東日本不動産流通機構は4月10日、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」(23年3月度)を発表。
同レポートには首都圏の中古マンション市場動向も記されている。
中古マンション
首都圏概況
- 成約件数は前年比で1.1%増加し、2月に続いて前年同月を上回った。
- 成約m2単価は前年比で6.8%上昇し20年5月から35ヶ月連続、成約価格は同6.8%上昇し20年6月から34ヶ月連続で前年同月を上回った。
- 専有面積は前年比プラス0.02%となり、ほぼ横ばいながら21年5月以来22ヶ月ぶりに前年同月を上回った。
地域別動向
- 成約件数は埼玉県と神奈川県他以外の地域が前年比で増加し、多摩はほぼ横ばいながら8ヶ月ぶりに前年同月を上回った。
- 成約m2単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は35ヶ月連続、横浜・川崎市と埼玉県は34ヶ月連続、千葉県は32ヶ月連続、神奈川県他は28ヶ月連続で前年同月を上回った。
これだけではよく分からないので、同機構が過去に発表したデータも含め、首都圏の中古マンション市場動向を可視化した。
首都圏
成約単価
首都圏の中古マンションの成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降新築マンションに引っ張られるように上昇し、17年4月に50万円を突破。その後は鈍化。19年2月頃から再び上昇傾向にあり、コロナ第1波で20年4月に落ち込むがすぐに回復。再び上昇傾向にあったが70万円を目前に伸び悩み。3月は69.83万円(次図)。
(新築マンションの発売単価は、不動産経済研究所データによる)
成約件数
首都圏中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
3月の成約件数は3,442戸(前年同月比1.1%増)。
首都圏中古マンションの成約件数前年同月比の推移を次図に示す。
新型コロナ感染拡大の影響で、成約件数は20年4月に▲52.6%と大幅に減少したあと、激しくリバウンド。その後は一進一退。23年3月は1.1%増。
在庫件数
首都圏の中古マンションの在庫件数は、19年1月をピークに減少していたが、21年6月を底に増加に転じている(次図)。
1都3県
成約単価
1都3県の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都内の成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降上昇傾向。コロナ第1波で20年4月に落ち込むがすぐに回復。再び上昇傾向にあったが22年10月をピークに下降し始めたか。3月は91.97万円。
成約件数
1都3県の中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
3月の都内の成約件数は1,867件(前年同月比3.4%増)。
都内中古マンションの成約件数前年同月比の推移を次図に示す。
新型コロナ感染拡大の影響で、成約件数は20年4月に▲55.3%と大幅に減少したあと、激しくリバウンド。その後は一進一退。23年3月は3.4%増。
在庫件数
1都3県の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
都内の在庫件数は、19年2月をピークに減少していたが、21年5月を底に増加に転じている。
23区
成約単価
23区の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都心3区の成約単価は、19年9月に120万円を突破し、その後足踏み状態が続いていたが下落傾向。20年7月に反発し一進一退のあと、21年1月に130万円を突破。さらに同年6月に145万円を突破(70m2に換算すると億ション(10,151万円))したあとも上昇傾向にあったが、22年11月をピークに下降し始めたか。3月は150.81万円。
23区では、次の順に成約単価が高い傾向が見られる。
都心3区>城西>城南>城北>城東
- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
成約件数
23区の中古マンションのうち、成約件数が多い城東地区と少ない都心3区の成約件数の推移を次図に示す。
城東地区と都心3区の中古マンションの成約件数前年同月比の推移を次図に示す。
新型コロナ感染拡大の影響で、成約件数は20年4月に大幅に減少したあと、激しくリバウンド。その後は一進一退。
在庫件数
23区の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
23区内の在庫件数は、21年4月前後を底に増加に転じている。
★まとめ
成約単価は上昇傾向にあったが、下降し始めたか。成約件数はコロナ第1波で大幅に減少したあと激しくリバウンドし、その後は一進一退。在庫件数は21年4~6月を底に増加に転じている。
- 首都圏
- 成約単価:コロナ第1波で20年4月に落ち込むがすぐに回復。再び上昇傾向にあったが70万円を目前に伸び悩み。3月は69.83万円。
- 成約件数:新型コロナ感染拡大の影響で、成約件数は20年4月に大幅に減少したあと激しくリバウンド。その後は一進一退。
- 在庫件数:21年6月を底に増加に転じている。
- 都内
- 成約単価:コロナ第1波で20年4月に落ち込むがすぐに回復。再び上昇傾向にあったが22年10月をピークに下降し始めたか。3月は91.97万円。
- 成約件数:(首都圏と同じ傾向)
- 在庫件数:21年5月を底に増加に転じている。
- 都心3区(千代田、中央、港)
- 成約単価:20年7月に反発し一進一退のあと、21年1月に130万円を突破。さらに同年6月に145万円を突破(70m2に換算すると億ション(10,151万円))したあとも上昇傾向にあったが、22年11月をピークに下降し始めたか。3月は150.81万円。
- 成約件数:(首都圏と同じ傾向)
- 在庫件数:21年4月前後を底に増加に転じている。
あわせて読みたい