不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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下鴨神社マンション計画の皮算用

今年の1月、大田区の高級住宅地にあった江戸時代からほぼ手つかずの「奇跡の森」がマンション開発のため伐採されニュースには驚いたものだが(「奇跡の森」を伐採 不動産会社は企業の社会的責任を果たしているか)、6月7日(日)の京都新聞の記事にはもっと驚いた。


もくじ

平安京以前の自生林45本撤去へ 下鴨神社マンション計画

平安京以前の自生林45本撤去へ 下鴨神社マンション計画

下鴨神社(京都市左京区)のマンション建設計画で、境内の「糺の森」を特徴づけるニレ科の樹木45本が、建物や駐車場の建設工事に伴い、撤去されることが4日分かった。

ニレ科の木々は古代の森を知る貴重な手がかりとされ、神社は当初、樹木は保存するとしていた

(中略)
資料によると、建設予定地に自生するエノキやムクノキなどニレ科の樹木95本のうち、マンションの本体や駐車場にかかる45本を、伐採するか別の場所に移植する形で撤去する。

このうち8本は幹周り2~3メートル、2本は同3メートルを超える。残りの50本は現状のまま保存する。(後略)

(京都新聞 6月7日)

一部とはいえ、当初は保存するとしていた、下鴨神社の境内に広がる原生林である糺の森(ただすのもり)の貴重な樹木をなんで切るの (@_@;)

下鴨神社は世界遺産に登録されているのではなかったのか?

 

3月5日の日経不動産マーケット情報に「下鴨神社に定借マンション、竹中の設計施工で」というタイトルで、マンション計画の詳細が記されていたので、ポイントを整理しておこう。

なぜ、下鴨神社はマンション開発を決めたのか?

理由は二つ。

一つは21年ごとに約70棟に及ぶ社殿を修復したり、屋根の檜皮(ひわだ)をふき替えたりする「式年遷宮」の費用を捻出するためだ。

1回の遷宮に掛かる費用が約30億円。国からの補助金8億円と企業からの寄付だけでは賄えないということらしい。

 

もう一つは、マンションの計画地は古くから糺の森の一角を占めているにもかかわらず、文化財指定地や世界遺産の区域から外れ、環境の維持や保全に公的な補助が受けられないからだ

計画地内にある研修道場は老朽化しているうえ、耐震性にも問題があるという。

 

ほぉ、マンションの計画地は、文化財指定地や世界遺産の区域から外れているとな。

 

マンション用地は世界遺産区域外とされているのだが

日経不動産マーケット情報の記事に掲載されているマンションの計画地の図をもとに、「世界遺産区域」と「世界遺産区域外」が分かるようグーグルマップに落としてみた。

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マンション用地は世界遺産区域外とされている。 

区域外だからといって、貴重な原生林を切っていいということにはならないだろう。

 

で、マンション計画の内容はどうなっているのか?

マンション計画の皮算用

神社は年間8000万円の借地料を得て、社殿の修復や周辺の環境整備に充てる方針。

マンション計画は次の通りだ。

  • 規模:3階建て×8棟、総戸数107戸
  • 専有面積:80m2程度
  • 工期:2015年11月~2017年2月
  • 事業主:JR西日本不動産開発(当初は、エスアイ・アセットサービスのSPCが事業主だった)
  • 設計・施工:竹中工務店 

年間8千万円の借地料が入れば、21年間で16億8千万円。これに国からの補助金8億円を加えると、24億8千万円。 

あとは企業から5億円少々の寄付があれば、21年ごとの式年遷宮にかかる30億円を賄えるという皮算用

 

マンションの配置計画はどうなっているのか?

京都新聞の記事に小さく掲載されていたマンション建設計画地の図をもとに、8棟をグーグルマップに落としてみた。

f:id:flats:20150607172032j:plain

これでは貴重な原生林が台無しになることは、小学生にだって分かりそうなものだ。

 

「京都市の特別修景地域に指定されているため、建物高さを10mに抑えるほか、日本瓦をふいた和風の外観とする(日経不動産マーケット情報記事)」というのだが、一度伐採した原生林は戻らない。

 

マンションには神社の歴史に関心のある人々に住んでもらい、伝統祭事の支援者となってほしい」と下鴨神社は期待を寄せる。

(日経不動産マーケット情報記事)

和風のマンションを中国人に爆買される可能性はないのか?

 

行政は我れ関せず

京都市の門川大作市長(無所属)は我関せずの発言をしている。

下鴨神社:マンション計画 京都市長「神社に指導考えてない」 

京都市の門川大作市長は2日の定例会見で、世界遺産・下鴨神社(左京区)による境内でのマンション建設計画問題について、市として説明会開催などを指導する考えのないことを明らかにした。

「多くの人の理解の下に進むのがベスト。神社側で必要に応じて適切な取り組みがなされると考えている」と述べ、市民の理解を得る重要性は指摘しつつも、神社の自主的な説明責任によるべきだとした。

(毎日新聞 地方版 6月3日)

 

お金が集まらないのなら式年遷宮を延期してはどうか

過去に、戦乱や飢饉、災害を理由に、30年、50年に伸ばした例があるぞ。

21年一度の制は在るべき姿ではありましたが年表のとおり三〇年、五〇年に及ぶこともありました

戦乱や飢饉、災害の起こった時など延期のやむなきにいたったものです。

下鴨神社HP_式年遷宮についてより)

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2018年6月1日、このブログ開設から14周年を迎えました (^_^)/
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