不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏新築マンション市場動向」データをもとに分析した記事「バブル破裂のカウントダウンが始まっている?首都圏新築マンション市場動向」に対して結構反響があった。
本日は23区のデータを中心に、さらに深掘りしてみよう。
- 23区新築マンション販売戸数 3年前から減少し続けている
- 23区新築マンションの価格帯別発売戸数割合 16年8月に変化!
- 16年8月に低価格帯の発売戸数割合が増えたが、ワンルームタイプが増えたというわけではない
- まとめ
23区新築マンション販売戸数 3年前から減少し続けている
中国人の爆買いや相続税対策としての投資需要により高騰し続けていた23区の新築マンションの発売単価は、ここ数か月頭打ち。一方、前年同月比の発売戸数は、減少し続けている(次図)。
14年4月前後の約半年間は消費税増税(5%⇒8%)の影響で、発売戸数が大きく落ち込み、その後回復したように見えるが、もっと大きなレンジで捉えると3年ほど前から販売戸数は減少し続けているのである。
23区新築マンションの価格帯別発売戸数割合 16年8月に変化!
23区の新築マンションの価格帯別発売戸数の月次変化(過去1年分:15年9月~16年8月)をアニメーションにしてみた(次図)。
「低価格帯の発売戸数はより少なく、高価格帯はより多く」変化しているのだが、8月に入って逆の変化が生まれた(すなわち、低価格帯が増え、高価格帯が減った)ことがお分かりいただけるだろうか。
分かりにくい?
縦軸を「価格帯別発売戸数割合(%)」として、アニメーションにしてみた。また分かりやすいように、価格帯別発売戸数割合6%と5,000万円の位置に補助線を引いてみた(次図)。
16年7月までは5,000万円を境に低価格帯の発売戸数の割合は概ね6%を大きく下回わる傾向にあったのだが――
16年8月に入ると低価格帯の発売戸数の割合が6%ラインに張り付く一方で、高価格帯の発売戸数の割合は減少した。
ゆっくり確認できるように、過去3か月分(16年6月~8月)の静止画像も掲載しておこう(次図)。
16年8月に低価格帯の発売戸数割合が増えたが、ワンルームタイプが増えたというわけではない
16年8月に低価格帯の発売戸数の割合が増えたのは、ワンルームタイプの投資型マンションが増えたからなのではないのか?
結論を先に言えば、そうではない。
不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏新築マンション市場動向」データには、投資用マンションは含まれていない(次表)。
「よくある質問|不動産経済研究所」より
また、1LDK以下の投資用マンションの割合が特に増えているわけでもないのだ(次図)。
まとめ
- 23区の新築マンションの販売戸数は3年前から、販売単価が上昇し、発売戸数が減少し続けて、その間高価格帯の販売戸数の割合が多かった。
- ところが、8月は低価格帯の発売戸数の割合が増え、高価格帯の割合が減るというこれまでにない状況が観測された。
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