不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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大阪・京都のマンション市場|平成28年第4四半期

国土交通省は2月24日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

地価動向の把握を目的とした調査レポートではあるが、マンションの市況も掲載されている。

平成28年第4四半期(平成28年10月1日~平成29年1月1日)の大阪、京都の新築分譲マンションの価格動向を中心に、鑑定評価員(不動産鑑定士)のコメントをピックアップしておこう。


もくじ

【大阪圏地価】ほぼ全ての地区で上昇

大阪圏(25)では、上昇が 24 地区(前回 24)、横ばいが 1 地区(前回 1)となり、ほぼ全ての地区が上昇となった。

【大阪圏地価】ほぼ全ての地区で上昇
「平成28年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」より

 

【大阪圏地価】ほぼ全ての地区で上昇
「平成28年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」を切り貼り

【京都】

京都市(中京区/二条)

マンション賃料及びマンション分譲価格は概ね横ばいで推移している。

地価動向

  • 当地区は、市内中心部等へのアクセス性に優れ住宅地域としての利便性が高いことから、当地区の住宅購入者には、相対的にマンション分譲価格が高額な堀川通以東の市内中心部の需要も含まれていると見込まれる。
  • また、こうした需要層の所得水準に大きな変化は見られず、空室率も横ばいであることから、マンション賃料及びマンション分譲価格は概ね横ばいで推移している。
  • しかし、京都市内ではホテルの開発需要が強く、市内中心部ではマンション素地の取得が難しくなってきていることから、市内中心部等への交通利便性に優れる当地区のマンション素地の需要は底堅く、取引価格は緩やかに上昇することから、当期の地価動向はやや上昇傾向で推移した。

将来地価動向

  • 当地区においては、マンション素地の供給は少なく、中古マンションの供給も少ない状況が続いている。また、今後も当地区の需給関係に変化を与えるような大規模な新築マンションや戸建開発等の予定は特段公表されてはいない
  • 当地区は、市内中心部等へのアクセス性に優れ、新築、中古を問わず底堅いマンション需要は続くと見込まれることから、取引価格の緩やかな上昇が継続し、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
京都市(中京区/下鴨)

マンション分譲価格に大きな変動は見られず、取引価格は概ね横ばいで推移している。

地価動向

  • 北山駅徒歩圏内の幹線道路背後は優良な戸建て住宅地、幹線道路沿道はマンション等が立地する良好住宅地であり、当地区は幹線道路沿道に位置する。
  • 富裕層を中心に需要は安定しており、売り希望価格については高値設定が散見された時期を経て昨年夏以降は安定的に推移している。
  • 当地区は背後の戸建て住宅地以上に物件供給は限定的であるため、投資物件の取引件数は少なく取引利回りの把握は難しいが、取引価格は横ばい、マンション等の賃料は概ね横ばいで推移していることから、取引利回りも横ばいで推移したと見込まれる。
  • マンション分譲価格に大きな変動は見られず、取引価格は概ね横ばいで推移していることから、当期の地価動向は横ばいで推移した。

将来地価動向

  • 幹線道路沿いの土地需要は背後の住宅地に比べると相対的に弱いものの、物件供給は背後の住宅地以上に限定的であるため、稀少性から一定の需要は認められる。
  • マンションを中心に賃貸需要についても変化が少ない安定した地域であり、賃料水準の変動も見られない。
  • 新たなマンション開発が動き始めたものの価格形成要因に大きな変化が見られないことから、今後も当期と同様の市況が続き、将来の地価動向は横ばいが当面続くと予想される。
京都市(西京区/桂)

大規模住宅開発は概ね終了。

地価動向

  • 当地区を含む桂駅前周辺の住宅地域は、特急停車駅である阪急電鉄京都線桂駅の徒歩圏内に位置することから交通利便性に優れ、周辺には大学も存し、緑豊かで良好な居住環境を有している。
  • 当地区の需要は自己使用を目的とする住宅需要が中心であり、投資家の需要に見合った収益物件も限られ投資需要の増減による市況の変化は穏やかであるため、マンション賃料は横ばいで推移している。
  • なお、昨今の京都市中心部の不動産市況の改善傾向が当地区にも波及しており、堅調な住宅需要等によって取引価格は緩やかに上昇しているため、当地区の地価動向はやや上昇傾向で推移した。

将来地価動向

  • 洛西口駅及び桂川駅界隈の開発による大規模商業施設の開業効果は落ち着き、大規模住宅開発も概ね終了したことから市況の変化は小さい
  • なお、住宅需要の流失等負の影響についても懸念されたが、特段見られなかった。
  • 一連の開発は当地区の生活利便性を向上させており、また、今後は阪急京都線洛西口駅付近の鉄道高架化の高架切替えにより、その高架下に生み出された空間についての利活用も検討されており、洛西口駅のみならず周辺部の更なる利便性の向上が期待され、当地区にもその効果が波及すると見込まれることから、当地区では取引価格の緩やかな上昇が継続し、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

 

【大阪】

大阪市(福島区)

