都議会本会議の決議で10月8日、羽田新ルートの中止・撤回を求める陳情2件が不採択になった。自公や都ファはともかく、立憲民主党までが不採択に賛成票を投じた。
羽田新ルート問題に対する都議会立憲民主党のスタンスを調べてみた。
キッカケは都議(共産)のツイート
練馬区選出の共産都議のツイートによれば、都議会本会議の決議で10月8日、羽田新ルートの中止・撤回を求める陳情2件が不採択になったという。
都議会は、8日の本会議で都心部を低空飛行する羽田新ルートの中止・撤回を求める陳情2件を、都民ファースト、自民、公明、立憲などの多数で不採択にしました。
共産党、ネットは採択を主張。都民の声にどう向き合うか、各会派の姿勢が問われます。
羽田新ルートを推進している自公や都ファはともかく、立憲民主党までが不採択に賛成票を投じたことに、羽田新ルート反対民から驚きの声が上がっている。
羽田新ルート反対民の一人が、立民都議の宮瀬氏(板橋区選出)に事の次第を尋ねたツイートが以下。
都議会立憲民主党宮瀬英治様(板橋)
10月8日羽田新ルートに係る陳情を立憲が不採択したとのニュース我々の間で大問題になっています。
長妻都連会長も海江田万里議員も一緒に反対運動に尽力頂いているのに、何ということをしてくれるんですか?
板橋はルート直下で被害も大きい‼
(羽田新ルートに反対している市民 10月11日)
当事者である宮瀬議員のリツーイトが以下。
ご意見ありがとうございます。
私は今の羽田ルートの固定化には断固反対です。
板橋区の上空を飛んでますから。見直すべきです。しかしこの度の陳情の文言を精読しますと即廃止となっており苦渋の選択により反対しました。申し訳ないです。
固定化に反対、見直し検討なら1人でも賛成します。
「羽田ルートの固定化には断固反対」という宮瀬議員。陳情の文言が即廃止となっていたから反対したのだという。
ホントにそうなのか。
まずは、都議会の立憲民主党の5名のプロフィール・所属委員会の確認から。
立民都議5名のプロフィール・所属委員会
都議会の立憲民主党の議員は次の5名。
共通しているのは、全員40代であること。
※都議会HP掲載順、敬称略。( )内は選挙区。
- 山口拓(世田谷)3期、48歳、駒澤法学部卒、元世田谷区区議(当時最年少当選)
警察・消防委員会(理事)、オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会 - 西沢けいた(中野)3期、41歳、中央大学法学部卒、元長妻議員秘書
環境・建設委員会、令和元年度各会計決算特別委員会、令和元年度各会計決算特別委員会 第2分科会 - 宮瀬英治(板橋)2期、43歳、 早大学商学部卒、元ベネッセコーポレーション社員
公営企業委員会(副委員長) - 藤井とものり(練馬)1期、44歳、慶大商学部卒、公認会計士・税理士
都市整備委員会、令和元年度公営企業会計決算特別委員会 - 中村ひろし(三鷹)3期、49歳、一橋大学法学部卒、元東芝社員
総務委員会、議会運営委員会
立民都議5名の過去発言
都議会で立憲民主党の5名が過去にどのような発言をしてきたのか。
都議会HPの「会議録検索」機能を使って、「羽田」でヒットした発言を以下に整理する。
※検索できるのは20年第3回定例会(速報版)まで(10月13日現在)。
※以下、掲載議員順ごとに、開催日が新しい順。
山口拓議員(世田谷)
安全対策の徹底を求めているが、羽田新ルートへの反対意思は読み取れない。
(略)当然のことながら、住民は大変不安を感じています。騒音対策の一層の強化、それから先般、国土交通省におきまして落下物対策総合パッケージが示されましたが、都民が生活しているまち中への落下物など絶対にあってはならないことでありますから、さらなる追加対策も都として求め、外国航空機まで含めた安全対策の徹底が不可欠と考えますので、改めて意見として申し述べさせていただきます。
西沢けいた議員(中野)
飛行騒音への問題認識は示すものの、羽田新ルートへの反対意思は読み取れない。
航空機騒音対策の推進のため、羽田空港を発着する航空機の新しい飛行ルートに伴い、都として事前に騒音を測定し、公開すること。
航空機の騒音は、多くの都民に影響を与える問題でございまして、(略)改めて、この問題は関心がどんどん高まってきているわけでありますので、都民に大きな影響を与える問題であるため、改めて東京都の見解をお伺いいたします。
(略)この新ルートがもし始まったときに、現在は、例えば中野区だったり渋谷区、練馬区であったりとか、当該自治体へ飛んでいくというか、飛んで帰ってくるわけですけれども、この地点は今のところ測定地点にはなっていないわけであります。
この新しいルートが始まった場合は、現在測定していないこういった地点でも測定をするんでしょうか、お伺いいたします。
(略)改めて、この羽田空港の機能強化のメリットが何なのか、お伺いしたいと思います。
(略)
国が提案をした飛行経路の変更による羽田空港の機能強化について、東京都の立場、それから東京都の役割は何なのか、お伺いいたします。
(略)
この新ルートを含めた羽田空港の増便のロードマップ、今後どうなっていくのか、これまでどうしてきたのかというのを確認したいと思います。
(略)
海から入って、海から出る、これを守ってきたと。
今回ルート変更するには、市街地を避けていたと思うんですけれども、そういう認識でまずいいのかどうか、お伺いしたいと思います。
(略)
東京都はこれでよしと、この国土交通省が大丈夫ですよといってるものでよしとするのか、私は、それ以上の策を求めていくことで安心を得られることになると思うわけですが、見解をお伺いいたします。
(略)
国に要請をしていくというようなことですが、これまでどのように意見を伝えてきたのかというのはもちろんですけれども、今後どのように意見を伝えていくのかお伺いいたします。
羽田空港の機能強化に関する以下の資料をお願いしたいと思います。
宮瀬英治議員(板橋)
会派を代表した発言には、羽田新ルートへの反対意思は皆無。
私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表し、当委員会に調査を依頼された平成31年度予算案に係る議案について意見の開陳を行います。(略)羽田空港の増便については、騒音、落下物等、都民の不安を払拭するよう、万全を期すこと。
私は、都議会民進党・立憲民主党を代表し、意見の開陳を行います。(略)今後、羽田空港の増便に伴い危惧される騒音問題に対し、関係機関と連携し万全を期すこと。
藤井とものり議員(練馬)
※羽田新ルート問題への言及なし。
中村ひろし議員(三鷹)
※羽田新ルート問題への言及なし。
まとめ
都議会本会議の決議で10月8日、羽田新ルートの中止・撤回を求める陳情2件が不採択になった。
自公や都ファはともかく、立憲民主党までが不採択に賛成票を投じたことに対して、立憲民主党の宮瀬議員(板橋)は、「私は今の羽田ルートの固定化には断固反対」。陳情が即廃止となっていたから反対したのだという。
都議会の立憲民主党の5名の議会での発言をチェックしたら、安全や騒音問題について都の姿勢を質問しているが、羽田ルートに反対する意思は全くと言っていいほど読み取れなかった。
結論として、都議会の立憲民主党は、羽田新ルート容認派といっていいのではないか。
【追記】立民のスタンス示した公式文書なし
※10月14日追記
羽田新ルート問題に対する立憲民主党のスタンスを示した公式文書の有無につき、宮瀬都議のリツイートによれば、「念のため確認しましたが、ございません」とのこと。
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