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羽田新ルート|品川区民アンケートで判明!44.5%が「影響あり」と認識【追記あり】

品川区は12月1日、「品川区民アンケート結果報告(速報)(羽田新飛行ルート関連)」を公表。森沢恭子区長は同日、調査結果と、区民の負担軽減を求める要望書を斉藤鉄夫国土交通相に手渡した。

区民の44.5%が「影響あり」と認識していることが判明した「品川区民アンケート結果報告(速報)」の主な点を整理しておいた。

※投稿23年12月2日(追記23年12月29日)


もくじ

森沢区長「4割の人に影響があるということをしっかり受け止める」

森澤区長は区民アンケートの結果を斉藤国交大臣に手交後、報道陣の取材に「4割の人に影響があるということをしっかり受け止める」と述べたという。

羽田新ルートで騒音、落下物の不安、機影の圧迫感…4割超が「暮らしに影響」 品川区民アンケート

羽田空港(東京都大田区)への着陸機が都心上空を降下する羽田新ルートを巡り、直下の品川区は1日、区民へのアンケートで、約45%が暮らしに何らかの影響があると答えたとの結果を公表した。森沢恭子区長は同日、調査結果と、区民の負担軽減を求める要望書を斉藤鉄夫国土交通相に手渡した。(中略)

森沢区長は同日夕、区役所で報道陣の取材に「4割の人に影響があるということをしっかり受け止める」と述べた。区は約2万7000件の自由回答などを分析し、来年1月に詳細を改めて公表する方針。

東京新聞 2023年12月2日

品川区のホームページには森澤区長が斉藤国交大臣に「羽田新飛行ルートの運用に伴う区民負担軽減に関する要望書」を手渡した写真が掲載されている。

また、「品川区民アンケート結果報告(速報)(羽田新飛行ルート関連)」がPDFで公開された。

品川区民アンケート結果報告(速報)を可視化

区が公開した「品川区民アンケート結果報告(速報)(羽田新飛行ルート関連)」はA4判で8枚。文章とともにカラーのグラフを交えて、コンパクトに分かりやすくまとめられている。

とはいえ、情報量が多いので、以下主な点をまとめておいた。

回答率24.3%:「目標回答率45%」を大きく下回った

中学生を除く15歳以上の全区民の回答率は24.3%(87,086人)。4人に1人近くが回答したことになるが、区が掲げていた「目標回答率45%」を大きく下回った。
区立小中義務教育学校の児童・生徒の回答率は55.2%(12,649人)というのは、組織的対応が可能な割には少ない印象。

区民アンケートの回答状況

「影響あり」44.5%

「影響を受けている」(20.9%)と「やや影響を受けている」(23.6%)を合わせた「影響を受けている」は44.5%。

品川区民の半数近くが影響を受けていると認識していることが明らかになった。

生活や暮らしの中で、どの程度影響を受けているか

具体的な影響:9割近くが「騒音」を挙げている

「影響を受けている」(44.5%)と認識している人は、具体的な影響として9割近くが「騒音」を挙げている。「落下物など安全性への不安」(61.8%)、「機影の圧迫感」(37.6%)と続く。

具体的な影響

児童・生徒:「音が大きい」(36%)「特に気にならない」(33%)

区立小中義務教育学校の児童・生徒が「何か感じること、気になること」として挙げたのはなかで最も大きいのは「飛行機の音が大きい」(36.3%)だが、「特に気にならない」(33.0%)も同じくらい。

【区立小中義務教育学校の児童・生徒向け】 品川区の空を飛ぶ飛行機について、何か感じること、気になること

地区別の「影響を受けている」割合の分布図

「品川区民アンケート結果報告(速報)(羽田新飛行ルート関連)」には、「新飛行ルートから見た地区別の影響を受けている割合(各26地区)」として、品川区内の分布図が掲載されている(次図)。

新飛行ルートから見た地区別の影響を受けている割合(各26地区)

 

上図は白黒なので、カラーで図化しておいた(次図)。

羽田新ルート周辺の住民は「影響を受けている」割合が多いことがよく分かる。

地区別の「影響を受けている」割合の分布図

【追記1】「影響あり」4割、世論をミスリード(させられている!?)