新規分譲マンションについては、分譲価格の上昇傾向は続いているもののやや落ち着く。

地価動向

  • 当地区で当期に取引されたマンション開発素地は確認できなかった。大阪駅北側開発地区内の商業施設の集客力は高く、隣接する当地区の住宅需要は強い状態を維持している。
  • マンション需要者の選好性は高く、デベロッパー等の土地取得意欲は依然として旺盛である。
  • また、新規分譲マンションについては、分譲価格の上昇傾向は続いているもののやや落ち着き、各デベロッパーが工夫を凝らし各種設備や耐震性等による差別化を図っているため依然人気は高い
  • 福島駅周辺には集客力のある飲食店も多く、設備等の充実している築年の浅い賃貸マンションを中心に賃料はやや上昇しており、ファンド等による賃貸マンションに対する投資需要も引き続き強い。
  • そのため、取引価格の上昇傾向等を反映し、地価動向はやや上昇で推移している。

将来地価動向

  • 当地区は、梅田駅周辺商業地の徒歩圏に位置し、中古・新築とも分譲マンションの人気は高く、賃貸マンションも単身者や夫婦二人世帯を中心に人気の衰えは見られない。
  • このように分譲マンション需要は衰えを見せていないため、マンション開発業者や機関投資家等の開発素地に対する取得意欲は依然として強く、賃貸マンションも高い稼働率を維持していることからファンド等の取得意欲も強く、賃貸マンション向けの開発素地に対する需要も依然として強い状態が続いている。
  • これらのことから、今後も分譲目的・投資目的での素地需要や投資需要は強い状況が続くと見込まれ、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
大阪市(天王寺区/天王寺)

建築費の高騰分を販売価格に転嫁した新築マンションの販売状況は、当期も富裕者層の堅調な需要により概ね好調。

地価動向

  • 当地区におけるマンション開発素地等に係る当期の土地取引は確認されなかった。
  • 供給は依然として限定的であるが、当地区周辺の取引状況を見ると、立地条件が優る開発素地については、開発業者等による土地取得の優先順位が高く、旺盛な需要を背景に取引価格は上昇傾向にある。
  • また、建築費は高値安定で推移しているが、建築費の高騰分を販売価格に転嫁した新築マンションの販売状況は、当期も富裕者層の堅調な需要により概ね好調である。
  • また、築浅の中古マンションの供給も引き続き少なく、当期も価格は上昇傾向が続いている
  • さらに、収益物件としての単身者・ファミリー向け賃貸マンションに対する投資家等の取得需要も強い状態が続いているが、取引価格の上昇は緩やかであるため取引利回りは概ね横ばい傾向となって、地価動向はやや上昇傾向で推移している。

将来地価動向

  • マンション需要が二極化しつつある中で、当地区は大阪市内で有数の文教地区に存し、分譲マンション等に係る選好性が高いため、富裕者層によるマンション需要は景気動向に左右されることなく堅調さを維持している。
  • また、当地区ではマンション素地の供給が限定的で稀少性が高まるなかでデベロッパー等の取得需要が相対的に強い状態が続いていることから、需給逼迫状況も当面は続くと予想される。
  • 新築マンションの分譲価格は横ばい傾向が続くと予想されるが、開発業者等による土地取得需要の競合が継続すると見込まれ、また収益物件の供給も少なく投資需要が引き続き旺盛であることを背景に、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。
豊中市(豊中)

新たな開発余地が少なく物件の供給は限定的。、新築マンションが供給された場合には、マンション分譲価格の上昇が見込まれる。

地価動向

  • 当地区及びその周辺はニュータウン開発事業により造成された市街地であるため、新たな開発余地が少なく物件の供給は限定的である。
  • 当地区が属する千里中央エリアは、千里中央駅付近に大型商業施設が整備されるなど利便性が良好で、また、全国的に知名度も高く公共施設も充実しているため、特にファミリータイプのマンションの人気が高く、近畿圏のみならず圏外からの転入も多い。
  • マンション素地の供給は住宅団地の建替事業に伴うもの等に限られ、長期的に供給不足の状況が続いている。
  • 平成28年には中古マンションの仲介業者の取得・転売等による影響から取引価格の上昇傾向が強まったが、取引価格の上昇傾向が続いたことから取引件数は前期と比較して減少している。
  • ただし、新築マンションが供給された場合には、マンション分譲価格の上昇が見込まれる地区であるためマンション素地の需要は強く、地価動向はやや上昇傾向にある。

将来地価動向

  • 当地区は新大阪駅や大阪空港並びに大阪市中心部へのアクセスに優れ、広域的なマンション等の需要が見込まれる地区である。
  • また当地区周辺には賃貸マンションがほとんどなく、70m2程度の分譲マンションが賃貸借される場合には賃料は16万から17万円程度の賃料が見込まれるが、法人契約を中心とする安定した需要が見込める市況が続いている
  • そのため、分譲マンションの需要に加え、賃貸マンションの収益性に着目した需要も安定していることからマンション素地としての需要は引き続き強く、こうした傾向は当面継続すると見込まれる。
  • したがって、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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