このところ2件続けて、違法民泊のホストにとってはヤバイ状況(マンション住民にとってはウェルカムな状況)が発生している。
ひとつは、マンションでの民泊を禁じる司法判断が初めて大阪地裁で下されたこと。
そしてもう一つは、京都市の「民泊110番」の開設だ。
マンションでの民泊を禁じる初の司法判断(大阪)
大阪市内にある100戸超の分譲マンションで、昨年3月頃から、特定の2部屋に出入りする外国人が急増。管理組合は民泊を行っている可能性が高いと判断し、昨年11月に仮処分を申し立てていた。
マンション「民泊」差し止め、大阪地裁が初判断
マンションの部屋に旅行者を宿泊させる「民泊」の是非が争われた仮処分裁判で、大阪地裁が、マンション管理組合の主張を受け入れる形で部屋の区分所有者に差し止めを命じる決定を出したことがわかった。
民泊を禁じる司法判断が明らかになるのは初めて。
決定は今年1月27日。管理組合の弁護士によると、理由は示されなかったが、所有者側は異議を申し立てなかったという。
同弁護士によると、大阪市内にある100戸超の分譲マンションで、昨年3月頃から、特定の2部屋に出入りする外国人が急増。部屋の区分所有者から明確な説明はなかったが、管理組合は民泊を行っている可能性が高いと判断し、昨年11月に仮処分を申し立てた。
区分所有法には、全体の利益に反する行為を禁じる規定がある。またこのマンションの管理規約には「専ら住居として利用する」との条項があった。(以下略)(読売新聞 5月24日)
マンション住民にとっては、国交省よりも司法のほうが頼りになりそうだ。
マンション標準管理規約では、「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない(第12条)」とされていて、同規約のあるマンションで(特区)民泊を実施する場合には、管理規約の改正が必要になるという国交省の見解は(石井大臣会見要旨 15年12月22日)、国家戦略特区ワーキンググループの有識者の委員の反発から、オーソライズされないままになっていた。
でも、今回の大阪地裁の判断により、(現段階で詳細は不明だが)分譲マンションでの闇民泊は認められないことが改めて確認されたことになる。
石井国土交通大臣には、民泊問題ではもっとリーダーシップを期待したいのだが(民泊問題は先送り!改正マンション標準管理規約)。
京都市が「民泊110番」開設、悪質なケースは刑事告発も
5月25日の京都市議会で門川大作市長が「悪質な事業者は断じて容認できない。市民からの情報を1カ所で受ける窓口を設ける」と答弁。悪質なケースは刑事告発も視野に入れるという。
京都市、「民泊110番」開設へ 通報→現場調査
空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」をめぐる違法行為や近隣トラブルを防ぐため、京都市は市民からの通報を受ける専用窓口「民泊110番」を開設する。
25日の市議会で門川大作市長が「悪質な事業者は断じて容認できない。市民からの情報を1カ所で受ける窓口を設ける」と答弁した。自治体が通報窓口を設けるのは異例という。
市は6月にも専用の電話番号とメールアドレスを用意する。大きな荷物を持った外国人が連日のように出入りし、騒音がひどいといった通報を受けると、市職員が現場に出向いて状況を調べ、宿泊施設を提供する個人や事業者に事情を聴くなどする。旅館業法上の許可がない違法なケースが見つかった場合、営業を中止させる。悪質なケースは刑事告発も視野に入れる。(以下略)
(朝日新聞デジタル 5月25日)
京都市の一連の違法民泊への取り組みに効果?
京都市ではこれまで、違法民泊に対して数々の対応を取ってきている。
- 2015年11月4日:京都府警が悪質な民泊を摘発
- 2015年12月1日:京都市が民泊対策プロジェクトチーム設置
- 2016年5月10日:「京都市民泊実態調査」結果を公表
- 2016年5月12日:京都市長・市議会あげての口コミ介入
その甲斐あってか、今年の4月に入ってからAirbnb登録物件数の増加に急ブレーキが掛かった模様(次図)。
「違法民泊退治!京都市長・市議会あげての口コミ介入に成果?」より
さらに6月から「民泊110番」が設置されることで、違法民泊の数が減少に転じるか、要注目。
同じ観光都市パリの二の舞にならないように(パリの「民泊」がトンデモナイことになっている)、京都市では市長も市議会も市職員も、違法民泊対策に必死に取り組んでいる様子が浮かぶ。
ひょっとすると、京都市の違法民泊に対する一連の取り組みは、他の自治体のお手本になるのかもしれない。