※追記23年12月6日

メディアは<「影響あり」4割>と伝えているが、世論をミスリードしている(させられている)。なぜならば、ルートが通過する地区に限れば「影響あり」の割合は増加するからである。

たとえば、A滑走路到着ルートが通過する8地区を単純平均すると「影響あり」は58%まで増加する。6割とメディアが伝えた4割とでは印象が異なるのではないか。

だた、単純平均ではなく、回答者数で重み付けした数値のほうがより正確だし、さらに言えば、地区単位ではなく、丁目単位のほうが、航路下住民の声が正確に把握できる。

ということで、品川区にこれらの分析に必要なデータを開示請求しておいた(12月6日請求済み)。

それにしても、品川区の開示請求の書式が今年の4月1日付けで変更されたばかりなのだが、いまだに「各課の窓口に提出」(≒持ち込みまたは郵送)というアナログ方式は何とかしてほしいものだ。デジタル化が進んでいない東京都だって、申請書は郵送ではなくネットで受け付けてくれるというのに。

【追記2】羽田新ルートが通過する地区の影響度56~59%

※追記23年12月29日

郵便で12月6日、次のように開示請求した。

品川区が令和5年12月1日に公表した「品川区民アンケート結果報告(速報)(羽田新飛行ルート関連)」のうち、「地区別影響度(各26地区)」(P3)に係る地区ごと及び丁目ごとの下記データを開示してください

  • 調査対象者数、有効回答数、有効回答率、6択(※1)それぞれの回答人数

※1:「影響を受けている」「やや影響を受けている」「どちらともいえない」「あまり影響を受けていない」「影響を受けていない「無回答」

担当者から12月13日に確認の電話。「地区ごとのデータは、アンケート項目に含まれているので公開可能だが、丁目ごとのデータは持ち合わせていない」とのことだったので、了と返答。

12月20日に行政情報決定通知書を受領。翌日、情報公開手数料10円(!)を郵便局で納付。12月28日にA4判1枚紙を郵便で受領。

開示請求で入手したデータを元に、横軸を有効回答率、縦軸を地区別の「影響度」(※1)として、26地区の分布を描いてみた(次図)。

※1:「影響を受けている」と「やや影響を受けている」と回答した数の合計を有効回答数で割った値。

 

羽田新ルートが上空を通過している地区(緑色以外)の影響度が高いことが一目瞭然

品川区民アンケート結果「有効回答率と影響度の関係」

 

A/C滑走路到着ルートの影響を俯瞰すべく、26地区を次の4つに区分したうえで、それぞれの区分ごとに有効回答率と影響度を計算し、可視化してみた(次図)。

  • Aルート:上空をA滑走路到着ルートが通過する8地区
  • Cルート:上空をC滑走路到着ルート通過する2地区
  • A・Cルート間:羽田新ルートは上空を通過しないがA・C滑走路到着ルートに挟まれた2地区
  • 通過なし:羽田新ルートが通過しない14地区

下図から次のようなことが読み取れる。

一言で言えば、羽田新ルートが上空を通過する地区の影響度は高く(57~59%)、そうでない地区の影響度は低い(33%)ということ。

  • 羽田新ルートが上空を通過する地区の影響度が56~59%であるのに対して(下図、ピンク囲み)、上空を通過しない地区の影響度は33%と低い
  • Aルートよりも時間当たりの飛行機数が多い、CルートとA・Cルート間の有効回答率は高く、影響度も56~57%と高い。
  • Aルートは、有効回答率は羽田新ルートが上空を通過しない地区より少し高い程度だが、影響度は59%と最も高い。
  • 区全体の影響度46%は、羽田新ルートが上空を通過しない地区のボリュームゾーンに引っ張られて、低い値になっていることが分かる。

品川区民アンケート結果「ルート別の影響度」

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