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湾岸エリア(月島、豊洲、有明など)のマンション事情(平成27年第1四半期)

国土交通省が6月5日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。

 

同レポートは比較的バイアスがかかっていない、新築マンションの市況を知り得る数少ない情報だ。


もくじ

東京都区部の地価は軒並み上昇している

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「平成27年第1四半期主要都市の高度利用地地価動向報告」P16より

 

月島、豊洲、有明などの湾岸エリアの地価動向

月島、豊洲、有明などの湾岸エリアの地価は、過去1年間上昇傾向を続けている。

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「平成27年第1四半期主要都市の高度利用地地価動向報告」P13を切り貼り

 

湾岸エリアのタワーマンションに興味のある方が多いようなので、月島、豊洲、有明など、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」をピックアップしておこう。

 

佃・月島(中央区)鑑定評価員のコメント

  • いわゆる湾岸エリア(豊洲、月島、晴海等)においては、立地条件等が優れることから需要は依然として根強く、東京五輪の開催決定以降、分譲マンションの販売は好調である。
  • 今後も大型マンションの建設が計画されているが、旺盛な取得需要を背景に、マンション分譲価格は今後も上昇が期待される。
  • 建築費の上昇等の懸念材料がありデベロッパーによる採算性の検証が従来にも増して厳格になっているものの、デベロッパーによる素地の取得意欲は強いそのため、地価動向はやや上昇傾向で推移している。
  • 当地区は都心部への接近性に優れ立地のポテンシャルが高く、分譲、賃貸ともマンション需要は根強い。東京五輪の開催決定以降、湾岸部におけるマンション市況が急速に好転し、最近は中古マンションの高値取引が散見される。
  • また、マンション素地についても、デベロッパー等による取得意欲は強いものの、建築費の高騰等の懸念材料もあり事業採算の検証を厳しく行っていることや、取引の対象となる適当な物件がないこと等から目立った動きは少ないが、複数の再開発案件が計画されている。そのため、強い需要と更なるまちの発展により、将来の地価動向は引き続きやや上昇傾向が続くと予想される。

 東京五輪の開催決定以降、分譲マンションの販売は好調であるらしい。
建築費の上昇等の懸念材料とされているが、”みんなで渡れば怖くない的な状況”が気になるところだ。

 

豊洲(江東区)鑑定評価員のコメント

  • 東京五輪決定直後は湾岸部全体に注目が集まったが、昨今は交通利便性が高い当地区に特に需要が集中している。
  • 建築費上昇に伴うマンション分譲価格の上昇で取引件数は前期に比べて減少しているが、築費上昇分を分譲価格に転嫁して販売することが可能な状況であり、依然としてマンション開発用地に対する需要が旺盛であることから、地価動向はやや上昇傾向にある。 
  • 建築費の急激な上昇により、新築マンションの分譲価格も上昇していることから取引件数は前期に比べて減少しているが、前年と比較すると大きく増加しており、今のところ懸念された分譲価格の引き上げによる大きな需要の減退は見られない
  • 一部では、マンション価格の上昇及び今後のマンション供給増により供給過剰を懸念する声もあるものの、マンション開発用地に対する稀少性に変化はないため、将来の地価動向は当面の間はやや上昇すると予想される。

 建築費上昇に伴うマンション分譲価格の上昇による需要の減退や、今後のマンション供給増により供給過剰といった懸念材料が列挙されているのが気になるところだ。

 

有明(江東区)鑑定評価員のコメント

  • 当地区のマンション市況は、東京五輪決定直後に見られた過熱感は薄れているものの、引き続き需要は堅調であり、依然として取引価格・取引件数ともに上昇傾向が続いている
  • こうした堅調なマンション需要を背景に、開発用地の稀少性も高いことから、デベロッパーの開発用地の取得需要は依然として旺盛であり、前期同様に地価動向はやや上昇傾向にある。 
  • 建築費上昇に伴うマンション販売価格の上昇及び周辺エリアを含めた大量供給により、今後の調整局面が指摘されているが、当面は堅調な需要を維持することが予想される。
  • また、当地区は東京五輪関連施設の建築や地区計画による市街地整備が予定されており、発展期待が高いことから、将来の地価動向はやや上昇傾向が続くことが予想される。

「建築費上昇に伴うマンション販売価格の上昇及び周辺エリアを含めた大量供給により、今後の調整局面が指摘されている」のに、なぜ「当面は堅調な需要を維持することが予想される」のか? 根拠が示されていないぞ!

堅調な需要維持は、「予想される」のではなく、「期待される」ということなのか――。

(本日、マンション広告なし)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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