不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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湾岸エリアのマンション事情|平成28年第4四半期

国土交通省は2月24日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

同レポートは比較的バイアスがかかっていない、マンションの市況を知り得る貴重な情報源のひとつ。

湾岸エリアのタワーマンションに興味のある方が多いので、平成28年第4四半期(平成28年10月1日~平成29年1月1日)の佃、月島、豊洲、有明といった、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、鑑定評価員(不動産鑑定士)のコメントをピックアップしておこう。

ざっくり言うと


【東京圏地価】約8割の地区が上昇

東京圏(43)では、上昇から横ばいに転じた地区、横ばいから上昇に転じた地区が各 1 地区づつあり、結果として、前期と同様上昇が 33 地区(前回 33)、横ばいが 10 地区(前回 10)となり、約 8 割の地区が上昇となった。 

【東京圏地価】約8割の地区が上昇
「平成28年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」を切り貼り

【湾岸エリア地価】佃・月島・豊洲は2期連続0%

上昇傾向が続いていた湾岸エリアの地価のうち、佃・月島・豊洲は2期連続で0%となった。

【東京圏地価】約8割の地区が上昇
「平成28年第4四半期 主要都市の高度利用地地価動向報告」を切り貼り

 

それでは各地区の「鑑定評価員のコメント」を見てみよう。

【佃・月島】資産保有目的の富裕層による需要は引き続き減退

分譲価格の高騰や国内外の経済情勢の不透明感等を背景に資産保有目的の富裕層による需要は引き続き減退。
中古マンション市況は、タワーマンション等の比較的高額物件の在庫が積み上がっている。

地価動向
  • 当地区は、銀座を中心とする都心への接近性を備える一方、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い地区である。
  • グレードの高いタワーマンションが相次いで供給され、マンション市況は好調に推移してきたが、建築工事費の上昇等を要因とした分譲価格の高騰国内外の経済情勢の不透明感等を背景に資産保有目的の富裕層による需要は引き続き減退している。

  • 中古マンション市況は、タワーマンション等の比較的高額物件の在庫が積み上がっており、中小規模の比較的低価格物件の取引が見られる状況にある。
  • マンション素地については、デベロッパーの取得意欲はあるものの建築費の高止まりにより採算性の検証が引き続き厳格化しており、選別化が一層進んでいる。こうした背景から当期の取引価格は引き続き横ばいとなり地価動向も横ばいとなっている。
将来地価動向
  • 地区内外で再開発や東京五輪関連施設の建築計画があり、都市基盤整備として環状2号線の建設工事が進んでいるものの、東京都は昨年11月、供用開始時期については東京五輪前までに暫定開通させる方針を発表した。
  • こうした再開発事業等の効果は既にある程度先行して地価やマンション分譲価格に織り込まれていると考えられる。
  • 国内外の経済情勢の不透明感等を背景に中古マンションの在庫は増加しており、今後マンション需要が反転増加に転じる要因は見当たらず、供給過剰感がある現状ではマンション市況は引き続き概ね横ばい経済情勢次第ではやや下落する可能性も否定できない。
  • マンション素地については建築費の高止まりによりデベロッパーによる厳格な選別化が進むものと見込まれ、こうした背景から引き続き将来の地価動向は横ばいと予想される。

【豊洲】豊洲市場の土壌汚染問題 マンション需要に影響なし 

新築マンション分譲価格は上昇が続いたが、一次取得層の購入限度額に近づいており、現在は安定的に推移。
豊洲市場の移転は土壌汚染対策の検証は、マンション需要に影響はなく、価格下落等の要因とはなっていない。

地価動向
  • 東京五輪開催決定以降、他の湾岸エリアと同様に強いマンション需要を反映して、当地区の新築マンション分譲価格は上昇が続いたが、一次取得層の購入限度額に近づいており、現在は安定的に推移している。
  • また、中古マンション市場においては、価格を調整して成約に至った取引も一部認められるが、需要者の購入意欲は底堅く、価格下落には至っていない
  • なお、豊洲市場の移転は土壌汚染対策の検証を理由に延期されているが、現時点で当地区のマンション需要に影響はなく、価格下落等の要因とはなっていない。
  • このような分譲マンション市場の状況から、デベロッパーの投資採算性が反映される当地区の地価動向は引き続き横ばいで推移した。
将来地価動向
  • 当地区では、新築・中古マンションともに大量供給が続いたため、将来的には、取引件数の減少が予想される。
  • また、豊洲市場の移転延期に伴い環状2号線の開通が不透明となったことについて、現時点でマンション市場への顕著な影響は認められないが、今後、インフラ整備による利便性向上を期待してマンションや素地を取得した者による売却の動きが出てくることも考えられる。
  • 一方、都心に近い当地区は、居住目的を中心としたマンション需要が底堅いため、マンション分譲価格等は安定的な動向が見込まれ、当地区における将来の地価動向は横ばいと予想される。

【有明】マンション市況 当面は停滞傾向が続く

マンション市場は、売出物件の増加等により需給関係は緩和傾向にあり、分譲価格は横ばい。
マンション市況については、当面は停滞傾向が続くことが予想される。

地価動向
  • 東京五輪の開催決定以降、好調であった湾岸エリアのマンション市場は、売出物件の増加等により需給関係は緩和傾向にあり、当地区においても、成約件数は概ね増加基調を維持しているものの、分譲価格は横ばいとなっている。
  • こうしたマンション市況の停滞傾向や建築費の高止まりを受けてデベロッパーの採算性検証は厳格化しているが、当地区は五輪関連施設の建築や国家戦略特区の指定を受けた大規模開発事業等が計画されるなど注目度が高く、開発素地の取得意欲は依然として強いことから、地価動向はやや上昇傾向にある。
将来地価動向
  • マンション市況については、当面は停滞傾向が続くことが予想されるが、都心部と湾岸部を繋ぐ環状2号線の開通のほか、銀座と有明を結ぶ地下鉄構想が掲げられており、また、東京五輪関連施設や地区計画によるまちづくりが進捗中であるなど、開発が遅れた当地区は特に将来の発展期待が高い。
  • このため、当地区の開発素地について、デベロッパーの取得意欲は強い状況が継続すると見込まれ、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くと予想される。

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