フリージャーナリスト(元朝日新聞記者)の烏賀陽 弘道氏の新書『フェイクニュースの見分け方』新潮社 (2017/6/15)を読了。
フェイクニュースの見分け方を知ろうと思って読み始めたのだが、ブログを書く上で参考になる点も多々記されていた。
ブロガーにオススメの1冊。
※不動産とは全く関係ない話なので、興味のない方は無視してください。
オピニオンは捨てよ
ファクトの裏付けがないオピニオンは無視していい、という著者の指摘。
ここで大胆な法則をお話ししよう。証拠となる事実の提示がない「オピニオン」(意見)は全部捨ててかまわない。
ファクトの裏付けがないオピニオンが社会にとって重要なことはほとんどない。あっても、それは例外的なことだと考えてよい。(略)新聞社勤務時代、私は「識者のコメントを取材して載せるくらいなら、その内容を証明するような事実を取材して書け」と教えられた。識者コメントはそれができず、論拠か弱いときの「ごまかし」だと教わった。
(「第2章 オピニオンは捨てよ」P21、32)
私もブログ記事では、ファクトを示すように努めている。
発信者が不明の情報は捨てよ
匿名の発信者の情報は、信用度が低いという指摘。
匿名の発信者が信頼できるかどうかを見るためには、事実をほかのソースで確認する必要があるという。
ネットであれ新聞・テレビ・書籍といった旧メディアであれ、発信者が誰かわからない情報は捨ててかまわない。ファクトとしての信用度が低いからである。(略)
インターネットが普及した現在、情報の流通量では匿名の発信者のほうが数が多い。しかし「匿名の発信者が流す情報を(後に述べるようなケースを除いて)事実とは認定しない」という私の判断基準は変わらない。「自分が言ったとわからない状態だと、発言への責任感が低下する」という人間の心的特性は何も変化していないからだ。そして、この判断基準で、何か不利になったり、困ったりしかことは、職業人としても個人としても、何もない。
(「第3章 発信者が不明の情報は捨てよ」P57、61)
正確に引用しているか
「正確に引用をしているか」「正確な言葉の定義に忠実か」という点は、ブログの記事を書く上でも大切な視点だと思う。
ごく当たり前の事実として、数字は質を保証しない。ネットでの注目度指数が高い発信者が「質の高い言論」を発しているとは限らない。ネットでの注目度の高い発信者がより「正確な事実」を発信するかというと、両者の間には何の相関関係もない。むしろ「炎上商法」というように「わざわざ反発を招きそうな暴論や罵言雑言、事実に反した内容をネットで公開して、注目を引き数字を稼ぐ」という発信者もいる。(略)
私が普段見るのは「正確に引用をしているか」「正確な言葉の定義に忠実か」「専門の著作はあるか」「具体的に何の専門家なのか」といったところである。
(「第6章 発信者を疑うための作法」P182・183、184)
そのほかにも、「第5章 フェアネスチェックの視点を持つ」からも、ブログを書く上で大切な視点が読み取れる。
ポジティブな内容とネガティブな内容の両方が記述されているかどうか(フェアネス原則が守られているかどうか)。詳しくは本書でご確認ください。
本書の構成
- 第1章 インテリジェンスが必要だ
- 第2章 オピニオンは捨てよ
- 第3章 発信者が不明の情報は捨てよ
- 第4章 ビッグ・ピクチャーをあてはめよ
- 第5章 フェアネスチェックの視点を持つ
- 第6章 発信者を疑うための作法
- 第7章 情報を健全に疑うためのヒント集
『フェイクニュースの見分け方』(新潮新書)