発言をしているのに驚かされる。

また、維新は羽田新ルート問題に無関心な態度をとっているのに、元キャセイパシフィック航空社員の経歴をもつ維新の星野 議員は、羽田新ルート問題を取り上げた。ただ、国交省の点検強化や情報提供などに疑問を呈しながらも、「羽田空港の発着枠の増加はやはり必要なことである」というのが基本スタンス。

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羽田新ルートの本格運用が20年3月に始まって、20年6月の第2回定例会以降、羽田新ルート問題に係る文字数(≒質疑応答時間)に減少傾向が見られたが、やや持ち直したか……。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(渋谷区議会)

19年以降の各会派の登壇状況を可視化したのが次表。

羽田新ルートに係る 本会議定例会の代表・一般質問者(渋谷区議会)

※事前質問項目に「羽田」の文言が含まれていないと、羽田新ルート取り上げ議員として認識されていない場合がある。

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2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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